低年齢化が進むロシア女子、10代選手を抑えた優勝に高まる評価 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦・ロシア杯で優勝を飾ったエリザベータ・トゥクタミシェワ。23歳にして、17歳の昨季GPファイナル女王アリョーナ・コストルナヤ、…

低年齢化が進むロシア女子、10代選手を抑えた優勝に高まる評価

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦・ロシア杯で優勝を飾ったエリザベータ・トゥクタミシェワ。23歳にして、17歳の昨季GPファイナル女王アリョーナ・コストルナヤ、16歳のアレクサンドラ・トルソワ(いずれもロシア)らを抑え、存在感を見せつけた。ロシアメディアも「ソトニコワと戦い始め、今は“3人娘”に勝つ」「23歳でステレオタイプを壊している」と称えている。

 フリーで3回転アクセル―2回転トウループの連続ジャンプを決めるなど、衰え知らずの演技を見せ、148.69点、合計223.39点で優勝を飾ったトゥクタミシェワ。ロシアメディアも健在ぶりを示した23歳と称えている。「eurosport.ru」は「ロステレコム杯 エリザベータ・トゥクタミシェワはソトニコワと戦い始め、今は“3人娘”の世代に勝つ」と見出しを打って特集した。

 記事では「23歳のトゥクタミシェワが2本の3回転アクセルを跳び、自分より若いプルシェンコ氏の教え子コストルナヤとトルソワに勝利した」と紹介。「トゥトベリーゼ氏の教え子がいなくてもロステレコム杯のセンセーションはやはり起こった」と驚きを伝えた上で、こんな表現でその価値を記している。

「紋切り型のフレーズを連続で使うほかない。経験が若さに勝った、先生が生徒に勝った。他の言葉で言うと――アレクセイ・ミーシン氏がエフゲニー・プルシェンコ氏に勝利した、トゥクタミシェワが優勝を争う戦いでコストルナヤに勝った、グリャコワが銅メダルを獲得し、突然、トルソワより高い位置についた」

 演技については冒頭に連続ジャンプで3回転アクセルを成功させたことなどを記述。「23歳のエリザベータはステレオタイプ(先入観)を壊している。彼女は成長期を経て、年少の少女の軽い体を持たずに大人の年齢で安定してウルトラCジャンプを跳ぶことができることを証明した」と10代が席巻する母国で存在感を見せたことを評価した。

「ソトニコワ、リプニツカヤ、ザギトワ、メドベと戦い、今は“3人娘”に勝利」

 さらに「現役生活で彼女はアデリーナ・ソトニコワ、ユリア・リプニツカヤと戦い、そしてアリーナ・ザギトワやエフゲニア・メドベージェワとも戦い、今は“3人娘”の世代に勝利した」とし、ソチ五輪女子で優勝したソトニコワ、団体で優勝したリプニツカヤらロシアで歴史を築いてきた多くの選手と実際に戦ってきた価値を強調した。

 また「gazeta.ru」は「女帝の王位への復活」とのサブタイトルをつけ、優勝をレポート。「現時点で20-21シーズンにおける主要なセンセーションを与えた」「以前は自分より年少のスケーター(ウルトラCエレメンツを持たないスケーターを含む)に勝つのに3回転アクセルをもってしても足らなかった23歳の彼女が、自身にとってとても必要不可欠な勝利を獲得した」と伝えた。

 その上で、2つの観点から今回の優勝を分析した。「1つ目にフィギュアスケートにおいてかなり年配となる年齢でも、自分の好きではないエレメンツで大きく進歩できることを証明した」とし、これまでは課題とされていたステップ、スピンでポイントを引き出したと指摘。「ここでも彼女はライバルたちに負けなかった」と評価している。

「2つ目に失敗した滑りの後に彼女がいかに落ち着いて(次の演技に向け)集中できるかを見せた。そのような精神的な安定性は多くの年少のスケーターたちはうらやむことしかできない」とも記述。ショートプログラム(SP)で序盤の3回転フリップなどで失敗しながら、翌日は何事もなかったかのように圧巻の演技を見せたことを称えた。

 特にロシアの女子は近年、低年齢化が進み、まだ10代の平昌五輪女王ザギトワも下の世代の突き上げもあり、現在は活動休止となっている。そんな中で23歳になったトゥクタミシェワの勝利は大きな意味がある。(THE ANSWER編集部)