新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、ぎりぎりまで開催が危ぶまれた「天皇杯・皇后杯2021年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)」が1月11日、丸善インテックアリーナ大阪で無事開幕を迎えた。大会を主催する日本卓球協会は検討に検討を重ね…

新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、ぎりぎりまで開催が危ぶまれた「天皇杯・皇后杯2021年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)」が1月11日、丸善インテックアリーナ大阪で無事開幕を迎えた。

大会を主催する日本卓球協会は検討に検討を重ねた末、感染防止対策を徹底した上で無観客開催に踏み切った。そのため通常なら7種目が行われるところを、今回はシングルス4種目(男女シングルスおよびジュニア男女シングルス)に絞り、男女ダブルスおよび混合ダブルスを中止。

原則として2時間おきに会場の換気・消毒を徹底し、出場選手には慣例となっている「不要な声出しや大声を出さない」、掌の汗を拭うための「卓球台で手を拭かない」などの注意喚起もしている。

だが、1都3県に出された緊急事態宣言を受け棄権するチームや選手も出ており、実業団の強豪で知られる協和キリンはチームとして棄権を発表。今大会スーパーシード(前回大会でベスト16入りした男女32人。4回戦から出場)の平野友樹や渡辺裕介、世界卓球2013代表の松平賢二らが出場を見送る形となった。

宇田幸矢 Photo:Itaru Chiba

10代に勢いがある男子シングルス。ベテラン勢の奮起にも期待

何とか開催にこぎつけた全日本選手権は今年も10代の若手選手に勢いがある。

昨年、高校最後の全日本選手権で初優勝を飾った19歳の宇田幸矢(明治大学)は世界卓球2020韓国(団体戦)代表の座を射止めたが、世界的なコロナ感染拡大の影響で大会自体が中止に追い込まれ、待望の世界卓球デビューを逃した。その悔しさをバネに全日本選手権で2連覇なるか。昨年のように気負わず思い切ったプレーができればその可能性は見えてくる。

一方、王座奪還に燃えるのは18年に当時14歳で史上最年少優勝を果たした東京五輪代表の若きエース・張本智和(17=木下グループ)。昨年は決勝で2歳上の宇田と対戦し、ゲームオール9で惜敗。表彰式後の会見で「自信が一気になくなった感じです」と茫然自失だったのが印象深い。

しかし、このコロナ禍で長年の課題であったフォアハンドの強化に成功。昨年11月、実に8カ月ぶりの国際大会となった男子ワールドカップでその成果を発揮し、銅メダルに輝いた。自信を取り戻した元王者が3年ぶり2度目の優勝に挑む。

もうひとり10代の注目株は、昨年準決勝で張本に敗れた戸上隼輔(19=明治大学)。

武器である高速バックハンドからの回り込みパワードライブでポイントが決り出すと手がつけられない。攻撃的なプレーゆえにミスも少なくないが、男子日本代表の倉嶋洋介監督などは「戸上の場合、行き過ぎだと思われるぐらいがちょうどいい」と攻めのプレースタイルを支持する。

戸上隼輔 Photo:Itaru Chiba

ちなみに戸上と同じドローの山には東京五輪代表の丹羽孝希(26=スヴェンソン)がおり、2人とも順当に勝ち上がっていけば昨年同様、準々決勝で対戦する組み合わせ。昨年は戸上に軍配が上がったが、もし再戦するとなれば接戦が予想される。

その丹羽は昨年11月、張本とともに男子ワールドカップの出場し初戦敗退に終わった。しかし調子は上向き。東京五輪代表にふさわしい結果が全日本選手権で求められる。

丹羽孝希 Photo:Itaru Chiba

他にもベテラン勢では幻に終わった世界卓球2020韓国(団体戦)代表の森薗政崇(25=BOBSON)、2012年に高校生で全日本王者になった吉村真晴(27=愛知ダイハツ)、2015年準優勝の神巧也(27=T.T彩たま)らが若手の挑戦をどう受けて立つかに注目だ。