大晦日にダイレクトリマッチ、朝倉以外の選択肢は「なかった」 総合格闘家の堀口恭司(アメリカン・トップチーム)は31日の格闘技イベント「RIZIN.26」でRIZINバンタム級王者・朝倉海(トライフォース赤坂)との再戦に臨む。昨年11月に右膝…

大晦日にダイレクトリマッチ、朝倉以外の選択肢は「なかった」

 総合格闘家の堀口恭司(アメリカン・トップチーム)は31日の格闘技イベント「RIZIN.26」でRIZINバンタム級王者・朝倉海(トライフォース赤坂)との再戦に臨む。昨年11月に右膝の手術を受けた元RIZIN&ベラトール王者にとっては1年4か月ぶりの再起戦がダイレクトリマッチとなった。国内のみならず、海外の格闘技シーンからも注目を集める大晦日決戦へ向けて、「THE ANSWER」のインタビューに応じ、意気込みを語った。

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 大一番を目前にしても、この男はいつも通り飄々としている。そして口をつく言葉もいつも通り強気で痛快だ。

「体も動く。対策はしっかりやっている。前回やられているので、ぶっ飛ばしたいですね」

 朝倉戦へ向けての意気込みを問うと、笑顔で簡潔に返してくれた。今月上旬に拠点を置く米国から帰国。自主隔離期間中は、父親が特別に作ったというトレーニング施設で汗を流した。

「人がいない中でやれた。時差ぼけとかもあったので、いい調整ができました」と充実感を覗かせる。

 気になるのは昨年11月に手術を受けた右膝の状態だ。前十字靭帯断裂及び半月板損傷。周囲からは「選手生命は終わった」とも言われた大怪我だったが、本人は豪快に笑い飛ばす。

「終わってないですよ(笑)。ほとんど100%に近い形で治っている。たまに痛みは出ますが、それはもうしょうがない。痛みに合わせてやっていくだけです」

 ウイークポイントを攻めるのは、格闘技ではごく当たり前の事。堀口も当然想定している。

「相手も狙わないわけがない。むしろ狙ってくる箇所がわかる分、やりやすいでしょうね」とニヤリ。また1年4か月ぶりの再起戦でいきなり朝倉戦になったことにも「心配はない。海くんとやりたいと思ってずっとやっていた。ほかの選択肢? なかったですね」とはっきりと言う。

 堀口の言葉は常にポジティブ。そして簡潔で分かりやすい。自信の源を問うと、間髪入れずこう答えてくれた。

「格闘技しかやっていないのですから」。そして続けた。「自信しかない。モチベーションが上がっている。前回はああいう負け方だったのでやり返したい。KOか一本か。しっかり“決める試合”をしたいと思っている」。やられたらやり返す――。2020年の大晦日をはっきりした形で締めくくる。

格闘技界を盛り上げるために…「しっかりと、ド派手に勝ちます」

 昨年8月18日。堀口は朝倉に対して、1ラウンド、わずか68秒で敗れた。自身のキャリアで初のKO負け。黒星を喫するのも2015年、UFCのフライ級タイトルマッチでデメトリアス・ジョンソン(米国)に敗れて以来、4年ぶりだった。

 怪我もあり、以来リングから遠ざかっていた堀口。一方の朝倉は4連勝。RIZINの顔の1人として人気も知名度も一気に上がった。そんな相手をどう見ていたのか。実に堀口らしい答えが返ってきた。

「自分が負けた相手なので、しっかりと有名になってもらわないと困る。ありがたい限りです」

 兄の未来とともに、YouTuberとしても活躍。登録者数80万人を超える、カリスマとして絶大な支持を集めている。そんな姿に対しても「格闘技だけじゃなくて、YouTubeで成功するのは凄いと思う」と素直に賛辞を送る。

 どんな形であっても格闘技界を盛り上げたい。そんな思いを常々公言してきた堀口とって、朝倉はうってつけの相手だ。「12・31」決戦は、1度目の対戦とは違う熱量の注目を浴びている。

「格闘技人気って一時期、下火になっていましたよね。こうやって注目されるカードになって、盛り上がってきているのだとしたら、凄くありがたい。もっともっと有名に、メジャーにしていきたい」

 山本KID徳郁さんに憧れ、総合格闘技を志した。大晦日と言えば、思い出すのは2004年。今や語り草となっている魔裟斗との試合だ。「KIDさん、魔裟斗さんの試合は、やっぱり覚えています」。あれから16年、自身が沸かせる番だ。「楽しみでしかない」。誰よりも、ワクワクしているのは自分自身かもしれない。

 RIZIN.26のメーンイベント。文字通り、2020年を締めくくる一戦となる。「コロナの年だった」と振り返る堀口だが、最後はうっぷんを晴らすような快勝劇を描いている。

「デカい怪我をしてから一発目の試合、しっかりと、そしてド派手に勝ちます。それと怪我をしても選手生命も終わらないし、ベルトもまた獲れるんだよと。そんな夢をファンや子供たちに与えたいですね」(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)