去る12月22日。松田宣浩がヤフオクドーム内にある球団事務所で契約交渉を行い、FA権を行使して残留した昨オフに結んだ4年契約に基づき、年俸4億円で来季の契約を更改した。大逆転を食らい、世紀のV逸を喫した16年のオフ。ソフトバンクはこの松田を…
去る12月22日。松田宣浩がヤフオクドーム内にある球団事務所で契約交渉を行い、FA権を行使して残留した昨オフに結んだ4年契約に基づき、年俸4億円で来季の契約を更改した。大逆転を食らい、世紀のV逸を喫した16年のオフ。ソフトバンクはこの松田を最後に、プエルトリコ・ウインターリーグに参戦していた松坂大輔を除いた日本人全選手の契約更改交渉を終了させた。
■悲喜こもごもだったソフトバンクの契約更改
去る12月22日。松田宣浩がヤフオクドーム内にある球団事務所で契約交渉を行い、FA権を行使して残留した昨オフに結んだ4年契約に基づき、年俸4億円で来季の契約を更改した。大逆転を食らい、世紀のV逸を喫した16年のオフ。ソフトバンクはこの松田を最後に、プエルトリコ・ウインターリーグに参戦していた松坂大輔を除いた日本人全選手の契約更改交渉を終了させた。
V逸を喫した16年。目立った活躍を見せた選手は増額を勝ち取る一方で、1軍でそれなりの数字を残しながらも、ダウン提示を受けた選手も相当数いた。悲喜こもごもだったソフトバンクの契約更改。投手、野手に分け、笑った選手、泣いた選手を振り返ってみる。まず投手編。アップを勝ち取った主な選手は以下の通りだ。(※金額は推定)
○武田翔太(7000万円→1億2000万円 5000万円増)
投手陣の中で高く評価された筆頭が、武田だ。昨季は1年間ケガなくローテを守りきり、自己最多を更新する14勝をマーク。2年連続の2桁勝利をマークしたことで、大台の1億円を突破した。侍ジャパンのメンバーにも安定して選ばれるようになっており、名実ともに球界を代表する投手へと成長しつつある。
○千賀滉大(2500万円→6500万円 4000万円増)
アップ率でいえば、武田をも上回る数字となったのが千賀だ。これまで中継ぎが主戦場だった右腕は先発に転向。150キロを超えるストレートと「お化けフォーク」と称される大きな落差を誇るフォークを武器に12勝をマークした。勝利数もさることながら、負け数がわずかに3つ。1人で9つの貯金を生み出した。惜しむらくは、あと1勝というところで最高勝率のタイトルを逃したこと(最高勝率の獲得は13勝以上が条件)。アップ率は全選手でトップの160%増だった。
■12年ドラ1右腕は倍増、3年連続50登板以上の右腕もアップ査定
○東浜巨(1800万円→3600万円 1800万円増)
高評価を受けた投手といえば、東浜もその中の1人だ。12年のドラフト1位右腕も、目立った成績が出せないままに早4年目を迎えた。昨季は開幕ローテは逃したものの、4月中旬に先発の機会を掴むと、好投を続け、ローテの一角を奪取。夏場以降、調子を落として勝ち星から遠ざかったが、終盤は中継ぎに配置転換され、チームに貢献した。2桁の10勝には届かない9勝止まりだったことが悔やまれるところだが、その働きはファンも認めるところだろう。1800万からの倍増を勝ち取った。
○森唯斗(7000万円→8700万円 1700万増)
プロ入りした14年から3年連続で50試合以上に登板したことが、大きく評価された。今季は56試合に投げて4勝3敗14ホールドで防御率2.98。過去2年に比べれば、安定感を欠いた内容であった印象は拭えない。セットアッパーの座から外れ、8月には再調整のために出場選手登録も抹消された。悔しさの残るシーズンだったことは間違いないが、ケガなく1年間を戦い、3年間、50試合に登板し続けた点は、やはり中継ぎ投手としては評価されていい。
上記の選手のように大きく増額を勝ち取った選手とは対照的に、厳しくもダウンとなった主な投手は以下の通り。実績のある投手をはじめ、軒並み20%前後の減額を食らった。
○大隣憲司(6800万円→5500万円 1300万円減)
15年9月に受けた左肘遊離軟骨を除去する手術の影響が響いた。シーズンに入っても、左肘の状態は完全には復調せず、ファームでの登板が続いた。7月10日の楽天戦(ヤフオクD)で今季初登板。6回4安打1失点と好投し、初白星を挙げたが、ストレートの力強さが戻っていないとの首脳陣の判断で再び登録抹消。その後は肋間神経痛などの故障もあり、1軍でわずか1試合だけの登板でシーズンを終えた。1300万のダウンでサイン。
■和田、攝津、五十嵐らは複数年契約、松坂も現状維持の見込み
○寺原隼人(6500万円→5200万円 1300万円減)
大隣と同じく1300万のダウンとなった。古傷の右膝の状態もあり、開幕から出遅れ。4月下旬になって1軍に昇格するも、5月中旬に3試合連続で失点を喫すると、2軍に再降格。シーズン終盤に1軍に戻るも、1年を通じて活躍したとは言い難い。14試合に登板して2勝1敗2ホールドは物足りない数字で、ダウンは致し方ないところか。
○飯田優也(2500万円→2100万円 400万円減)
今回の契約更改交渉で、1回目の交渉を保留したのが野手の福田、そして、投手ではこの飯田だ。今季は前年の35試合から登板を減らし、30試合登板で1勝0敗4ホールド。イニング数や防御率は前年並みだったものの、安定感を欠く投球があったこと、そして2度の登録抹消が響いた。1度目の交渉は保留したが、2度目も提示額は上がらず、400万減でのサインとなった。
このほかにも、右肘のトミージョン手術を受け、シーズンを棒に振った二保旭が750万減の2250万、1軍登板わずか5試合に終わった嘉弥真新也が500万減の2000万、そしてウエスタンリーグ最多勝、3年ぶりの1軍勝利も挙げた山田大樹が300万減の1400万と、期待に応えきれなかった中堅どころでのダウンが目立った。
投手陣でいえば、和田毅(4億)、攝津正(4億)、五十嵐亮太(3億5000万)のベテラン勢は複数年契約を結んでいるため、年棒は現状維持。契約交渉を行なっていない松坂大輔(4億)も今季が3年契約の3年目となるため、現状維持となる見込みだ。ダウンを受けた選手がどれだけの成績を残し、ダウン分を取り戻すのか、はたまた高額年俸のベテランが新シーズンでどれだけの成績を残すのか、注目だ。