東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2020年TOKYOへの道」。今回は、健常者競技に負けない疾走感あふれる超高速ラリーが見応えたっぷりな3つの“ネット競技”をご紹介。個と…

東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2020年TOKYOへの道」。今回は、健常者競技に負けない疾走感あふれる超高速ラリーが見応えたっぷりな3つの“ネット競技”をご紹介。個と個のひたむきな対決に、刮目かつもくせよ!

前回に続き、パラリンピック競技から3種目をピックアップしてそれぞれの魅力をお届け。今回のテーマは「ネット競技」。

ネットを隔てて対峙たいじした両者による熱のこもったラリーの応酬こそ、テニス、バドミントン、卓球に共通する醍醐味だいごみだ。ご存じのようにどの競技も接戦になるほど試合時間は長く消耗戦となり、特に最終セットの終盤なんかはコート上がサッカーやバスケといったコンタクトスポーツとはひと味違った緊張感に包まれる。パラスポーツにおけるその3競技も、まさにそんな“ネット競技”特有のダイナミズムを備えている。

「車いすテニス」の何よりの魅力は、通常のテニスと同じく「グランドスラム」(全豪、全仏、全英、全米各オープン)を筆頭に国際トーナメントが充実していること。ゆえにスター選手が多く、日本にも男子歴代最多43回(シングルス23回・ダブルス20回)のグランドスラム制覇をほこる国枝慎吾選手や、女子歴代最年少で年間グランドスラム(1年間ですべての4大大会を制覇)を達成した上地結衣選手らがいる。パラリンピックは彼らのワールドクラスのプレーにじかに触れる絶好のチャンスというわけ。


WHEELCHAIR TENNIS
車いすテニス

1970年代にアメリカで生まれた車いすテニスは最もメジャーなパラスポーツといえる。その理由として挙げられるのが、2バウンドまでの返球が認められている以外はコートの広さ、ネットの高さなどルールが通常のテニスとまったく同じでわかりやすい点と、グランドスラム(世界4大大会)でも車いすテニス部門が実施されていて著名なプロ選手が多い点だ。写真は何度もグランドスラムを制覇している上地結衣選手。

健常者競技に負けない躍動感を提供してくれる点では「障がい者バドミントン」と「パラ卓球」も負けていない。ともにフォーマットがシンプルな車いすテニスに比べるとクラスが多くて一見複雑に思えるが、障がいの程度ごとに綿密にクラス分けがなされているのでむしろプレーする選手たち一人ひとりの“個”がより際立ち、クラスごとに戦術もかなり異なるのでひとつの競技で多様なバリエーションの試合が楽しめる。


PARA TABLE TENNIS
パラ卓球

卓球が五輪の正式競技になったのは88年ソウル大会。そのはるか前1960年の第1回ローマパラリンピックから継続的に開催されているのがパラ卓球だ。大きくは肢体不自由と知的障がいの2つに分けられ、そこからさらに障がいの程度によって11クラスに細分化されていて団体種目も豊富。クラスごとに大きく変わる多彩な戦術とゲーム展開が見どころ。写真は日本の若きエースで世界ランキング3位の岩渕幸洋選手。


PARA BADMINTON
障がい者バドミントン

2020東京パラリンピックから正式競技採用となったバドミントン。こちらもテニスと同じく健常者競技とルールは限りなく近いが、障がいの程度によって立位4・車いす2の計6クラスに分かれており、車いすクラスと立位のうち1クラスはコートの半面だけを利用するなどのアレンジが施されている。そのため、通常のバドミントンに近い躍動感やスピードに加えて見どころのバリエーションが豊富なのが魅力。写真は男子日本代表のホープ今井大湧選手。

障がいを個性に置き換え、持てる能力を最大限に引き出しながら手に汗握る高速ラリーを展開する3競技のアスリートたち。彼らと空間を共有することができれば、きっとスポーツに対する価値観は大きく変わる!?