専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第281回 ゴルフポータルサイト国内最大手のGDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)の発表によると、今年8月のゴルフ場送客数は、前年比25%もアップしたとのこと。新型コロナウイルス…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第281回

 ゴルフポータルサイト国内最大手のGDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)の発表によると、今年8月のゴルフ場送客数は、前年比25%もアップしたとのこと。新型コロナウイルス拡大の影響で、外出などへの自粛傾向が強まっているなか、これはいったい、どういうことでしょうか。

 ゴルフをプレーする人の数、すなわちゴルフ人口は、過去20年ぐらい減少傾向にありました。ところが昨年、渋野日向子選手が全英女子オープンで優勝したあたりから、ゴルフ出版物の長期低落傾向に歯止めがかかり、ゴルフ人口も微増しています。増加の下地は、確かにありました。

 けど、新型コロナウイルス蔓延中に、いきなり前年比25%もゴルフ場利用者が増えるなんて、もはや神風が吹いたとしか思えません。

 具体的には、コンペ客などの団体利用は減少し、若者の利用が増加した模様です。同時に、キーワード検索では「ゴルフ初心者」や「ゴルフビギナー」といった言葉が多数ヒットしており、明らかに普段ゴルフをやっていない層が、大挙してコースにやって来たと言えます。

 理由はさまざま挙げられますが、最大の要因として考えられるのは、「ゴルフは新型コロナウイルスに対して、比較的安全なレジャー&スポーツである」と認識されたことです。

 ゴルフは、屋外レジャーであり、ソーシャルディスタンスを保ちやすく、健康的なことも考えて、一番とっつきやすかったのでしょう。周りもやっているし、おおよそ親がやっていて「じゃあ、ウチらもやってみますか」となったケースが結構あるのではないでしょうか。

 大学生の間でも、ゴルフ部以外にゴルフサークルがあって、みなさん緩い感じでゴルフを楽しんでいます。さらに"軟派な"オールシーズン・スポーツサークルが多数あって、それらは「夏はテニス。冬はスキー&スノボー」というのが定番でしたが、一部で、テニスではなくゴルフをやり出して、隠れゴルファーが若者の間で密かに浸透していたようです。

 そうして、そんな適度にゴルフを嗜んでいた層がこの夏、一気にコースへと流れていったみたいです。

 また、ゴルフ場側も新型コロナウイルス感染防止対策により、ゴルフウエアのままでの来場をよしとし、ジャケットを日頃着ない層も行きやすかったのではないでしょうか。しかも、スループレーですから、人との接触が少ないだけでなく、時間的な短縮も図れ、ササッとラウンドして経済的にも安く済ませられたことがよかったようです。

 思えば、今の若者世代は、子どもの頃に宮里藍選手、横峯さくら選手、石川遼選手らを見て育っています。彼らは、いかついプロと違って、非常に親しみやすい存在でした。なかでも、宮里藍選手は小柄ながらアプローチとパターを巧みに使って、世界ランキング1位の座に就いています。そうやって、普通の体格の女性でも世界で活躍できることを目の当たりにし、「自分たちもやってみたい」と思ったのでしょう。

 さて、大事な話はここからです。せっかく若者がゴルフ場にやって来たのですから、このまま足繁くコースに通ってほしい、と多くの関係者が思っているはず。でないと、30年後には、ゴルフをやる人がいなくなってしまいますからね。

 そこで、ゴルフ場側にも何かしらの工夫をして、若者たちが訪れやすいようにアピールしてもらわないといけません。その策を練ってみましょう。

◆ビギナー割&サービス
 ビギナーの若者たちに対しては、2000円割引で、カラーボール2個を進呈とかいいんじゃないですか。あと、カートにはビギナーマークの旗を立てて、後ろから煽られないようにするとか、そういったサービスもしてほしいですね。

