日本ハムの10年ぶり日本一で沸いた2016年のプロ野球だったが、アマチュア球界に目を移せば、ハイレベルな野球で魅了した大学、社会人のフィールドも話題満載の1年だった。そんな大学&社会人球界の2016年を10大ニュースで振り返る。 ■宮台康平…

日本ハムの10年ぶり日本一で沸いた2016年のプロ野球だったが、アマチュア球界に目を移せば、ハイレベルな野球で魅了した大学、社会人のフィールドも話題満載の1年だった。そんな大学&社会人球界の2016年を10大ニュースで振り返る。

■宮台康平が東大33年ぶり日の丸入りも、代表監督は退任

 日本ハムの10年ぶり日本一で沸いた2016年のプロ野球だったが、アマチュア球界に目を移せば、ハイレベルな野球で魅了した大学、社会人のフィールドも話題満載の1年だった。そんな大学&社会人球界の2016年を10大ニュースで振り返る。

○東大、12年ぶりシーズン3勝

 大型連敗など毎年、必ず話題となるのが東大。全員が一般入試を経て赤門をたたいた秀才軍団が今年は快挙で世間を賑わせた。宮台康平をエースとして、明大、立大、法大から勝ち星を挙げ、春に12年ぶりのシーズン3勝を達成。だが、いずれも2つ先勝すれば得られる勝ち点は落とし、宮台が左肩痛に苦しんだ秋は1勝にとどまった。エースが4年生となる来季は02年秋以来の勝ち点奪取、そして97年秋以来の最下位脱出へ近年で最大のチャンスとなるだろう。

○宮台康平、東大33年ぶり大学日本代表入り

 東大のエース左腕が最大の脚光を浴びたのが、6月だった。7月の日米大学選手権の侍ジャパン大学日本代表に宮台が選出。選考合宿でのサバイバルを経て、東大では大越健介(現NHKキャスター)以来、33年ぶり2人目の日の丸入りとなった。本大会では第3戦に先発し、3回途中1失点に終わったが、チームは優勝した。出どころの見づらいフォームから繰り出す直球は東大史上最速の150キロで「大学NO1左腕」とも呼ばれる実力は折り紙付き。来季は本人も意欲を示している、東大史上6人目のプロ入りに注目が集まる。

○東海大・横井人輝監督が退任、大学日本代表監督も退く見込み

 その大学日本代表で監督を務めていた東海大・横井人輝監督が今季限りで同校の監督を退任することになった。東海大菅生高の監督などを経て07年から就任し、菅野智之(現巨人)、田中広輔(現広島)ら多くのプロ野球選手を育て上げた。14年には大学選手権制覇。東海大を首都大学野球の盟主として君臨させた。合わせて大学日本代表監督も退く見込みだ。

○初出場大学が全国の舞台で旋風

 全国大会ではフレッシュな風が吹き抜けた。春の全日本大学選手権では初出場の中京学院大が優勝し、秋の明治神宮大会では同じく初出場の桜美林大が決勝で明大に敗れたが準優勝。中京学院大・吉川尚輝内野手(現巨人)、桜美林大・佐々木千隼(現ロッテ)が中心選手として活躍した。大学球界といえば、東京六大学、東都大学が一時代を築いてきたが、群雄割拠の新時代突入を予感させる1年となった。

○創価大・田中正義、今ドラフト最多5球団

 プロの注目を集め続けたのが、創価大の156キロ右腕だ。田中は2年春の全日本大学選手権で150キロ台を連発して脚光を浴び、昨夏の大学日本代表対NPB選抜戦ではプロを相手に7者連続三振を奪取。「史上初の12球団1位競合も」との報道も飛び交った。だが、運命のドラフトイヤーは右肩痛に苦しみ、プロの評価を難しくさせた。それでも、秋には復活して万全をアピール。ドラフト会議ではロッテ、ソフトバンク、巨人、日本ハム、広島が1位指名したが、ソフトバンクが引き当てた。

■「牛丼発言」元プロが社会人で日本一、サブマリンも16年ぶり復活

○各地で完全試合&ノーヒッターの偉業

 投手としての最高の快挙が各地で記録された。10月の関東地区大学選手権では東海大・青島凌也が国際武道大戦で完全試合を達成。東海大相模高で1年後輩の小笠原慎之介(現中日)、吉田凌(現オリックス)らと甲子園に出場した逸材が偉業を果たした。札幌六大学では、のちにDeNAに2位指名される東海大北海道の水野滉也が北海学園大戦でノーヒットノーランを達成。東京六大学では慶大・加藤拓也が東大戦でノーヒットノーランに自身のホームランで花を添えるというリーグ史上初の快挙を果たし、ドラフトでは広島から1位指名を受けた。また、記録面では明大・柳裕也が東京六大学リーグ史上7位の通算338奪三振をマークした。

○元ロッテ渡辺俊介、社会人16年ぶり復帰登板

 社会人に目を移すと、大きな話題となったのがロッテでサブマリンとして親しまれた渡辺の社会人復帰だ。13年オフにロッテを退団後、アメリカの独立リーグなどでプレー。昨オフ、新天地として選んだのが、新日鉄住金かずさマジックだ。01年のプロ入り前に在籍した新日鉄君津以来、投手兼任コーチとして社会人復帰。3月の東京スポニチ大会の東京ガス戦で16年ぶりの社会人公式戦登板。1回無失点に抑え、その後は都市対抗出場にも貢献した。

○元プロの活躍で日本一

 渡辺以外でも社会人で躍動した元プロ選手がいた。DeNA、ソフトバンクでプレーした細山田武史は昨オフに名門・トヨタ自動車に加入。早大で斎藤佑樹(現日本ハム)とバッテリーを組み、DeNA時代には大幅減俸で「食事は松屋か吉野家にする」と発言して話題を呼んだ苦労人だが、正捕手として都市対抗を制して日本一となり、輝きを取り戻した。同じくDeNAでプレーしたJR西日本・加賀美希昇は日本選手権のJR東日本東北戦でノーヒットノーランを達成し、かつてのファンにとってもうれしい話題となった。
 
○休部&統合続々

 不景気のご時世、社会人チームが避けて通れないのが休部だ。11月にJR北海道が業績悪化により休部を発表。創部108年目、現存する企業チームで最古のチームは駒大苫小牧高で田中将大とチームメートだった本間篤史らが在籍するが、クラブチームとして再出発することになった。また、巨人・杉内の古巣である三菱重工長崎は戦力強化を目指すことを理由として、三菱パワーシステムズ横浜に統合されることが発表されている。
 
○トヨタ自動車左腕が上田まりえと結婚

 意外な形で社会人野球がクローズアップされた。元日本テレビアナウンサー・上田まりえがトヨタ自動車・竹内大助投手との結婚を発表。竹内は甲子園にも出場した中京大中京高から慶大に進み、大学2年春の東大戦ではノーヒットノーランの偉業を達成。大学時代から上田と交際し、1度の破局を乗り越えて復縁婚となった。幸せをつかみ、来季のさらなる活躍が期待されている。

 こうして見ると、さまざまな話題に富んだ大学&社会人野球の1年。プロ野球界だけでなく、熱く、興味深い試合を展開している場所はある。2017年はどんなニュースでファンを楽しませてくれるのか。大学&社会人球界が盛り上がることを期待したい。