専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第283回 最近、めっきり減っているキャディー付きのラウンドですが、頼まなくてもキャディーさんが付いているケースがあります。そうして、すでにキャディーさんがテキパキと仕事を始めてい…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第283回
最近、めっきり減っているキャディー付きのラウンドですが、頼まなくてもキャディーさんが付いているケースがあります。そうして、すでにキャディーさんがテキパキと仕事を始めているのなら、仕方がありません。スタート直前にお断りするのも何ですから、彼女たちを積極的かつ有効に活用したほうがいいでしょう。
ところで、キャディーさんの需要ですが、長期的に減少傾向が続いています。セルフプレーが主流になったこともありますが、そもそもキャディーさんが付くと2000円~3000円程度のキャディーフィを別に取られますからね。プレー代を捻出することにさえ困っている人たちは、なるべくならキャディーさんを頼みたくないのです。
じゃあ、頼みたくないキャディーさんが付いているのはなぜか?
答えは、2つあります。ひとつは、予約した人が忖度してキャディーさんを頼んだのでしょう。
もしそうなったら、付けてしまったキャディーさんを存分に活用したほうが得です。キャディーフィは、キャディーさん1人の日給を4人のプレーヤーで分けるシステムで、「オレはセルフプレー慣れしているから、無視してください」と言っても、最終的にはキャディーフィを払わされますからね。
また、キャディー付きになったことで「損をした」と思わないようにするためには、逆の発想をするのがいいかもしれません。「自分はキャディー付きでプレーするのが好きだ」と。そうすれば、「ひとりでキャディーを雇うと高いけど、4人で分けてキャディーフィを支払えば、コストが浮くじゃん」――そう考えればいいのです。
もうひとつ、キャディーが必ず付いている場合があります。それは、名門コースでプレーする時です。
「ウチは基本、キャディー付きのラウンドとなります」というコースが、古き名門コースでよく見られます。「名門コースは料金が高い」と言われますが、最初からキャディーフィ込みですからね、そりゃ高額になりますよ。
日本の名門コースは、英国の慣習を大事にする傾向があります。キャディー付きラウンドもそのひとつ。あとは、歩きプレーに、ジャケット着用とかね。
でも今や、乗用カートのセルフプレーで、カジュアルな格好でラウンドするアメリカンスタイルが主流です。建前は英国風で、本音はアメリカンというのは、日本のゴルフのスタイルなんですね。
さて、キャディーさんの有効活用についてですが、まず把握しておきたいのは、年々キャディーさんの仕事量は減っている、ということです。
ルール改正により、ピンを抜かないでプレーできるようになり、実際にアマチュアゴルフの世界ではそれが主流になりました。グリーン上でピンを抜いて持っているのはキャディーさんの仕事でしたが、それがまるっきりなくなったのです。
距離のアドバイスにしても、乗用カートのナビゲーションシステムが優秀で、それを見て測ればいいだけ。それに最近は、多くの人が距離測定器を持ってラウンドしていますから、キャディーさんに聞くことはありません。
コースのレイアウトもナビのマップを見れば十分です。おかげで、一般的には「じゃあ、キャディーさんの仕事なんてないじゃん」と思われているんですな。
では、現在のキャディーさんの仕事とは?
・ローカルルールやコースの説明
・グリーン上でのライン読みのアドバイス
・ボールやクラブを拭くこと
・バンカーのレーキならし
・乗用カートの運転
・ディボット跡の目土入り
・クラブを運んだり、持っていったり
まあ、こんな感じですか。なかでも、一番重要なのは、グリーン上でのパットのライン読みです。キャディーさんの有効な活用として、まずはそこから話をしましょう。
(1)グリーンのライン読み
ゴルフ場のグリーンのライン読みは、やはりベテランキャディーさんのほうが熟知しています。仕事などでコースの取材をする時は、たいがいコース側が気を遣って、ベテランキャディーさんをつけてくれます。年配のおばさんだったりすると、クラブをいっぱい持ってもらって、逆にこっちが「大丈夫かな......」と気を遣いますけどね。
実際のラウンドでは、最初の1、2ホールは、キャディーさんのアドバイスが正確かどうか、様子を見ます。そこで、「なかなか的確だ」となったら、パッティングの際にはどんどん聞いて、それを参考にして打ちます。
反対に「これはちょっと怪しいぞ......」と思ったら、話半分ぐらいにして、自分の読みを信じてパッティングします。
たまにキャディーさんに対して、「ぜんぜんラインが違うじゃん」と食ってかかる人を見かけますが、それは大人の振る舞いとして、どうかと思います。ベテランキャディーとはいえ、全能ではありません。読みが違うと思ったら、「グリーンに関しては、聞いたら答えて」と言って、説明を求めなければいいのです。
(2)社交、接待として
せっかくキャディーが付いているなら、誰か重要な人にべったりつけましょう。その日のラウンドにおける重要なキーマン、例えば上司とか、先輩とか、お世話になっている人などがいれば、キャディーさんに「今日はあの人がお客さまだから、あの人を中心に乗用カートを動かして、絶対に乗せてください」と言っておくのです。
あとは、売店でキャディーさんへのお土産を多めにあげれば、しっかりと仕事をしてくれます。そういう使い方もアリです。
(3)情報収集として
せっかくベテランキャディーさんが付いてくれたなら、そのゴルフ場の情報収集をしましょう。
具体的には、予約はすぐに取れるのか? とか、評判はどうなのか? 食事は美味しいのか? さらには、芸能人はよく来るのか? とかですかね。芸能人の話なんか、案外面白いですよ。お笑い芸人がよく来るとか、いろいろと喋ってくれますから。
ゴルフ場って、不思議と誰かが色紙を持っていて、売れっ子の漫画家さんと一緒にラウンドしていると、噂を聞きつけて、お茶屋あたりで「あのぉ~、サインを頼まれまして」なんて、キャディーさんが切り出してくるケースがよくあります。
言い方にもよりますが、「ファンなんです」とか、あるいは「主人がすごいファンで」とか、「息子が愛読していて」と言うと、断れない雰囲気になります。みなさん、気軽にサインをしたり、絵を描いてあげたりしていますよ。
そんなわけで、どんな芸能人や文化人が来るかをキャディーさんに聞くと、結構盛り上がります。
キャディーさんとの会話が盛り上がると、また違ったラウンドの楽しさがありますよね。illustration by Hattori Motonobu
(4)ラウンド中の話のネタとして
たまに若いキャディーさんが付いて、「田舎はどこ?」と聞いたりすると、お国自慢が始まって笑えます。
この前は、青森出身の若いキャディーさんが付いて、地元の話とかで大いに盛り上がりました。高校に求人票が来て「東京に行ける!」と思って、大手のゴルフ場会社に応募したら、配属が都心から離れたゴルフ場だったので、「地元と変わらない!」と憤慨したとか、そんな話もしていました。
ゴルフをやっていて、同伴メンバーがお堅い人だったりする場合、あまり夜遊びの話もできないでしょ。そういう時は、キャディーさんをいじって、ゴルフ場のエピソードや"あるある話"をすると盛り上がります。
バブルの頃は、どこのコースも予約が取れなくて、キャディーさんと知り合いになって、キャディーさんに頼んで予約を取ってもらう方法がありました。そういうコミュニケーションがあった時代が懐かしいなぁ~。
とにかく、キャディー付きのラウンドがあったら、いろいろと話を聞くと、意外に面白い話をしてくれますから、セルフプレーの時とはまた違うラウンドが楽しめるかもしれませんよ。