専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第285回 雨の日のゴルフは、ほんとしんどいです。 そんなことを言いながら、10年前ぐらい前までの私は、雨だからといってゴルフを休むなんてあり得ませんでした。雨でドタキャンするやつ…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第285回

 雨の日のゴルフは、ほんとしんどいです。

 そんなことを言いながら、10年前ぐらい前までの私は、雨だからといってゴルフを休むなんてあり得ませんでした。雨でドタキャンするやつには、「アマチュアゴルファーの風上にもおけない」と憤慨したものです。

 それが今や、雨の日にラウンドするのは避けたいと思っています。それに最近は新型コロナウイルスが蔓延しているので、世の中的にも「雨の日にゴルフをして体調を崩し、こじらせてコロナにかかったらどうするんだ」といった風潮があります。

 ですから現在は、友だち同士でラウンドする時でも、天気予報をガン見して、慎重にプレーをするかどうかの決断を下します。そして、もし天気が崩れるようであれば、当日の朝5時くらいに、幹事役の友だちから「すでに雨が降っていて止みそうにないので、今日(のラウンド)はナシ」といった連絡がラインで入ります。

 あとは、幹事役の友だちがその旨をコースに伝えれば、キャンセル料も発生せず、一件落着です。我々が予約するのは、ほとんどそういうコースです。

 ただ、こっちはゴルフバッグを宅急便で送っていることが多いので、ラウンドをキャンセルしたら、コースから送り返してもらわないといけません。それが、ちょっと億劫なんですけどね。

 ともあれ、私の周りでゴルフをやっている連中を見てみると、雨の日のキャンセルについては、おおむね肯定的というか、みんな、やりたがりません。

 冷静に考えてみれば、何ら楽しくないですから。

 まず、今からの季節は寒いでしょ。冷たい雨がしたたり落ちる。メガネが曇る。合羽を着てごわごわしているから、体は自由に動かないし、結果、ボールは飛ばないし......。さらに、手が凍えてミスショットを連発。挙句、スコアはボロボロ......。

 お金を払って、丸一日スケジュールを潰して、なんでこんなしんどいことをしなきゃならないの?って、なります。

 こうやって書くと、真摯で真面目なゴルファーの方々は、雨だからって「予約をキャンセルするなんて横暴だ!」「不謹慎だ!」とお怒りになるのでしょう。

 でも現実は、そんな方々が思っている以上に、シビアに物事が進行しています。ラウンドの前日、翌日は雨になると天気予報が出るとしますよね。けど、その天気予報がたまたま外れて、当日は霧雨とか、曇り空になったという時は、我々もキャンセルしないでゴルフ場に行きます。

 そうして、コースに行って予約表を見ると、愕然とします。前日の降水確率100%という天気予報によって、キャンセルをしたお客さんの数が半端ないほどいるのです。ざっくり半分ぐらいはいますでしょうか。

 そんなふうにキャンセルで黒く塗られた予約表を、これまでに何度も見ています。今の時代、「雨だから」と言ってキャンセル人たちが、ものすごくたくさんいるのです。

 もはや、雨の日のゴルフに対する捉え方は変わりました。もし雨の日に休むこと、ラウンドをキャンセルしたい旨を伝えて、同伴者などから非難されたら「おまえ、パワハラだぞ!」と言ってやりましょう。「風邪をひいたら、どうすんだ!?」とやり返せばいいのです。

 この際、ハッキリと言わせてもらいますが、アマチュアのプライベートラウンドは、レジャーと捉えて構わないでしょう。だから、8割の人は"遊び"です。残り2割の方々は、どうしても断れない競技や倶楽部行事、あるいは大事なコンペといったところでしょうか。要するに、ほとんどの方はレジャー扱いですから、無理をしてやる必要はありません。



雨の日のゴルフはあまり楽しめませんから、できればキャンセルしたいですよね...。illustration by Hattori Motonobu

 とはいえ、現実的にはなかなか断れなかったり、キャンセルしづらかったりします。そこで、雨の日のゴルフを簡単にキャンセルできる方法を考えてみましょう。

(1)キャンセルしやすいコース

「キャンセル料をいただきます」と謳っているコースでも、誰が予約したかによって、対応がだいぶ違うことがあります。たとえば、顔が利く人が「今日はキャンセルで」と言えば、「わかりました。またの来場をお待ちしております」と慇懃に対応されて、それで終わり、ということがあります。

