最後の対談は各大学のエースと称される1番艇を任されるスナイプ級スキッパーの松尾虎太郎主将(スポ4=山口・光)、470級スキッパーの小泉凱皇(スポ3=山口・光)の先輩、後輩コンビです。幼い頃からの友達だというお二人には当時お互いに抱いていた…

 最後の対談は各大学のエースと称される1番艇を任されるスナイプ級スキッパーの松尾虎太郎主将(スポ4=山口・光)、470級スキッパーの小泉凱皇(スポ3=山口・光)の先輩、後輩コンビです。幼い頃からの友達だというお二人には当時お互いに抱いていた印象、そして2年ぶりの王座奪還にむけた心境や大会への意気込みをお聞きしました。

※この取材は10月26日に行われたものです。

こたさんはすごく負けず嫌い(小泉)


当時のことを振り返る小泉

――お二人はいつ頃から知り合いなのですか

松尾虎 僕が小学2年生で(小泉が)1年生の時です。同じ日にヨット始めたんだっけ?

小泉 僕が1日早いか、どっちかが1日早かったと思います。その時は僕が兄の遠征で広島に行ってて、そこで出会いました。

――お互いの印象を教えてください

松尾虎 昔の印象は手がつけられないような悪ガキ(笑)

小泉 いや、変わらないです(笑)。同じぐらい悪ガキです。

松尾虎 今はすごく真面目になったと感じます。

小泉 小さい頃から印象はあまり変わらないですね。

――お互いに尊敬するところはありますか

松尾虎 あまりそういう目で凱皇を見たことはないですね(笑)。学校がある時もヨットの時も常に近くにいたので、尊敬の目で見ることがないぐらい身近な存在です。あるとしたら真面目に競技に取り組んでいるというところです。

小泉 競技に関してはストイックで、口には出さないんですけどすごく負けず嫌いですね。また、実力もあり、メンタル面も立派だと思ってます。

――大学に入って関係性の変化はありましたか

松尾虎 全然ないですね。むしろさらに高校時代より一緒にいることが多くなりました(笑)。

小泉 そうですね。

松尾虎 部活では形式上敬語で話しているのですが、プライベートだとただの友達でずっと一緒にいますね。むしろ、敬語で話すほうが違和感があるぐらいです。

いい順位を取り続けること(松尾虎)


今年のチームの印象を語る松尾虎主将

――今年の470チーム、スナイプチームの雰囲気はいかがですか

小泉 実力も拮抗していて、チーム内でのライバル意識もすごくあります。また、目標を全日本インカレ優勝に置く中で全員の知識や技術を共有して、目標に対してチーム全体がレベルアップしている感じがあるので、雰囲気もいいです。

松尾虎 曲者が多いチームなんですが、みんな僕のことを慕ってくれていて、常に僕が言ったことに従ってくれるので、全員で何かしているようなチームかなと思います。それが今年はいい方向に向いていて、レギュラーの3艇だけではなく、それ以外の艇も速いので、部内のレギュラー争いが激しいですね。

――昨年と比べて、今年のチームの状態はいかがですか

松尾虎 僕自身、去年よりいい悪いというのは分からないです。というのも、去年が終わって今年しばらくコロナで空いてしまって、他大学もあまり練習できていない中で大会が始まってしまったので、去年との比較はなかなか難しいのですが、悪くはないという印象です。

小泉 去年と比べると、自分自身もそうですがチームとしても実力が上がってきていて、去年の全日本インカレは不安の方が大きかったのですが、今年は去年よりは不安も少なくて、冷静な感じで全日本インカレを迎えられると思います。

松尾虎 470チームは特に去年よりも全体が自信を持ってるよね。

小泉 去年は田中(美紗樹)さんがいたので、頼ってしまう部分はあったのですが、今年はそういった人がいないので、去年よりも責任は分担できているのかなと思います。逆にそれがいい感じに緊張感と責任感を持って練習やレースに臨めているので、そこはいい点かなと思います。

――この1年を振り返ってみていかがですか

松尾虎 僕は大変だったなという印象です。これはやはりコロナで活動が2か月ちょっとできなくて、今まで通りが通用しないことが多かったので、そこには頭を悩まされました。ただ、これが辛かったと聞かれるとそうではなく、特に後半からは楽しみながらできたかなと思います。

小泉 去年の全日本インカレを終えた時点で自分が走れなかったから負けたという責任を感じていて、自分のレベルアップがインカレ優勝に近づく最短ルートだと思っていたので、ナショナルチームとの練習会などに積極的に参加して、学んだことをチームに還元するようにしていました。また、そこでこたさん(松尾虎太郎主将)と乗る機会もあって、レースの際に絡んだり、時には勝つこともあったので、自分の実力を上げることができる環境の中で成長できた1年だったと思います。

