大きなインパクトを与えた昨オフの引退劇に続いて今オフも多くの選手たちがユニフォームを脱ぐ決断を下した。そこには同一球団一筋でプレーした選手や有終の美を飾った選手など様々な顔ぶれが並ぶ。ここではその主な選手たちを振り返ってみたい。■ハマの番長…

大きなインパクトを与えた昨オフの引退劇に続いて今オフも多くの選手たちがユニフォームを脱ぐ決断を下した。そこには同一球団一筋でプレーした選手や有終の美を飾った選手など様々な顔ぶれが並ぶ。ここではその主な選手たちを振り返ってみたい。

■ハマの番長、日米203勝右腕…引退決断した名手たち

 2015年シーズンは多くの名手たちが現役を退いた。その中には球界最年長だった山本昌氏(前中日)をはじめ、西口文也氏(前西武)、斎藤隆氏(前楽天)、高橋尚成氏(前DeNA)、谷繁元信氏(前中日)、中嶋聡氏(前日本ハム)、高橋由伸氏(前巨人)、井端弘和氏(前巨人)、和田一浩氏(前中日)、谷佳知氏(オリックス)、小笠原道大氏(前中日)らベテランが多く含まれ、球界の世代交代を印象付けた。

 そして、大きなインパクトを与えた昨オフの引退劇に続いて今オフも多くの選手たちがユニフォームを脱ぐ決断を下した。そこには同一球団一筋でプレーした選手や有終の美を飾った選手など様々な顔ぶれが並ぶ。ここではその主な選手たちを振り返ってみたい。

〇三浦大輔(DeNA)
535登板、172勝184敗、防御率3.60

 今月25日に43歳を迎えたベテランは今季球界最年長選手としてプレーし、25年の現役生活に幕を閉じた。1991年のドラフト6位で入団し、2年目にプロ初勝利を含む3勝をマーク。今季は3試合に登板して0勝3敗、防御率11.05だった。シーズン最終戦の9月29日・ヤクルト戦で迎えた引退登板ではベンチ入り選手全員が「18」のユニホームをまとってプレーした。

〇黒田博樹(広島)
(NPB)321登板、124勝105敗、1セーブ、防御率3.55
(MLB)212登板、79勝79敗、防御率3.45

 日米球界で活躍した41歳は今季広島の25年ぶりリーグ優勝に貢献。日本シリーズの前に自ら引退を申し入れた。専修大学から1996年のドラフト逆指名で入団。メジャーではドジャース、ヤンキースで先発ローテを担った。プロ20年で日米通算203勝を記録。現役ラストシーズンは10勝8敗、防御率3.09だった。

■走塁のスペシャリスト、“松坂世代”右腕も引退へ

〇鈴木尚広(巨人)
1130試合、355安打、打率.265、10本塁打、75打点、228盗塁

 1996年のドラフト4位で巨人に入団。2002年に1軍デビューを果たすと、走塁のスペシャリストとして存在感を放った。2014年には史上72人目、巨人では史上5人目となる200盗塁に到達。38歳となった今季は44試合に出場し、10打数3安打で打率.300、12シーズン連続の2桁盗塁となる10盗塁を記録。盗塁成功率は100%だった。通算盗塁成功率は82.91%で歴代トップ。

〇多村仁志(中日)
1342試合、1162安打、打率.281、195本塁打、643打点、43盗塁

 1994年にドラフト4位で横浜(現DeNA)に入団。04年にはキャリア最多の40本塁打をマーク。06年には第1回WBCの優勝に貢献した。07年にソフトバンクに移籍。日本一にも輝いた。昨季DeNAを戦力外となり、今季は育成選手として中日入り。39歳は度重なるケガもあり、1軍での出番はなかった。

〇福原忍(阪神)
595登板、83勝104敗、29セーブ、118ホールド、防御率3.49

 1998年のドラフト3位でプロ入りし、阪神一筋でプレー。先発、中継ぎとして活躍した。14、15年には2年連続で最優秀中継ぎに。15年は39歳シーズンでのタイトル獲得で、自身が持つ球団最年長タイトルホルダーの記録も更新。39歳で迎えた今季は9登板で0勝0敗、4ホールド、防御率5.06だった。

〇新垣渚(ヤクルト)
172登板、64勝64敗、防御率3.99

 2002年のドラフト自由獲得枠でダイエー(現ソフトバンク)に入団。松坂世代の右腕は04年から3年連続2桁勝利、04年は最多奪三振に輝くも、07年以降は10勝に届かなかった。14年シーズン途中にトレードでヤクルトへ。36歳となった今季は6登板で1勝2敗、防御率6.67に終わり、オフに戦力外通告を受けた。

■元広島主砲は新天地で出番なく引退、来季球界最年長は岩瀬&井口に

〇武田勝(日本ハム)
244登板、82勝61敗、1セーブ、15ホールド、防御率3.02

 2005年ドラフトの大学・社会人4巡目で日本ハム入りし、09年から4年連続2桁勝利。変則左腕はダルビッシュと共に「ダブルエース」と呼ばれ、13年には開幕投手を務めた。引退試合となった9月30日のロッテ戦では初回先頭・清田にオール直球の真っ向勝負で空振り三振に。38歳は「オレのために優勝しろ!」との貼り紙でチームを鼓舞し続けた。

〇サブロー(ロッテ)
1782試合、1363安打、打率.265、127本塁打、655打点、78盗塁

 1994年のドラフト1位でPL学園からロッテに入団。2011年途中に巨人にトレード移籍したが、シーズン終了後にFAとなり、ロッテに復帰した。ロッテでは2005年と2010年の2度の日本一を経験。40歳は自ら引退を申し入れ、9月25日の引退試合オリックス戦では現役最後の打席で“らしい”右打ちで二塁打を放った。

〇栗原健太(楽天)
1026試合出場、1082安打、打率.293、153本塁打、586打点、17盗塁

 1999年のドラフト3位で広島に入団。08年にはキャリア最高の打率.332、103打点をマークした。ゴールデングラブ賞3度(2008年、09年、11年)、ベストナイン1度(11年)を受賞。12年以降は負傷などで出場機会が激減し、自ら自由契約を申し出て昨オフに退団。入団テストを経て楽天に入団したが、34歳は今年1軍での出番はなかった。

〇牧田明久(楽天)
通算691試合、385安打、打率.253、23本塁打、150打点、23盗塁

 2000年のドラフト5位で近鉄に指名され、04年オフの選手分配ドラフトで楽天入り。05年に1軍デビュー後、度重なる負傷と戦いながらも、強肩を売りとしたハイレベルな守備、パンチ力のある打撃を武器に主に1軍で活躍。しかし14年以降は1軍での出番がなかった。昨季、小山伸一郎が引退したため、楽天の球団創設から所属する最後の現役選手だった。

 そのほか今オフは41歳の倉義和捕手(広島)や40歳の川井貴志投手(楽天)、39歳の鶴岡一成捕手(阪神)をはじめとするベテランも引退を決断した。来季は42歳の岩瀬仁紀投手(中日)、井口資仁内野手が球界最年長となる。今季も多くのファンの注目を浴びた選手それぞれの決断。引退選手たちの第2の人生での飛躍にも期待したい。