男子1部の秋季関東大学リーグ戦代替大会の中止を受け、10月24日から残りの試合がオープン戦という形で開催されることに。早大にとって最後のオープン戦となったこの試合、優勝争いに名乗りを上げている中大を相手に迎えた。2セット目までは早大リード…

 男子1部の秋季関東大学リーグ戦代替大会の中止を受け、10月24日から残りの試合がオープン戦という形で開催されることに。早大にとって最後のオープン戦となったこの試合、優勝争いに名乗りを上げている中大を相手に迎えた。2セット目までは早大リードの展開に持ち込むも、3セット目からは相手の雰囲気に飲まれる。だが宮浦健人主将(スポ4=熊本・鎮西)や村山豪副将(スポ4=東京・駿台学園)の4年生の踏ん張りで3セット目も奪取。セットカウント3-0(25-20、25-17、25-23)で破りストレート勝利した

 正セッターの中村駿介(スポ4=大坂・大塚)が教育実習で不在だったため、仲濱陽介(スポ3=愛知・星城)がチームの司令塔に。さらに、教育実習で練習に参加できない期間が続きコンディションが万全ではなかった宮浦主将の代わりに中島明良(法2=京都・洛南)が起用された。スタメンの4年生二人が不在だったものの、これまで通りの強さを見せつけるスタートを切った。序盤、大塚達宣(スポ2=京都・洛南)、中島、水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)のスパイク等で一気に5連続得点を挙げ、5-1に。その後は両者サイドアウト(※1)を取り合い、早大リードのまま25-20で1セット目を先取した。2セット目も同様に早大のペースに持ち込む。10点台に乗るまでは均衡を保つものの、またもや大塚、中島、水町の活躍で13-9と差をつける。22-17の場面で中島に代わり途中出場した宮浦主将がスパイクを決めると、水町と交代した吉田悠眞(スポ3=京都・洛南)のブロックアウト、仲濱のプッシュで25-17とした。


スパイクやサーブで活躍を見せた中島

 だが3セット目は相手の空気に飲まれてしまった。力強さとコントロールの良さを兼ねる藤原直也(1年)のスパイクに苦しめられ、15-12に。これに思わず早大はタイムアウトを取る。その後追いつくも、あと1点届かない。20-21の場面でピンチサーバーとして重藤トビアス赳(スポ2=神奈川・荏田)が投入され、相手の守備を乱すサーブでチームは勢いづく。だが中大も粘り23-22に。ここで意地を見せたのが4年生。宮浦主将がレシーブを吹きとばす強烈なスパイクを決めると、村山副将のダイレクトでブレイク(※2)。最後は相手のトスミスでこのセットを25-23で終えた。


三枚ブロックを打ち砕く大塚

 宮浦主将、中村がスタメン入りをしていなくても中大にストレート勝利を収めた早大。宮浦主将が新チーム発足後のインタビューで話していた「誰が出場しても強いチームにしたい」という希望は現実となりつつある。選手層の厚さが垣間見え実りのある試合であった一方、相手の雰囲気に飲まれたときになかなか自分たちのペースを取り戻せないという課題もあった。大塚が「インカレ(全日本大学選手権、以下全日本インカレ)は毎日試合が続くのでコンスタントに同じプレーをできるようにしなければならない」と言うように、プレーにむらがあれば命取りになることもある。全日本インカレまであと1か月を切った。揺るがず、自分たちの軸を持ち続けられるかどうかが今後の明暗を分けるだろう。

(記事、写真 西山綾乃)

 

(※1)サイドアウト…サーブ権を持っていない側が得点すること
(※2)ブレイク…連続得点をすること

★Today’s Feature 第1回 水町泰杜

 期待の新星、水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)は、鎮西高校時代ともに戦ってきた先輩である中央大の鍬田憲伸(3年)と大学バレーの舞台で対戦した。水町の高校1年時、鍬田は3年生。二人はダブルエースとしてけん引し、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)や全日本高等学校選手権大会(春高バレー)ではチームを優勝に導いた。


水町は大学入学後すぐにレギュラーメンバー入りした

 二人のエピソードについて尋ねたところ、「憲伸さんに本気で怒られたことがあって」と笑った。自主練習の時間に水町を含めた1,2年生の何人かでサッカーをしていたところそれが3年生の耳に入り、全体のミーティングで鍬田に叱られたという。そう茶目っ気たっぷりに話す一方、やはり頼れる存在だったと振り返る。鍬田は得点源としてチームの大黒柱を担っていたのに対し、水町は裏エース。「憲伸さんはエースとして活躍していたので、自分はそれについて行くだけという感じでした」と信頼を寄せていた。鍬田が引退してからは、水町がチームのエースに。普段からプレッシャーを感じるタイプではないが、『2冠を達成した鎮西のエース』という目を向けられ不安に押しつぶされそうになることもあった。心が折れそうになっても体がボロボロになっても、点をもぎ取りに行った。だが全国の壁は高く優勝は経験できず。だが、鎮西のエースとしての自覚やプライドは確かに受け継がれていた。

 戦いの舞台は大学に移る。高校時代の最強の味方は、今、ライバルにーー。今度は大学日本一の称号を手にすべくしのぎを削る。

(記事・写真 西山綾乃)