 でも、そういったことは稀ですから、予約サイトなどで自ら予約する場合は、そのサイト情報やコースのホームページなどを隅から隅まで見て、「キャンセル料を取る」と記されていないか、事前にチェックしましょう。

 最近の予約サイトでは、その辺はきちんと書いてあります。しかも、「プレー日の3日前からキャンセル料が発生」とかね。それじゃあ、直前の天気の急変に対応できないじゃんって、思いますけど。

 冒頭でも触れましたが、天候のことを考えれば、キャンセル料が発生しないコースを予約するのが無難です。近頃は、悪天候であれば「キャンセルOK」というコースもあったりします。

 だいたいゴルフ場は、年間でキャンセル数がどれぐらい出るのか予測しているはず。それを踏まえて、営業計画を立ててくれれば、こちらが負担を強いられることはないと思うんですけどね。

(2)とりあえずコースに行って判断する
 雨だけど、「約束したから、とりあえずゴルフ場へ行っちゃえ」と。そして、現場でプレーするか判断する場合があります。

 その時、多くのゴルフ場では、1ホールでも回れば18ホール分のラウンド料を支払うことに。だから、2ホール目で「大粒の雨が降ってきたな。やめよう」となっても、プレー料金は全額取られます。その際、午前中は休んで、小降りになった午後から9ホールプレーするのはありです。

 また、プレーする準備をして、レストランで朝食を食べながら天気の状況を確認。結局、スタートするのをやめると判断した場合は、プレーフィは取られません。

(3)キャンセルが成立する場合

 ゴルフ場の運営は商売ですから、できるだけキャンセルは出したくないのです。けど、ゴルフ場側から、どうしてもキャンセルせざるを得ない場合があります。それは、プレー続行不可能になるケースです。

「それって、カミナリじゃん」と思うでしょうが、カミナリは一時的なもので、小一時間もすれば、雷雲は通過します。だから、キャンセルが成立することはほとんどありません。

 逆に、カミナリが発生すると、多くのプレーヤーは酒盛りを始めますから、コース側にとっては、ランチタイムが1日に2回あるようなもの。すごくオイシイです。だから、カミナリの多いコースは、案外儲かっていると見ました。

 じゃあ、どうなったらコース側はキャンセルを決定するのか。

 フェアウェーやラフがなんぼ水没しようが、コース側からは「カジュアルウォーターはボールを動かしてプレーしてください」と指示されます。しかし、雨でグリーンがびしょびしょになり、思うようにパターが打てなくなった――こうなったら、さすがにプレーできません。この場合、コース側から「キャンセルにします」と言ってきます。

 あとは、降雪です。あっさりキャンセルとなる場合が多いです。ボールが雪だるまになりますからね。雪が降れば、コース自体がクローズとなります。

 とにかく、グリーンのカップに水が溜まり、どの方向からパターを打っても、ゴロゴロバシャーンとなれば、プレー続行不可能です。けど"敵"もさるもの。コース側としては、何としてもキャンセルを阻止したいので、雨の日のカップはすべてグリーンの高い位置に切って、水はけをよくしています。

 今後、もし雨の日にラウンドすることがあったら、カップの位置を注意して見てみてください。

 我々プレーヤーとして一番オイシイのは、17番ホールあたりを回っていて、突如「今日は雨のため、キャンセルとなりました」とコース側から連絡が来た時です。だって、17ホール丸々回って、タダでラウンドできたのですからね。いやぁ~、ラッキー!(※コースによっては、ラウンドしたホール分のプレーフィを取られることがあります)

 ならば、大雨の日はゆっくり、のろのろとプレーして、キャンセル通告を待ちましょう......って、ほんまかいな。

 そもそもゴルフ場からしてみれば、お客さんが雨の日にわざわざ足を運んで来てくれるわけですから、本来ならプレーフィを半額にするとか、あってもいいんじゃないでしょうか。1時間に3㎜以上の雨が降って、5時間経過したら"雨の日認定"でサービス料金にするとか。そういうことがあってもいいと思います。

 今時、六本木のキャバクラだって、"雨の日割引"があります。ゴルフ場はスポーツ施設ですが、サービス業でもあるということをもっと理解してほしいですよね。

「みんな、暇なお金持ち。そういう人が遊びに来るから、お金をたくさん取ってもいい」という認識を、ゴルフ場はそろそろ改める時期かもしれません。