――現状の課題を教えてください

小泉 僕は安定感がないことが課題です。調子がいい時は攻めて、スコアをまとめることができるのですが、最近は大会中でもいい状態の時と悪い状態の時がはっきり分かれてしまっているので、スコアをまとめて安定した成績を取れるようにしたいです。あとはレース展開、コース引きの部分を少しレベルアップできるようにします。

松尾虎 僕自身の課題としては、いい順位を取り続けることがそれぞれのクラスの1番艇の役目だと思っているので、常に高いスコアで走ることですかね。凱皇も言っていたのですが、リーダー艇となる艇は安定したスコアで上を走り続けることが大事になってくるので、風が弱い時でも安定させることができるように走っていければなと思います。あとは部員全員が全日本インカレに意識を向けられるように主将として引っ張っていく必要があると思っています。今年は色々な条件が例年と異なり、なかなか全日本インカレが最後の大会だとなりにくいところがあるのかなと個人的には感じているので、絶対に失敗ができない最後の大会だということをもう少し意識付けさせるということが課題だと感じているところです。

――自粛期間は何をされていましたか

松尾虎 部としては、一旦部活から離れてしまうとなかなか部活に戻ってくることが難しく、代が変わってから冬の寒い期間にもハードな練習をこなしてきた中で3月から部活がないですと言われてしまうと、どうしても部活から気持ちが離れてしまうし、楽な方に逃げていってしまうと思うんです。なので、それをなくすという意味でオンラインでのミーティングであったり、部全体でヨットの知識を共有したり、トレーニングを各自で行っていました。そのため、部活で何かをするスタンスを変えずに3か月弱オンラインでの活動に取り組んでいました。また、1日の中に部活のことが入るので、時間を合わせなければいけないのは大変だと感じているのですが、部活のことを考えながら毎日を過ごしてくれることが大事だと思い、活動をしました。ただ、自粛が明けて部活が再開した時に、部活以外のことをやっていた子達は辞めてしまったのですが、すぐに部としてのスタートを切れたのは、自粛期間で部活をやっていたおかげだと考えています。

小泉 僕も一緒ですね。4年生が企画してきたことを僕たちがこなすという形でした。個人としてやっていたのは部活のメニューとは異なるトレーニングですかね。あとはなるべくヨットから離れないことと自分は乗れる環境にいることで他の選手と差をつけることができると考えていたので、地元に帰って、ハーバーが開いている期間は少しヨットの練習をしていました。

――プライベートで新しく始めたことはありますか

松尾虎 英語の勉強をずっと行っていました。僕はオンラインの英会話教室に入っているのですが、ネイティブの外国人の方と毎日、英語で会話していて、今後ヨットを続けていく上で英語が必要となる場面は必ずあると思うので、英語の習得を頑張っています。去年もオリンピックキャンペーンなどで長く海外に行くことが多かったのですが、聞き取ることができても話すことができないのは課題としてあり、机に向かった勉強だけをしていても英語を話すことは出来ないので、話す機会を増やすためにもオンラインでの英会話をやっていました。

小泉 新しく始めたことは特にないのですが、ワセダには山口県に住む部員が多くて、後輩の鈴木(義弘)(スポ2=山口・光)と一緒に漁船に乗って釣りに行きました(笑)。

松尾虎 凱皇も僕もそうなのですが、好きなことが自然の中で何かをするということで、他にもそういうことが好きな人はヨット部の中にも数人います。大体、海を見る、海に出る、山川で遊ぶことが好きな人が多く、休みの日でも自然の中で遊んでいる印象です。

小泉 新しく始めたことではないですが、初めて山に登りました。てっぺんに登っても景色がいいとかそういうのはなかったのですが、両親と話ながら登って、トレーニングにもなったので楽しかったです。

――下級生とはどういったコミュニケーションをされていますか

松尾虎 下級生とすごく仲がいいかと聞かれると分からないですね。もちろん昔から知っている人やヨット経験者とは仲がよくて、一般生の下級生とも話はするのですが、すごく話すことはないですね。やはり一般から入った同期の方が一般の下級生とは一緒に過ごしているのかなとは思います。また、上級生として特に意識していたことは4年生の忙しさや苦労を下級生に感じさせないように考えて接していました。というのも学年が上がるにつれ仕事が増えることに対して、嫌だなと下級生には感じてほしくなくて、仕事を楽しみにして上の学年に進んでもらいたいです。なので、すごくやることが多い時でもそれを前面に出さずにしようと同期にも言ったりして、自分自身としても絶対にそれを出したくないと考えていました。それは下級生、特に3年生に対して大変だなとか、なりたくないなどと考えて4年生になってほしくはないので、仕事の大変さは出さないようにしていました。向こうから見て大変だなと思う分にはいいのですが、自分から不満は言わないように下級生と接していましたね。

