慶大は昨季の関東大学対抗戦(対抗戦)で3-40と圧倒され敗北した明大と対戦。今季も3戦負けなしである明大の有利が予想されたが、慶大が最終盤で劇的な逆転勝利を飾った。前半は3-7で折り返すなどリードされる展開が続いたものの、試合を通して慶大…

 慶大は昨季の関東大学対抗戦(対抗戦)で3-40と圧倒され敗北した明大と対戦。今季も3戦負けなしである明大の有利が予想されたが、慶大が最終盤で劇的な逆転勝利を飾った。前半は3-7で折り返すなどリードされる展開が続いたものの、試合を通して慶大守備陣の強さが光った。

 開始5分、ペナルティーキックのチャンスを得る。これをFB山田響が落ち着いて決めて先制し、3-0。その後も積極的に攻めるが、13分にパスミスからの鋭いカウンターを浴び3-7とリードを許した。その後は敵陣に攻め込むチャンスを得るが、キックミスなどでお互い得点を重ねることができない展開が続き、3-7でリードされたまま前半を終える。


キッカーとして80分間フル出場した山田

 後半早々から山田やSO中楠一期が積極的にキックで好機を演出するが、得点には至らず。後半17分、ラインアウトからドライビングモールで押し込み、逆転に成功。コラプシングの反則をとられ、少し対応が遅れた明大を一気に押し込んだ。このまま守り切りたい慶大だったが、32分に鮮やかなサインプレーからトライを奪われ12-10。再びリードを許した。試合終盤での失点、集中力を切らさない強敵相手に反撃は難しいと思われた。しかし試合終了間際の後半43分、決めれば逆転となるPKのチャンスを得る。これを山田が落ち着いて決め、スコアは13-12に。これがラストプレーとなり、慶大が劇的勝利で見事、昨季対抗戦王者の明大を破った。


PGを決め逆転勝利を喜ぶ慶大

 試合を通して、慶大の堅守が光った。実際、これまでの4試合で慶大の合計失点数は47点。これは対抗戦Aグループ8校の中で最小だ。
 第4節の結果、早大が4勝で1位、慶大、明大、帝京大が3勝1敗で並ぶかたちとなった。次戦は青学大との一戦。勝利して対抗戦4連勝を飾りさらなる勢いに乗ることができるか。

(記事 末次拓斗、写真 塩塚梨子)

コメント

※記者会見より抜粋

栗原徹HC

――今日の試合を振り返っていかがですか

 このような環境でシーズンがスタートして、無事に明治大学さんと試合ができたというのが何よりもうれしいです。果敢にチャレンジした結果勝利できましたが、何より選手全員が精一杯チャレンジしてくれたことがうれしいと思っています。

――最後のPG成功の瞬間のお気持ちはいかがでしたか

 ゴールが入る前にもうスタッフ陣は握手をしていました。その握手は勝ったからではなくて、ここまで本当に精一杯みんな頑張ったので、僕は(PGが)入っても入らなくても満足のいく試合でした。ただ、入ってみんなが喜んでいる顔を見ると、入ってよかったと思っています。80分間のみんなの努力は本当に素晴らしかったと思っています。

ロック相部開哉主将

――今日の試合を振り返っていかがですか

 相手が明治大学さんということで、チャレンジャーマインドで挑みました。その中で、自分たちのやることにフォーカスしてやり切ることができ勝ち切れたので、最高の結果だったと思います。また課題もあったので、そこについては修正していきたいと思っています。

――慶大のタックルが印象的でしたが、実感としては80分間やり切れましたか。また、ディフェンスに関してフォーカスしていたことは何ですか

まず、やり切れたかという質問に関しては、FWとBK一体となって良いディフェンスがし続けられたと思っています。フォーカスしていたことは、自分たちがしっかり前に出て相手にプレッシャーをかけて時間とスペースを奪うこと。そこから、明治大学さんはワイドなアタックをしてくるので、それに対して良いスペーシングをして、相手のアタックをシャットアウトするというところにフォーカスしていました。