 

セットカウント
早大25-20
25-17
25-23
中央大
スタメン
レフト 大塚達宣(スポ2=京都・洛南)
レフト 水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)
センター 村山豪(スポ4=東京・駿台学園)
センター 上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)
ライト 中島明良(法2=京都・洛南)
セッター 仲濱陽介(スポ3=愛知・星城)
リベロ 荒尾怜音(スポ1=熊本・鎮西)






コメント

上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

オープン戦最後の試合でチーム一丸となって勝ちに行こうという気持ちで行けたので、とりあえず勝てて良かったと思います。

――3年生になってからスタメンでの出場が続いていますが、試合の感覚は掴めていますか

2年生のときも最後のインカレ(全日本大学選手権)にも少し出させてもらっていたのですが、3年生になってからスタメンで起用してもらって。感覚的なものは掴めていますし、チーム自体もどんどん調子が上がってきています。

――クイックがとても決まっているように見えますが、調子はいかがですか

調子は良いというか、70点くらいですね。まだ雑なプレーというか、まだ決め切れていないので、それさえ決め切れたらいいかなと思います。まだインカレまで時間はあるので、そこまでに100点にしたいと思います。

大塚達宣(スポ2=京都・洛南)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

教育実習でメンバーが抜けてしまったりしましたが、代わりに入ったメンバーが頑張ってくれました。きょうはチームとして勝てたと思います。

――シニアの日本代表の合宿の経験は今活かされていますか

プレーだけじゃなくてラリー間のインターバルのときの声のかけ方だったりとか、ラリー中の声とか。あと自分がボールを触っていないときの動きとか。直接的なプレーじゃないところで周りを見てチームを動かすことができるようになったと思います。

――サーブは前よりも狙われるようになりましたか

いや、そうでもないんですけど。きょうの3セット目は少し崩れてしまって。1試合通して安定してプレーできるようにはなりましたが、インカレは試合が毎日続くので毎日コンスタントに同じプレーができるように練習しないといけないと思いました。今年はリーグ戦がなくて土日続けてプレーすることがないので、その点は個人としてもそうですがチームとしても不安はあると思います。そういうときでも自分が崩れずに波のないプレーができるように頑張りたいです。

――1年生の頃から試合に出ていましたが、2年生になって変わったことはありますか

去年は堀江さん(友裕、令1スポ卒=堺ブレイザーズ)や村本さん(涼平、令1法卒)、吉田悠眞さん(スポ3=京都・洛南)とかレシーブで頑張ってくれている人がたくさんいたので、自分は攻撃に専念することができたのですが、今年はそれだけじゃなくてレシーブの面でも軸になって頑張らないといけないと思っています。そういう意味ではスパイクだけじゃなくて、つなぎの部分の精度も上がっていると思うし。レシーブとかつなぎの精度は去年よりも上がっていると思います。そこは自信をもってプレーしていきたいです。

重藤トビアス赳(スポ2=神奈川・荏田)

――きょうの1セット目と3セット目、重藤選手がピンチサーバーで入ってきてから、チームに流れが来たように見えました

ミスしても決まってもサイドアウトは取れるので、気楽にやっていました。

――ピンチサーバーとしての出場が多い分、サーブの練習には力を入れているのでしょうか

いや、そんなことはないですね。でも人よりは感覚的に意識してやっているつもりです。

――今後はどのようなところでチームに貢献していきたいですか

今のチームは競っている場面が少ないのですが。競っているときに出て、いいサーブを打てるように頑張りたいです。

中島明良(法2=京都・洛南)

――きょうは今年に入ってから2回目のスタメン出場となりましたが、いかがでしたか

Aチームが支えてくれて心置きなくプレーできました。

――緊張しましたか

大丈夫でした。

――以前レシーブが苦手とおっしゃっていましたが、きょうは後衛でのレシーブもあるポジションでした

やっぱりまだ下手くそでした。

――どのようなところでしょうか

前よりはましになりましたが。上げられるボールを増やせるように精進します。

――今後どのようなところでチームに貢献していきたいですか

宮浦さん(健人、スポ4=熊本・鎮西)が疲れたときに安心して任せられるような選手になるというのと、もしピンチサーバーで出たら崩すくらいで頑張りたいと思います。

荒尾怜音(スポ1=熊本・鎮西)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

途中はきつい展開で相手にリードを許していたときもあったんですけど、そこで4年生が我慢してチームの軸がぶれなかったから、3-0で勝てたのだと思います。

――高校の試合と比べて大学の試合はいかがですか

高校は実力が強い方が勝つのですが、大学は差があったとしても流れで勝敗がつくので、どんな相手でも気が抜けないなとは思います。

――大学のスパイクやサーブはいかがですか

スパイクが特に回転がかからない、重たいボールが来ますし。あとは手元で打ち方を変えてきたりする小技とかは高校生にはないものだと思うので、そこにはけっこう苦しめられています。

――高校時代の先輩の鍬田憲伸(3年)との対戦となりましたが、いかがでしたか

どんな相手でもやることは同じなのですが、憲伸さんの癖は自分も泰杜(水町、スポ1=熊本・鎮西)もわかっていたので、コースの読みだったり知っていたからやりやすかった部分もありましたし、対戦できて楽しかったです。