小泉 今年は470とスナイプに分かれて練習することが多くて、1年生がほとんど470の方で一緒に練習していたので、合宿中でも着艇した後に1年生のために時間を割く日をつくることや一緒に練習する中で1年生の仕事を引き継ぐ必要があるので、そういったところで2,3年生がサポートしていました。また、海上に出てすごく風が弱い時や昼の休憩の時間に1年生をなるべくヨットに乗せて、触れる機会をつくってあげて、ヨットを好きになってもらえるように楽しく会話をしていました。これは僕というよりは470チーム全体でやっていることで、少しでもヨットに触れる機会を増やす工夫をしています。

――今年の1年生の印象はいかがですか

松尾虎 来るときも、練習前も、帰るときもずっと一緒にいるという印象です。

小泉 仲がいいです。あと元気ですね。去年の1年生より活発だと思います。

松尾虎 本当にいい意味でめちゃめちゃ仲がいいです。もちろん思うことはあるのですが、総じていい1年生で色々なところで働いてくれます。

――学業との両立はできていますか

松尾虎 僕はもうほとんど授業はとらなくてよくて、あとは卒論だけなのですが、前期は英語を勉強するために英語の授業をずっと取っていました。後期は卒論なんですが、また卒論に手を付けていないので、全日本インカレが終わってから取り組もうかなと思っています。

小泉 前期は忙しくなくて、オンラインだからなのか今までより単位も取れて、GPAも上がりました。今はもちろん全日本インカレに勝つために頑張っているので、後回しといういい方はよくないですけど、勉強は二の次って感じです(笑)。 もちろん最低限はやっているのですが、コロナの影響で大会が連続しているので、リアルタイムのゼミは抜けていることが多いです。でも、卒論に関しては僕の方が進んでいるかもしれないです(笑)。

松尾虎 まあ卒論はなんとかなると思っています。

仲良くなったきっかけは…

――ヨット以外の悩みはありますか

松尾虎 僕は生まれてヨット以外の悩みにあまり出会ったことがないですね。よくも悪くもすごく能天気でその場任せなので、起こったことに対して動くぐらいです。また、あまり周りのことを気にしないので、悩むということはないですね。ただ、僕は今4年生でこのあと卒業なのですが、ヨットを続けることは決めているものの、このあとどうしようかなという悩みはあります。でも、これは悩みというよりは軽く考えているだけなので、深く悩んではいないです。

小泉 僕も同じですね。生活の中心がヨットだったので、ヨット以外で悩むことはあまりないです。今までの悩みはヨットをするために最低限の勉強をしなければいけないということでしたが、大学は入ってからそれもないですね。 これから大きくなっていく悩みとしては就活です。

――ヨットを始めたきっかけを教えてください

松尾虎 小学2年生の頃にヨットの体験に行って、そこからは嫌々やっていました(笑)。嫌ではなくなったのは高校生か大学生の時で、そこからは自分の意志でやろうかなと思いました。初めの頃にヨットに行っていたきっかけは練習場所の近くに大きな芝生があるんですけど、行けばそこでサッカーができるので行っていました(笑)。あとは元から海が嫌いではないので、海に行けるということでヨットをしていました。

小泉 僕は完全に兄の影響でヨットを始めて、気が付いたら海の上にいる生活でした。もちろん、僕も高校ぐらいまではヨットレースが好きというわけではなく、スピードを出して速く走ることが好きでした。ヨットを続けてきた理由としては友達が増えるし、遠征先やレースで会った後に遊ぶことが楽しくて続けていました。あとはお互いの県が山口と広島で、よく僕が広島に行っていたので、こたさんと一緒に遊んでいました。なんで仲良くなったかは覚えてないですけど、出会ったきっかけがヨットなだけで広島のヨットハーバーの近くで一緒にサッカーをしていました。