――最後のPG成功の瞬間のお気持ちはいかがでしたか

自分はまだPGの後にも時間が残っていると思っていて次のことを考えていたのでびっくりはしたのですが、終了の笛が鳴った瞬間、本当に我慢し続けてよかったな、報われたなと。自分たち23人だけではなく、部員全員の努力が報われたと思いました。

――最後のPGを決めたFB山田響に関して、前半ミスキックなどが多かった中、それでも最後まで蹴らせ続けたことを含め、何かやり取りはされていたのでしょうか

前半からタッチキックのミスなどがあったのですが、自分は彼のキックを信頼していますし、彼をキッカーにしているということは彼がチームで一番キックがうまいということなので、彼が失敗したということは慶大が失敗した、彼一人の責任ではないという風に捉えています。そのため「落ち込む必要はない」とまず声をかけました。最後のキックに関しても、彼に重いプレッシャーをかけてしまったというのはあるのですが、彼は大舞台も経験していますし、そこに対する信頼もあり、普段の立ち振る舞いを見ても、逆境を乗り越える力があると思っていたので任せました。

ロック北村裕輝

――今日の試合を振り返っていかがですか

今日の試合は、「ディフェンスで勝とう」とチーム全体で話をしていて、それがFWとBK全員が一体となって出せた結果だと思っています。まだまだ課題もあるので、これから日吉(グラウンド)に戻ってしっかり練習をして備えていきたいと思います。

――最後のPG成功の瞬間のお気持ちはいかがでしたか

それ(PG)が最後のプレーだというのはわかっていたので、入った瞬間はとてもうれしかったです。80分間、苦しい時間帯もかなりあって、上手くいかないこともあったのですが、これまで準備してきて良かったという気持ちになりました。

関東大学対抗戦
慶大スコア明大前半後半得点前半後半
10
13合計12
【得点】▽トライ 原田 ▽ゴール 山田(3G)
※得点者は慶大のみ記載
関東大学対抗戦Aグループ得点表(11月1日現在)
チーム勝ち点試合得点失点得失トライ
早大16(20)44002086214632
帝京大12(16)43013037223144
明大12(16)43012005514531
慶大12(14)43011844713727
筑波大8(9)4202116113316
日体大4(5)410347268‐2217
青学大0(2)400457283‐2268
立大0400434249‐2155
( )内の数字はリーグが全試合実施された場合にボーナスポイントを加算した際の勝ち点。
関東大学対抗戦Aグループ星取表
 明大早大帝京大筑波大日体大慶大青学大立大
明大12/6 14:00秩父宮11/22 13:00秩父宮◯33‐1711/7 14:00秩父宮●12-13◯82‐10◯73‐15
早大12/6 14:00秩父宮◯45-2911/7 11:30秩父宮◯70‐511/23 14:00秩父宮◯47‐21◯46‐7
帝京大11/22 13:00秩父宮●29-45◯54‐17◯98‐1012/6 14:00熊谷◯122‐011/8 14:00上柚木陸上
筑波大●17‐3311/7 11:30秩父宮●17‐5412/6 11:30熊谷◯30-1911/23 14:00AGFフィールド◯52-7
日体大11/7 14:00秩父宮●5‐70●10‐9812/6 11:30熊谷●0‐74◯32-2611/23 11:30AGFフィールド
慶大◯13-1211/23 14:00秩父宮12/6 14:00熊谷●19‐30◯74‐011/8 11:30上柚木陸上◯78‐5
青学大●10‐82●21‐47●0‐12211/23 14:00AGFフィールド●26-3211/8 11:30上柚木陸上12/5 13:00大和スポーツセンター
立大●15‐73●7‐4611/8 14:00上柚木陸上●7-5211/23 11:30AGFフィールド●5‐7812/5 13:00大和スポーツセンター

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、明大Gは明大八幡山グラウンド、上柚木は上柚木公園陸上競技場、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場。