昨年、渋野日向子の優勝に沸いた大王製紙エリエールレディス(愛媛・エリエールGC松山)の2020年大会は、予選ラウンド2日間を終えて、百花繚乱の今季を象徴する顔ぶれが上位に名を連ねた。 通算7アンダーでトップに並び立ったのは、8月に2週連続…

 昨年、渋野日向子の優勝に沸いた大王製紙エリエールレディス(愛媛・エリエールGC松山)の2020年大会は、予選ラウンド2日間を終えて、百花繚乱の今季を象徴する顔ぶれが上位に名を連ねた。

 通算7アンダーでトップに並び立ったのは、8月に2週連続優勝を遂げた新星にして、"女ウッズ"の異名がつけられた笹生優花と、樋口久子 三菱電機レディスでプロ初優勝を果たした西村優菜だ。両者はともに、初日を6アンダー、2日目を1アンダーで回った。

 笹生が振り返る。

「あと2日、楽しんで自分のゴルフができれば。自分にとって"楽しむ"とは、無事に、ケガなく、18ホールを回ること。急に(ラウンドを)やめるような事件がないようにしたい」



首位タイで決勝ラウンドへと駒を進めた西村優菜

 一方、初優勝以降、好調を持続する西村だが、首位ターンにも鼻息は決して荒くなかった。

「今日はショットが乱れて、後半もチャンスが作れなかった。そういう状況でも、アンダーパーで回れたのはOKでしたし、決勝ラウンドをこの位置で迎えられたのはよかった。私はフェアウェーキープ率を気にしているんですけど、今週はフェアウェーキープができていない。あと2日間、しっかり調整してできたらいいな、と」

 2001年度生まれの『新世紀世代』となる笹生と、2000年度生まれの『ミレニアム世代』の西村を1打差で追うのは、1998年度生まれの『黄金世代』の先駆者である勝みなみだ。

 アップダウンの激しいコースに対し、好スコアの要因について訊ねられた勝は、「バンカーが調子いい」ことを真っ先に挙げた。

「バンカーに入っていれば、なんとかなる気持ちで打てるので、すごい気がラクです。バンカーからスピンをかける打ち方もうまくなってきたので、それで寄せたり、距離感も感覚でつかめるようになってきた。バンカーショットには今、自信があります」

 現時点で、勝は今大会で約300万円の賞金を稼がなければ、今年最後のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップに出場できない立場にある。

「一年の最後をここで迎えるのと、宮崎で迎えるのとでは違います。地元(鹿児島)も近いですし、毎年応援にたくさんの人が来てくださっていたので。今年は応援に来られなくても、気持ちは近くに感じると思う」

 さらに、勝と同じ3位タイで決勝ラウンドに臨むのは、前週に今季2勝目を挙げた20歳の古江彩佳だ。

「(連戦の疲れについては)昨日もちゃんと寝られたから大丈夫です。同世代の選手たちががんばっているのは、自分もがんばらないといけないなと思わせてくれます。上が伸ばしているかどうかは気にせず、自分ががんばるだけ」

 大きな注目を集める渋野は、前日に「鬼門」と語っていた2日目に2つスコアを落として通算1アンダー、順位も20位タイに後退した。前半でふたつのボギーを叩くと、ハーフターンの休憩時にロッカールームで自らの拳で頭を叩いて自身を鼓舞したという。

 黄金世代以下の若手が上位で躍動し、否応なしに世代間闘争の様相が色濃くなっている。コロナ禍によって、来年末まで続く長いシーズンも節目を迎え、百花繚乱の女子ゴルフ界から抜け出すゴルファーは現れるのだろうか。