◆服装のカジュアル化
 通常ジャケット着用を義務づけしているコースも、いまだ新型コロナウイルスの感染拡大が終息していない状況にあるので、「ジャケット着用は任意とします」という形を続けてほしいです。それだけで、お客さんは増えるはずです。

 プレー中は、ポロシャツを着ていればOKとしましょう。GパンはNGのままでいいと思います。イマドキの若者はファッションセンスがあるので、そこは理解してくれるんじゃないでしょうか。

 BS放送の女子ゴルフの番組では、出演している女子ゴルファーのミニスカ着用率は80%を越えています。ゲレンデ効果ではありませんが、ミニスカ女子はゴルフ場に映えて、可愛く見えますから、そういったテレビを見ている若い女子は、ゴルフをするならミニスカートを穿いて当然、と思っているかもしれません。そうなると、コースがどんどん華やいでよろしいんじゃないですか。

◆ビギナールール&マナー
 ビギナーのラウンドにおいては、コース側が独自の「ビギナールール」を設けて、それに準じてプレーしてもらう、という試みもしてほしいですね。そうすれば、他のお客さんも助かると思いますよ。

 一番大事なのは、プレーの進行ですからね。そのために、ビギナーの方々には予めボールをプレゼント。ボールをなくしたら"ロストボールとしてワンペナ"で進行してもらう。ボール探しも、せいぜい1分くらいにしてもらいましょう。

 加えて、前進3打or4打ティーのないOB杭はワンペナ扱いにして、やる気が失せる大叩きを防ぎます。その意味では、スルーザグリーンではオール6インチプレースは当たり前。ディボット跡からは出して打ってもらいましょう。これも、ビギナーには当然の処置でしょうね。

 ショット後にディボット跡が出来た時の目土の処理は、砂袋は一応各自カートに積んでおくとしても、強制しすぎないほうがいいでしょう。やれればどうぞ、くらいにしておきますか。

 さらに、ビギナーはパットで時間がかかる場合が多いので、半径70cmくらいの円をカップ周りに書いておいて、その円の中に入れば自動的にオーケーでいいんじゃないですか。たまに、オーケーの判断で議論する人がいますから、そうしておけば、スコアアップと時間の短縮につながります。

 さほどうまくないアマチュアは、自分がコースに行っていいんだろうか? (周囲に)迷惑をかけてしまうんじゃないか? と悩みがちです。そこを、コース側がうまく汲み取ってあげるのが大事かと。

 多くのビギナーは、たいてい誰かうまい人に連れられてコースに来ます。そういう場合は、そのパーティー内でルールやマナーを教えてもらい、周りに気を配りながらプレーするので、スムーズなラウンドができます。

 問題なのは、全員がビギナーという場合です。今はネット社会なので、全員ビギナーでも簡単に予約ができますからね。

 そうすると、たとえコースで"大暴れ"していても、何が問題なのか、どこがいけないのか、まったく気づくことなく、ラウンドを終えることになります。その場合、周りで振り回されるほうは、かなりしんどいです。



ゴルフをやり始めた若者たちには、その厳しさよりも、まずは楽しさを知ってほしいですよね。illustration by Hattori Motonobu

 もし、プレーヤー全員のスコアが平均110以上だったら、その旨を素直にコースに言って、相談してほしいものです。キャディーさんをつけるとか、マーシャルが時々見守るとか、何かしらの対応ができますからね。

 とにかく、みんなゴルフを嫌いにならず、「楽しい」と思ってほしいです。そうあることを、切に願っています。

 今後、「ビギナー応援コース」とか「若者応援コース」とか、そういったコースがどんどん出てきてほしいですね。今なら、Go To トラベルキャンペーンを絡めて、多くの集客が見込めますから。

 ほんと、コース側にはその辺りの意識を高めてほしいです。ゴルフ場に若者がいないと、将来、ほとんどのゴルフ場が"ソーラーパネル畑"に変わってしまう可能性がありますよ。