年の瀬が迫り、振り返ってみると、野球界でも様々なことが起こった1年だった。なかでも、セ・リーグを沸かせたチームの一つがDeNA。球団創設5年目の若いチームは、ラミレス新監督のもとで「WE PLAY TO WIN(勝つために、ともに戦う)」の…

年の瀬が迫り、振り返ってみると、野球界でも様々なことが起こった1年だった。なかでも、セ・リーグを沸かせたチームの一つがDeNA。球団創設5年目の若いチームは、ラミレス新監督のもとで「WE PLAY TO WIN(勝つために、ともに戦う)」のスローガンを掲げ、3位と躍進を演じた。そんなDeNAの2016年を、フルカウント編集部が選ぶ10大ニュースで振り返る。

■ラミレス新監督は快挙、期待の新助っ人は当たらず……

 年の瀬が迫り、振り返ってみると、野球界でも様々なことが起こった1年だった。なかでも、セ・リーグを沸かせたチームの一つがDeNA。球団創設5年目の若いチームは、ラミレス新監督のもとで「WE PLAY TO WIN(勝つために、ともに戦う)」のスローガンを掲げ、3位と躍進を演じた。そんなDeNAの2016年を、フルカウント編集部が選ぶ10大ニュースで振り返る。

○筒香、歴史的ホームラン量産

 この男なしにはDeNAの一年は語れなかった。不動の4番として44本塁打、110打点で自身初タイトルとなる打撃2冠を獲得。特にファンを驚愕させたのは7月、ともにプロ野球新記録となる月間6度&3試合連続の1試合2ホーマーを放ち、“マルチ弾”というフレーズが背番号25によって定着した。オフの契約更改では就任2年目となった主将としての働きも考慮され、2億円の大幅増の3億円でサイン。出場が決まった来年3月のWBCでも侍の4番候補として期待されている。

○CS初進出、ラミレス監督1年目で快挙

 9月19日の広島戦(横浜)で勝ち、球団創設5年目で初のクライマックスシリーズ進出を決めた。12球団で唯一、出場経験のなかったポストシーズン行きを果たし、横浜の街が歓喜に酔いしれた。就任1年目のラミレス監督は中畑前監督が築いた土台をもとに、緻密なデータと選手への信頼を柱としてチーム作りに腐心。4月に最大借金11のどん底からチームを立て直す見事な手腕を発揮した。2年契約の2年目となる来季の続投もすでに決まっている。

○「ヤング・ベイ」若き新戦力が続々台頭

 CS進出の原動力となったのが、若い選手たちの躍動だろう。2年目の石田は1年間ローテを守ってチーム2位の9勝をマーク、戸柱はルーキーながら正捕手に抜擢されて投手陣を牽引した。ほかにも23歳の桑原がリードオフマンに、2年目の倉本が遊撃手に定着。宮崎はクリーンアップとして定位置を掴み、筒香、ロペスを支えた。今季のレギュラーの日本人野手は全員20代の生え抜き。「ヤング・ベイスターズ」ここにありを示した一年となった。

○ドラ1ルーキー・今永、名言でも存在感

 若い戦力のなかでも、ひときわ脚光を浴びたのが、ドラフト1位ルーキーの今永だ。12球団新人トップの8勝を挙げた実力面はもちろん、独特の“今永語録”でも話題に。「援護がないという言い訳は防御率0点台の投手が言える」「プロ野球は昨日得た信頼を今日失う世界」「(初勝利に)広島に勝ったというより過去の自分に勝った」「勝つか負けるかを運と言っているようでは、その先の成長はない」など数々の名言を残し、「投げる哲学者」とも呼ばれた。

