ホンダとレッドブルで育成ドライバーを務め、今季はF2選手権でシリーズランク3位となった角田裕毅(20)が来季のF1にデビューすることが正式に決まった。ホンダからパワーユニットの供給を受けるイタリアのアルファタウリからの参戦で、日本人がF1…

 ホンダとレッドブルで育成ドライバーを務め、今季はF2選手権でシリーズランク3位となった角田裕毅(20)が来季のF1にデビューすることが正式に決まった。ホンダからパワーユニットの供給を受けるイタリアのアルファタウリからの参戦で、日本人がF1に出場するのは2014年の小林可夢偉以来、7年ぶりとなる。

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アルファタウリのコックピットに収まる角田裕毅(ホンダ提供)


 「レースの世界で戦う多くのドライバーと同じように、僕にとってもF1ドライバーになることは、小さな頃からの夢でした」。角田はチームを通じて喜びのコメントを発表した。

 ホンダの育成プログラムを通じて最高峰カテゴリーにはい上がった生粋のホンダチルドレンは佐藤琢磨に次いで2人目。レーサー養成学校の「鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)フォーミュラ」では琢磨が3期生に対し、角田は22期生にあたる。

 スーパーアグリなどでF1に参戦した山本左近もSRSの出身ながら、全日本F3ではトヨタ系のチームトムスからデビューしており、厳密には生え抜きではない。スーパーアグリのレギュラーだった井出有治もホンダの育成プログラムの名前として残っているフォーミュラ・ドリームの初代王者だが、その前に全日本F3に参戦していた経歴がある。ホンダとゆかりがある中野信治はSRSが誕生する前に4輪のキャリアを育んだ先駆者で、F1へは無限のバックアップでデビューした。純血のホンダ系育成選手は琢磨と角田の2人だけということになる。

 これまでも海外武者修行に多くの若手がホンダのサポートで派遣されたが、F1のレギュラーシートを射止めることができなかった。ちなみにあと一歩のところまでいった選手はいる。スーパーフォーミュラ元王者の山本尚貴は昨年のF1日本GPでトロロッソ(現アルファタウリ)の一員としてフリー走行1回目を担当したが、シート獲得には至らず。F2で活躍した松下信治もザウバーのF1テストに参加したことはあるがが、スーパーライセンスの発給要件を満たすことができず、今季も途中でF2参戦を断念。帰国の道を選んだ。

角田はアブダビGP後に若手向けのF1合同テストに参加((c)RedBull Content Pool)


 注目の角田はSRS―Fの卒業生ながら、いわゆる「首席」ではない。角田は受講した2016年はスカラシップ最終選考会の4人に残ったものの、実は「首席」も「次席」も別のドライバーだった。

 SRS―F修了直後に初参戦した日本のFIA―F4シリーズで頭角を現したことで、ホンダの育成ドライバーとして軌道に乗った。同シリーズでは参戦3年目の2018年にタイトルを獲得。直後にレッドブルの育成プログラム「レッドブルジュニア」にも組み込まれ、昨年はF1に併催されるF3選手権で海外デビュー。今季からF2に昇格し、年間3勝でランク3位となり、スーパーライセンスの発給要件をクリアした。

 来年の開幕戦オーストラリアGPの決勝は3月21日。20歳10カ月10日での出場となり、日本人の最年少デビュー記録となる。従来の記録は中嶋一貴の22歳9カ月10日。4輪デビューから数えて角田は6シーズン目でF1シートをつかむことになるが、こちらは最速記録ではなく、琢磨と一貴は1年短い5シーズン目でデビューを果たしている。

 後ろ盾となっているホンダは来季でF1活動を終了すると発表しており、角田は2022年以降の身分保障がない。レッドブルの育成選手も兼ねるが、成績を残さなければ、あっさりと育成契約を解除されるシビアな組織でもある。F1参戦1年目で是が非でも結果を残し、生き残りを懸ける。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)


※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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