新型コロナウイルスの影響で、グランプリシリーズ・スケートカナダ、フランス杯、そして来年の四大陸選手権の中止が決定し、日本国内で開催されている大会も、無観客で行うなど、通常とは異なるシーズンを強いられているフィギュアスケート界。
このコロナ禍の中、選手たちはどのように調整をし、大会を迎えて行くのか。そして、今季の大会の開催の行方はどうなって行くのだろうか。
さらに、今シーズン国際試合への欠場を発表した羽生結弦選手についてなど、コロナ禍のフィギュア界について、フィギュアスケート女子元日本代表の中野友加里さんが自身のYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」内で語った。
「私がもし現役選手だったら・・・」
今年春には、新型コロナウイルスの影響で、多くのスケートリンクが閉鎖されるなど、氷上での練習が不十分なまま、シーズンを迎えることになった選手たち。
体力面や試合勘など、様々な難しい調整を強いられることとなったが、この点について中野さんは、こう話している。
「このような状況の中で、おそらく選手たちは、スケート靴をはいて氷上に乗れない時間が1ヶ月〜2ヶ月ほどあったと思います。
私が現役時代21年間過ごした中でも、最大で休んだのが4日くらい。
毎日ずっと続けていたことを、急に1ヶ月、2ヶ月やめるって、本当に想像がつきませんし、私がもし現役選手だったら、ちょっとビビって辞めていたかもしれません。
そのくらい、選手にとって休むということは凄く過酷なことなんです。
休んだら休んだ分の倍、体力を戻すのに時間がかかると思いますし、休むのも勇気がいるんですよね。」
その中で中野さんは、この体力が落ちてしまった部分を、どのように戻していくか、そしてシーズンが始まっている中で、どうやって調整していくかがカギと語る。
「試合数も例年より少なくなっているので、選手たちも試合勘を取り戻すのに時間がかかるのではないかと思います。どのように競技をしていたか、どのように大会に臨んでいったかといったことが、いつもとは違う感覚で臨むことになると思うので、そこが演技にどのように影響が出るか心配なところではあります。
ただ、それはどの選手も同じです。
自粛中に、オンラインで振り付けをして、自分のものにしている選手もいれば、陸トレを沢山やって、走って体力を鍛えている選手もいますし、一概に落ちているとは言えません。
しかし、体力不足で大会に臨んでしまうと、怪我に繋がってしまう可能性もあるので、怪我だけはないように、体調万全で臨んで欲しいなと思います。」
ファンのことを考えての決断
今シーズン、主要大会の中止が相次ぐ中、来年予定されている世界選手権の開催も不透明な状況。既に開催が発表されている全日本選手権も、今後の状況次第では危ぶまれるところもある。
今後の大会の開催について中野さんはこう話す。
「今のところ世界選手権の開催は決まっていますが、海外の状況もあるので、なんとも言えません。
世界選手権の一次予選は各国、地域で始まっているので、全日本選手権は是非見たいなと思います。
選手たちがどのような演技をするのか、私も楽しみにしていますし、全日本に出たいという選手は沢山いると思うので、そういった人たちのためにも開催されるといいなと思います。
ただ、やはり体が基本ですので、体調万全でいられることが、私の望みであり願いです。」
そんな中、羽生結弦選手が、今シーズン国際試合への欠場を発表。
この決断を受けて中野さんは、こうコメントしている。
「『僕が試合に出てしまうと、沢山の人が移動してしまう』と言っていましたが、ファンのこともしっかり考えての決断だと思います。
彼自身はきっと試合に出たいと思うんです。ただ、ファンのことを考えての決断だと思うので、そこまで気を遣える素晴らしい選手だなと思います。」
今シーズン試合を欠場することで、来シーズンは五輪シーズンぶっつけになる羽生選手。
1年のブランクがあることについて、中野さんはどのように考えているのだろうか。
「五輪を目指している選手は、五輪プレシーズンとなる今季、試合に出ないということは考えていないと思います。ただ、羽生選手になってくると、1年休んでしっかり練習を積んで、北京五輪のシーズンに照準を合わせてくることができると思っています。
大会に出ると、体力を戻すのに時間がかかってしまったり、怪我のリスクもありますので、練習期間をできるだけ長くし、五輪シーズンに良い演技を魅せるのもありなのではと思っています。」
さらに動画では、今年の全日本選手権の第一次予選・中部選手権をジャッジとして参加した中野さんが感じた、「無観客での演技」について、選手の心情を踏まえて語っている。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。