専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第284回 最近、コンペが激減してゴルフボールをいただく機会が減って、ちょっと困っています。 というのも、ゴルフボールは今まで、コンペの賞品を主な供給源としていたからです。あとは、…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第284回
最近、コンペが激減してゴルフボールをいただく機会が減って、ちょっと困っています。
というのも、ゴルフボールは今まで、コンペの賞品を主な供給源としていたからです。あとは、ごくたまに購入したり、仕事先でいただいたり、綺麗なロストボールをコースで拾ったり(帰りには返します)して、やりくりしていました。
そういう状況なので、今一度、家にはどれぐらいのボールがあって、価格や種類はどうなのか、チェックすることに。ちょっとしたゴルフの会合を控えていて、ゴルフボールをお土産にしようと思っていたので、その用途としてもついでに調べてみました。
まずは贈答用にと、有名ブランドの最新のボールをピックアップ。「このボールをプレゼントしたら喜ぶだろうな」と思いながら、その型番をスマホに入力して検索してみました。すると、恐ろしいことがわかりました。
自分では最新ボールだと思っていたのですが、発売されてからすでに5年も経過。しかも値崩れして、かなり安くなっていたのです。
他のボールも調べてみましたが、同様に型落ちしていて、安くなっていました。1ダース7000円ぐらいの高級ボールだと思っていたものが半値以下とは......トホホです。
いやぁ~、ボールの値段って、新しいモデルが発売されると、一気に安くなるんですね。
けど、性能的には十分だと思います。というわけで、今回はボールの値段や性能に関するあれこれを、アマチュア目線で考察してみたいと思います。まずはこれ。
(1)価格の不思議
大手ゴルフ量販店のボール売り場に行ってみると、同じブランドの同じタイプに見えるボールでも、ロゴが1文字、数字が1個、あるいは文字の色が違うだけで、倍ぐらいの価格の開きがありました。これは、いったいどういうことなんでしょうか?
同じブランドでも価格が低いものは、お値打ちバージョンとして売っているんですね。もちろん、見た目にはわかりませんが、素材や性能などがそれぞれ違うわけです。ほんの少し飛ぶとか、スピン性能が向上しているだけで、倍の価格になっているのです。技術革新とはそういうもの、と理解するしかありませんね。
ゴルフボールは見た目は一緒なのに、いろいろな種類があって、価格設定もかなり違うので、何が何だかよくわからないんですよね...。illustration by Hattori Motonobu
(2)ディスタンス系とスピン系
これも、アベレージアマチュアには何が何だかよくわかりません。
以前、有名なレッスンプロとボールの試打をするお仕事をして、その違いを教えてもらったことがあります。でも、アマチュアの試打では、ディスタンス系も、スピン系も、それぞれの違いなどよくわからず、まったくピンときませんでした。
違いが一番わかるのは、ボールをコンクリート道路にぶつけると、ディスタンス系はよく跳ねる......って。そんなことをしたら、ボールが傷つきますって......。
結局、試打をしてわかったのは、あまり知られていないブランドのボールほど、単に飛ぶだけ、という場合が多いということ。片や、有名ブランドのボールは"飛んで、かつ止まる"という、両方の性能を持ち合わせていました。
まあでも、個人的な使用ではそこまでボールのタイプは気にしません。「ここはドラコンだからディスタンス系」とか、いちいちやっていたら、キリがないです。グリーン近くまでいけば、そのボールでアプローチをしなきゃいけないわけですし。
(3)プラセボ効果
プラセボとは、偽薬のこと。単なる小麦粉を固めて薬状にしたものを「特効薬だから」と言って飲ませると、案外治る場合がある。それを「プラセボ効果」と言います。
つまり、プロやメーカーの人などから「これはすごく飛ぶよ」と言われたボールを使用して、そう思って打てば、そこそこの効果が得られる可能性があるということです。
だから、有名ブランドのボールを使っていると、妙に安心します。プラセボ効果が発揮されているのかもしれません。まあ、有名ブランドであることがお守りみたいなものでしょうか。
そもそも我々アマチュアは、ナイスショット率、ミート率が恐ろしく低いです。半分以上はへなちょこ打球です。そこで、ボールの性能を語っても仕方がないじゃないですか。
それを言う前に、まずはちゃんとクラブに当てなさい、ということですね。
(4)実際のラウンドにおいて
最初のスタート時点では、ポケットに予備のボールを入れて「今日は、このブランドでいこう!」なんて思います。けど、OBやロストボールを2回ほどすれば、頭はブチギレて、ボールの選択どころじゃなくなります。
そこで、脳裏には「今日はボールをなくす日かもしれない」と不安がよぎります。そうして、キャディーさんが「この黄色いボールは違いますよね」とボールを拾ってきてくれたりしたら、「ちょっとそのボール貸して」となって、「このボールを使っちゃお。どうせ、またなくすんだから」と、半ギレ状態で打つんですな。
実際は、こんなものです。そしてまた、ロストボールとなって、逆上しながらも「あぁ~、ロストボールを使っていてよかった」と思う自分がいて、妙にホッとしたりして......。
(5)ボールの購入
大手量販店でボールを買う時は、すごく悩みますよね。1ダース2000円~7000円ぐらいまでの価格幅があって、新品でもこんなに価格が違うのかと、すごいを通り越して、むしろ呆れてしまいます。
もともとボールに詳しいのなら、狙い打ちで買うのでしょうが、そういう人は結構なお金持ちです。
一般的には、真ん中くらいの価格帯ですかね。3000円~5000円ぐらいのボールを1ダースと、何気に見つけた綺麗なロストボールを抱き合わせで購入する感じでしょうか。
それって、漫画雑誌を買うついでに、エロ本を買うのと同じノリか? 現実はそんなものです。
(6)ボールは作りすぎ
ボールは消耗品ですから、常に買わねばならない宿命にあります。それゆえか、毎年"技術革新"の名の下に、新しい飛ぶボールが開発されます。
けど、冷静に考えたら、反発係数のレギュレーションがあって「これ以上は飛ばさない」という取り決めがあります。それは、ドライバーも同様です。
そうした規制があるのに、新しいものが発売されると「さらに飛ぶ」というのはどうなんでしょう? 矛盾している気がします。特にドライバーは、規制があるにもかかわらず、「飛ぶ」とどんどん宣伝していますからね。
最近、その理由がおぼろげにわかってきました。
アマチュアが使用する場合、最新のドライバーではミスショットをした時のカバー率が格段に向上。芯を食わなくても、そこそこ飛んでくれるんですな。だから、万遍なく「飛ぶ」と言いたいのです。
一方でボールの技術革新は、単に「飛ぶ」というより、「飛んで、かつスピンもかかる」といった方向に向かっていると思います。
一度、高反発ボールを使ったことがありますが、ものすごく飛ぶんだけど、アプローチで転がりすぎて難儀しました。
でも、最新のものは違うはずです。「これは1球400円のボールなんだから、飛んで、よく止まる」と信じてプレーしましょうか。
とにかく、ボールのスペックがこんなにバラエティに富んでいて、これほど価格の幅が広いと、何が何だかわかりません。
スマホのカメラをボールに向けると、実勢価格や性能などが即座に表示されるアプリでも、誰か開発してくれませんかね。そうしたら、すごく助かるのですが......。