NGT48西村菜那子の箱根駅伝予想 前編"駅伝に詳しすぎるアイドル"として知られるNGT48の西村菜那子さん。例年は学生ランナーが出場するレースを現地観戦するなど、最新情報のチェックに余念がないが、今年はコロナ禍で多くの大会が延期・中止にな…

NGT48西村菜那子の箱根駅伝予想 前編

"駅伝に詳しすぎるアイドル"として知られるNGT48の西村菜那子さん。例年は学生ランナーが出場するレースを現地観戦するなど、最新情報のチェックに余念がないが、今年はコロナ禍で多くの大会が延期・中止になり、寂しい思いをしたという。

「今年は大会が少なく、なかなか現地観戦できなかったのは悲しかったですけど、ひとつひとつの大会に見どころがたくさんあった1年だったように思います」


「駅伝に詳しすぎるアイドル」NGT48の西村菜那子さん

 異例のシーズンとなったが、6月から10月に延期した日本選手権がNGT48の本拠地である新潟市で開催された。新潟県在住2000人(1日の上限)の観客を収容することになり、西村さんも応募。NGT48研究生の大塚七海さんを連れて観戦した。

「今年、ライブ観戦できたのは日本選手権だけです。急遽、新潟で開催されることになったので、初めて日本選手権を生で観ることができました。人気が高くて、チケットが取れたのは1日だけでしたけど、秋に中大を卒業した舟津彰馬選手(九電工)の実業団選手としての初レースを観られたのはうれしかったですね」

 船津選手と西村さんは同学年。現在の大学生は基本、年下になった。西村さんは"お姉さん"になり、学生ランナーを見る目が少し変わってきたという。

「先日、BS日テレの『徹底取材!箱根駅伝 春夏秋冬』が放送されたんですけど、ゲストで浦野雄平選手、館澤亨次選手、鈴木塁人選手が出ていたんです。『私と同じ年齢の選手がゲストとして出るんだ』とボソッと話したら、NGT48のマネージャーさんに『監督と同じ年齢になる日も遠くはないよ』と言われて、本当にそうなりそうだなと思っちゃいました(笑)」

 今季は10月の出雲駅伝が中止になったが、11月の全日本大学駅伝は非常に盛り上がった。1~7区で順天堂大、城西大、早稲田大、青山学院大、東海大が首位に立つと、最終8区は"3強"と呼ばれた青学大、東海大、駒澤大がトップ争いを展開。最後は田澤廉(2年)の強烈スパートが決まり、駒澤大が6年ぶりの日本一に輝いた。駒澤大は大会記録を2分以上も更新して、5位までが大会新というハイレベルだった。

 では、2021年の箱根駅伝はどうなるのか。西村さんは全日本でトップ5に入った駒澤大、東海大、明治大、青学大、早大が優勝争いをすると予想。なかでも優勝に最も近いのは青学大だと感じているようだ。

「なんだかんだで、青学大かなと思います。例年ほど1万m記録挑戦競技会のタイムは伸びなかった印象ですけど、箱根はめちゃくちゃ強い。特に4年生に注目しています。キャプテンの神林勇太選手にエースの吉田圭太選手。個人的には竹石尚人選手がすごく気になりますね。私と同世代ですけど、1年大学に残って箱根に再チャレンジするわけですから。あとは新号健志選手。前回は当日変更でメンバーから外れましたし、あと一歩というところで学生駅伝は一度も走っていません。だからこそ頑張ってほしいなと思っちゃいますね」

 西村さんが「カギを握る選手」と気にかけていた、新潟県出身の岸本大紀(2年)はエントリーメンバーから外れた。前回、1年生ながら花の2区を区間5位と好走している選手の不在がどう影響するのか。

 そんな青学大の次は、久しぶりに全日本を制した駒澤大の勢いを買っている。

「田澤廉選手は日本インカレ1万mでも日本人トップに輝きました。前回は3区を区間3位(区間新)と好走しています。この1年でいろんな経験をしてさらに強くなっているので、今回は花の2区でレースを荒らしてくれるんじゃないでしょうか。