○新助っ人当たらず、ロペスが孤軍奮闘

 外国人選手は明暗が分かれた。クリーンアップ候補として加入したロマックはまさかのノーアーチ、シーズン途中で獲得した中継ぎ・ブロードウェイは5試合登板で退団。ぺトリック、ザガースキーも含め、昨オフから獲得した外国人5選手のうち、4選手が今季限りでチームを去り、補強面で課題を残した。一方、在籍2年目となるロペスは来日4年目でキャリアハイとなる34本塁打を放ち、筒香と強力クリーンアップを形成。2年の契約延長がすでに決まっている。

【次ページ】涙でエースはFA移籍、現役最年長は引退登板

■涙でエースはFA移籍、現役最年長は引退登板

○観客動員数が史上最多193万人を記録

 好調なチーム成績に比例するようにして観客動員数は今年も増加。主催72試合で193万9146人を動員した。これは日本一となった98年の185万7000人を超え、前身の横浜時代を通じて球団史上最多。大入り満員回数54、完売回数31も同じく史上最多となり、座席稼働率93.3%で推移した本拠地・横浜スタジアムではチケットが“プラチナ化”した。なお、来季のシーズンシートは史上最速となる12月15日に完売し、来季も満員状態のハマスタが続きそうだ。

○須田、梶谷が執念でCS最終ステージ奮闘

 初出場したCSでも勢いは止まらなかった。第1ステージでは第3戦で延長戦の末に巨人を破り、最終ステージに進出。広島との最終ステージでは、第1ステージで左手薬指骨折していた梶谷が強行出場して本塁打、中継ぎで田中とともにチームを支えた須田が左太もも肉離れから驚異の回復で復帰して好投するなど、執念のプレーでチームに貢献。1勝4敗(広島のアドバンテージ1勝を含む)で敗れはしたが、ファンの心を打つ4試合となった。

○池田社長退任、後任にハマスタ社長

 CS最終ステージ敗退の翌日、池田純球団社長が任期満了に伴い、退任が発表された。11年12月の球界参入以来、初代社長として尽力し、本拠地・横浜スタジアムの株式公開買い付け(TOB)を実現。30億円近かった赤字を5年間で黒字に転換させた。後任には横浜スタジアム社長を務めていた岡村信悟氏が球団社長を兼務する形で就任。20年には東京五輪の野球・ソフトボールのメイン会場にハマスタが決まり、歴史的なイベントに向けても手腕を発揮していく。

○山口が涙のFA宣言で巨人入り

 オフに話題の中心となったのが、山口のFA問題だった。今季取得した国内FA権について「野球選手として評価というものを大事にしたかった」と涙ながらに行使を宣言。以降、宣言残留を認めているDeNAと巨人、中日の3球団による争奪戦となったが、悩み抜いた末に巨人入りを決断した。ラミレス監督が「エース」と呼んだ今季11勝右腕の流出は痛手となるが、球団は新助っ人のクレイン、ウィーランドを獲得。積極的な補強で来季に向け、準備を進めている。

○三浦引退、現役生活25年に男泣きで幕

 2016年だけでなく、横浜の歴史を語る上で欠かせない男がユニホームを脱いだ。現役最年長の「ハマの番長」こと三浦が、今季限りでの引退を決断。92年に入団し、最後の大洋戦士として横浜一筋でプレー、FA宣言した08年オフも阪神移籍と悩んだ末に残留した。通算成績は172勝184敗。昨年、プロ野球タイ記録の23年連続勝利を達成し、今年は「投手による連続シーズン安打記録」として24年連続安打がギネス記録に認定された。

 今年は勝利を挙げることはできなかったが、引退登板となった9月29日のヤクルト戦(横浜)では選手全員が三浦の背番号18を着てプレー。7回途中12安打10失点と打たれても、最後は涙ながらに投じた渾身の直球で雄平を空振り三振に斬った。涙のナイン、ファンに見守られながら降板。引退セレモニーでは「三浦大輔はこれからもずっと横浜です。ヨロシク!」と挨拶し、感動を呼んだ。来季は三浦が98年に果たして以来のリーグ優勝に向け、番長の思いも背負ってチーム一丸で歩んでいく。