フィギュアスケート女子元日本代表の中野友加里さんが、フィギュアスケートを様々な角度からお届けするYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」。
「衣装編第2弾」となった14日公開の動画では、苦労したという中野さんが2007年世界選手権東京大会で着用した「SAYURI」の作成秘話や、選手同士の衣装被り、さらには衣装と音楽の関係について語っている。
着物のイメージが難しく・・・
「そもそも、この『SAYURI』を選曲した理由としては、2007年に東京で世界選手権が開催予定だったので、もしそれに出場できるのなら、日本をベースとした芸者の音楽『SAYURI』で勝負したいと思い、振付師のマリナ先生と相談し決定しました。」
中野さんによると、選曲そして振付自体はトントン拍子で進んだものの、衣装の作成に相当な苦労があったという。
「ある海外のデザイナーさんに、『着物をイメージして作りたい』とお伝えしたんですが、どうも海外の方の着物に対するイメージが難しかったようで、ちょっと違うんですよね・・・。
デザインして、それを基に衣装を作成するって、難しいことなんだなと思いました。
結局出来上がったものが自分のイメージと違うものだったので、最初は、過去に着た青い衣装を着物風に母がアレンジして作り着用していました。ただ、それも母が見飽きてきたということで、今度は一から自分で作ってみようということになり、出来上がったのがこの紫の衣装なんです。」
最終的に母親の手作りとなった「SAYURI」の衣装。
着物をイメージして作成するにあたり、難しかった点もあったようで・・・
「着物って、必ず女性は帯をしますが、その帯をスケートの衣装で入れると、難しい形になり、見栄え的に美しく見せるために、凄く労力のかかるものになってしまいます。なので、いっそのこと帯をとってしまおう、ただ斜めのラインはデザインで残すような形でと、まとまりました。」
さらに、シャンプを跳ぶ際に重要な衣装の「重量」に関しては、こんな工夫が施されているという。
「衣装はなるべく軽い方が良いということで、絹を染めてもらい使用しました。ストーンも他の衣装に比べたらそこまでついていないので、凄く軽いですね。
一つだけ、先生には『ウエストラインが美しいのに、スカートが広がりすぎているから、そこがもう少し綺麗に見える形だと良かった』と言われたんですが、私としては、せっかく母が作ってくれた衣装で、東京開催の世界選手権に出場できて良かったなと思います。」
『選手本人』『衣装』『音楽』の一体感は凄く大事なこと
毎年、世界各国多くのスケーターが大会に出場するなか、気になるのが、選手同士の「衣装被り」だ。
その点について、中野さんはこのように話す。
「それこそ『オペラ座の怪人』など、同じ曲想になってくると、どうしても衣装は被りがちですね。ただ、全く同じ衣装というのは、あんまりお見受けしないですね。
6分間直前練習の時に、同じ色が何人かいる、ということはあると思いますが、衣装自体が丸被りは今まで見たことがないので、デザイナーさんも気を遣っているのかなと思います。選手それぞれの魅力を引き出しつつ、オリジナリティを存分にアピールする衣装になっていると思います。」
さらに、衣装と音楽の関係性もあると中野さんはいう。
「わかりやすいのが、クラシックバレエ音楽ですね。『白鳥の湖』は羽がついていたり、真っ黒、真っ白ということが多いですし、『ジゼル』は、町娘の衣装というように、衣装を見ただけで、曲がわかることもあります。
ただ、わかりやすいのも凄く大事なんです。曲と衣装が合っていないと『ん?』と思ってしまったりとか、演技全体の見栄えも変わってくる。そういった部分で、『選手本人』『衣装』『音楽』の一体感って凄く大事なことかなと思います。それによってスケートリンク全体も一体感に包まれると思いますし、衣装も勝負する上で、一つの大事な要素です。」
このほか動画では、中野さんが遭遇した本番中の衣装ハプニングや、衣装との相性についても語っている。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。