 さらに今年は、1年生(5人がエントリー)に好選手が揃っているんですよ。なかでも注目は鈴木芽吹選手ですね。彼は長野・佐久長聖高を卒業していますが、出身は静岡県なんです。中学時代に箱根駅伝を観戦しに行った時に、電車のなかで佐久長聖高の卒業生である東海大・村澤明伸選手(現・日清食品グループ)に会ったことで同校に進み、箱根駅伝を目指そうと思ったそうです。箱根に思い入れのある選手なので、活躍してほしいです」

 田澤は12月4日の日本選手権1万mで、今季の日本人学生最速となる27分46秒09で8位入賞。駒澤大のエントリー上位10人の1万m平均タイムは、史上最速の28分26秒81になった。絶対エースがいて、1万mで29分を切る選手が11人いるハイレベルな選手層は"打倒・青学大"の一番手といえるかもしれない。



自分で集めた情報から箱根駅伝の優勝争いを予想

 全日本大学駅伝で3位に食い込み、11月下旬の競技会1万mで好タイムを連発した明大には、西村さんも大きな可能性を感じている。エントリー上位10人の1万m平均タイム2位(28分31秒78)の総合力は期待十分だ。

「明大は選手層が厚いですし、前回6位になったメンバーが8人残っています。特に5区の鈴木聖人選手(3年)、6区の前田舜平選手(4年)がいるのが心強いですね。前回の6区はハイレベルでしたけど、4年生が9人いました。また、好走した日本大(宮﨑佑喜)と中央学院大(武川流以名)は今回本戦に出場しませんから、エントリーされた前回6区走者のなかで、区間7位だった前田選手が最速になります。5区鈴木選手は前回の区間5位ですし、山で大きく順位を上げてくるんじゃないでしょうか」

 西村さんは全日本大学駅伝で青学大、駒澤大、明大の優勝争いを予想していた。箱根でも"西村的3強"が優勝争いの中心になりそうだ。そして、全日本を経て、評価を上げてきたのが東海大と早大だという。

「東海大は"黄金世代"と呼ばれた昨季の4年生が強烈だったので、全日本はもう少し下になっちゃうのかなと思っていたんです。だから、序盤で出遅れながら2位に入ったのは驚かされました。箱根は名取燎太選手、塩澤稀夕選手、西田壮志選手の4年生トリオを軸に面白い戦いを見せてくれるんじゃないでしょうか」

 全日本は2区終了時でトップと1分45秒差の17位だったが、そこから盛り返した東海大。それに対し、早大は3区中谷雄飛(3年)が首位を奪うと、6区の途中までトップをひた走った。

「中谷選手が強いですし、井川龍人選手(2年)の調子が上がってきたのが心強いですね。中谷選手は高校3年時の全国高校駅伝1区で区間賞を獲得しているんですけど、その時に2位に入ったのが1学年下の井川選手です。都大路で競り合ったふたりが同じチームに入ったことがうれしいですし、箱根でも好走しているところを見たいなと思います。

 さらに、全日本は4年生がひとりも走っていませんが、宍倉健浩選手(4年)は11月21日の早大競技会1万mで28分16秒95をマーク。吉田匠選手(4年)は箱根で競技を引退するそうなので、最後は笑顔で終わってほしい。平地は強いと思うので、山がどうなるかですね」

 中谷と太田直希(3年)が日本選手権1万mで27分台に突入。エントリー選手上位10人の1万m平均タイムは3位(28分32秒27)につけている。全日本5位からの躍進も十分にありそうだ。

 大混戦が必至な状況だが、「青学大が往路で勝てば、そのまま総合優勝は青学大だと思います。往路で他の大学が勝てば、復路の順位変動が面白くなるんじゃないでしょうか。全日本はトップが何度も入れ替わりましたし、今回の箱根も優勝争いは盛り上がると思いますよ」と西村さんはレースを読んでいる。

 駅伝に詳しすぎるアイドルが選んだ今大会の"神ファイブ"は、青学大、駒澤大、明大、東海大、早大。そのうち勝利の女神がほほ笑むのはどの大学か。