来年3月に開催が迫った「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC」(WBC)。20日には日本代表「侍ジャパン」の一部メンバー18人が先行発表され、翌21日にはアストロズの青木宣親外野手が追加招集された。着々とチーム編成が進む小…

来年3月に開催が迫った「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC」(WBC)。20日には日本代表「侍ジャパン」の一部メンバー18人が先行発表され、翌21日にはアストロズの青木宣親外野手が追加招集された。着々とチーム編成が進む小久保ジャパンが目指すのは、2大会ぶりの優勝だ。

■過去3大会を凌ぐ激戦予想も「日本も最強のメンバー」

 来年3月に開催が迫った「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC」(WBC)。20日には日本代表「侍ジャパン」の一部メンバー18人が先行発表され、翌21日にはアストロズの青木宣親外野手が追加招集された。着々とチーム編成が進む小久保ジャパンが目指すのは、2大会ぶりの優勝だ。

 2016年は、U-23代表以下の「侍ジャパン」アンダー世代が国際大会で大躍進を遂げた。女子を含む5つのカテゴリーで優勝し、唯一優勝を逃したU-15代表も準優勝という成績を収めた。アンダー世代が生んだ勢いに乗り、トップチームにも第4回WBCで頂点に輝いてもらいたいところ。侍ジャパンU-15代表監督で、侍ジャパンのテクニカル・ディレクターを務める鹿取義隆氏は「優勝の可能性は大いにあると思いますよ」と話す。

 来年のWBCに向けて、アメリカ代表としてサイ・ヤング賞右腕マックス・シャーザー(ナショナルズ)やノーラン・アレナド(ロッキーズ)らが参戦を表明。前回優勝のドミニカ共和国も、ロビンソン・カノやネルソン・クルーズ(ともにマリナーズ)らが参加を表明し、過去3大会を凌ぐ高レベルの戦いとなることは必至だ。

 鹿取氏は「確かに個々の成績を見ると、すごいメンバーを集めてくるなと思う」と各国の蒼々たるメンバーに驚嘆の声を上げるが、一方で「日本も最強のメンバー。誰がどこを打つんだろう、誰がいつ投げるんだろう、といい意味で頭を悩ませる感じ」と手応えを感じている。

■侍ジャパン率いる小久保監督も「十分鍛えられている」

「日本はあれだけのメンバーを揃えている。いいチームだなって思うのは、第1回から変わらない。これで負けるわけがないって思う、それだけのメンバーが集まっている。ただ、勝負が分からないのは相手がいるからね。それでも長い期間を掛けて準備をしてきたわけだから、急に選手を集めたところには負けないですよ」

 小久保裕紀監督が率いる「小久保ジャパン」は、2013年10月に発足。以来、毎年強化試合を戦いながら、昨年のプレミア12を経て、来年の第4回WBCに向けて準備を進めてきた。先行発表された18人の選手は、菅野智之(巨人)、大谷翔平(日本ハム)、坂本勇人(巨人)、筒香嘉智(DeNA)、中田翔(日本ハム)ら“常連メンバー”が名を連ねた。年に数回ではあるが、侍ジャパンとして集まり、戦ったことで、チームとして意思統一がしやすくなったメリットも生まれた。「今までは監督も急に決めてチーム編成する感じだった。その反省を生かして、今回は準備期間を長く取るようになったんだと思う」と、鹿取氏は言う。

「準備期間が取れたことはよかったと思う。よく『小久保監督は監督経験がない』って言われるけど、この3年でかなりの国際大会を経験してるからね。ペナントレースを戦うのと国際大会を戦うのでは、また違った緊張感がある。世界の強豪を相手に、切羽詰まった厳しい状況で指揮を執ってきたから、十分鍛えられていると思いますよ。監督自身も五輪に出た経験がある(1992年バルセロナ五輪)。選手として、そこを経験しているのは大きいでしょう」

 第1回、第2回大会と連覇を果たしたが、2013年の第3回大会では準決勝でプエルトリコに敗れ、決勝戦に進めなかった。今回も厳しい戦いが続くことが予想されるが、もちろん目指すは“世界一奪還”。過去3大会に続き、来年3月は日本が“侍ジャパン応援モード”に切り替り、大きく盛り上がるだろう。

■調整と対応次第で「十分優勝できる」

「盛り上がってもらわないと困ります(笑)。幸い、最近は『侍ジャパン』というブランドが、大人から子供まで幅広く浸透してきている。この前、ある地方都市で野球教室を開いたら、参加していた子供に『侍知ってるよ』って言われたんだよね。『今日は“J”って書いてある帽子じゃないの?』って。何で知ってるのか聞いて見たら、お父さんやお母さんがカテゴリーを問わず侍ジャパンの試合をよく見てくれているようで。言わされているのかもしれないけど(笑)、それでも子供たちに『侍を知っている』って声を掛けてもらえるのはうれしい。

 日本代表が戦う国際試合っていうとサッカーが前面に出がちだけど、その中で年に数回でも強化試合をして『侍ジャパン』の名前を出したことで、かなり浸透してきていると思う。同時にトップチームのすごさも知ってもらえている。子供たちが『大谷になりたい』って選手に憧れを抱くことが大事なんですよ。だから、もっといろんなスター選手が出てきてほしいね」

 世界の並み居る強豪を相手にするWBCは、スター選手が生まれる格好の場だ。子供たちに夢を与えられるような戦いを続け、第2回大会でも決勝の舞台となったドジャースタジアムで勝利の喜びに浸りたい。

「優勝して、最後は成田空港で記者会見するイメージは出来上がっているんだけどね(笑)。2006年は帰って来た時、日本中がものすごい盛り上がりだった。成田空港での出迎えが、すごかったんだよね。あれをもう1度見たい。もちろん、選手の頑張りしかないと思うけど、オフの期間にうまく調整して、ボールの違いなどにも対応してもらって、監督が思うような状態に選手が仕上がれば、十分優勝できると思います。年度末はトップチームの優勝で締めくくってもらいましょう」