松尾虎 俺、凱皇がヨットに乗っていた記憶ほとんどないよ(笑)。あっても中学3年ぐらいの記憶かな。

小泉 ヨットで仲良くなったというよりも、ヨットを理由にしてその場でサッカーや自然で落ちているもので遊んで仲良くなりました。僕たち、同じ大会に出ていて、ドベとドベ2なのに広島の上のところで遊んだりしていました(笑)。ヨットの記憶より遊んでいた記憶の方があります。あとは家族同士で仲が良く、こたさんのクラブで行われていたスノーボードにも呼んでもらって一緒に遊んでいました。ヨットというよりはそこで出会った友達と遊ぶのが楽しいという感じですね。スノーボードは今一緒に乗ってます。

――他にもやっていたスポーツや習い事はありますか

松尾虎 他にはサッカーもやっていました。習い事は特にはやってなかったです。親に止められることもなかったので、家に帰って遊びに行く毎日でした。

小泉 僕はバスケをやっていました。サッカーは小3くらいまでやっていたのですが、転校して平日にできるバスケをやっていました。休日はヨットの生活でした。

――お二人は幼いころからヨットに乗られていますが、一番自分に合っていると感じたクラスはありますか

小泉 僕はダブルハンドですかね。走らせることの方が好きなので、クルーの方がコースを引いてくれたほうが役割分担があって得意かなと思います。あとは速いボートが好きなので、今まで乗った船で一番楽しかったのは29erです。

松尾虎 WASZPじゃないの?

小泉 WASZPも楽しかったです。スピードが速いボートから順番に好きです(笑)。

松尾虎 僕も自分に合っているかは別として、好きなのはスピードが速いボートです。今のセーリング界では船があってそれが水に浸かっているものから船が水から浮くように進化していて、どんどんスピードも出るようになっているので、そういったボートはシンプルに好きです。ただ、自分がヨットレースをしていて楽しいと感じるのはスピードが遅くて、とてもタクティカルでゲーム性が高いスナイプのような船の方が競技者としては得意なのかなと感じます。ただ、スナイプを休みの日に乗ってくださいと言われて乗るかといわれたら、そこにあまり面白さは感じないです。なので、好きな時間にやるとしたらスピードが速いボートがいいですね。

――ライバルや憧れの選手はいますか

松尾虎 あまりこの人がライバルとか憧れると感じることはなく、それぞれの人によさを感じているので、それを吸収しながら走っています。また、自然が相手なので何が起こるか分からないし、レースが始まれば全員がライバルなので、そういった特定の選手はいないですね。

小泉 僕も同じです。その大会やレースにおいて近くにいる人には負けたくないとは思っているのですが、特定の選手に負けたくないというのはあまりないですね。ただ、常に負けたくないと思っているのは(西村)宗至朗です。 宗至朗との勝ち負けは気にする方かなと思います。

松尾虎 それでいくと僕は蜂須賀(晋之介)には負けてはいけないなと思っています。理由として、晋之介自身は僕のことをすごく慕ってくれている可愛い後輩で、ヨットも上手になってほしいと思っているのですが、その中で目標にしてくれているだろうからこそ、レースで負けてしまうと指導を聞く耳を持ってはくれなくなってしまうと思っているので、ワセダのみんなに、特に晋之介に対しては負けないようにすごく意識してやっています。

小泉 社会人の選手も出場する大会で一番負けたくないのは兄ですね(笑)。めっちゃ意識しています。この前もナショナルチームの練習レースで参加したんですけど、やはり負けたくなくて、最初は勝ってて後ろを振り向いたら本気の顔をして追いかけてきていました(笑)。一緒の大会に出た時は宗至朗と同等くらいに意識していますね。

全日本インカレにむけて

――全日本インカレまで1週間を切りましたが、心境はいかがですか

松尾虎 正直なところ、自分が4年生で色々考えながらやっているからなのか、ここ3年間と比べて、一番全日本インカレだという感覚が薄いかなと感じます。全体はどうかは分からないですが、今の時点での緊張はなくて、最後だからという特別な感じもなかったですね。

小泉 ずっと2か月前ぐらいから仕事があったからじゃないですか?僕たちは4年生に比べたら意識をし始めたのは遅かったと思います。

松尾虎 みんな緊張感あるのかな?

小泉 なくはないんじゃないですかね。

松尾虎 本来1年生は4月に入って、5月から大会がある中で夏合宿を通して1年間の集大成として全日本インカレを迎えるのですが、今年はそれがないので、どれくらいみんなが全日本インカレに意識が向いているのかは分からないですね。それがいいのか悪いのかもわからないですね。なので、自分の中では今回は例年に比べると、あっという間というか…。

小泉 実感がないですよね。もう全日本インカレ始まるのみたいな(笑)

松尾虎 先週まで秋インカレがあり、全日本インカレの後も全日本個人戦もあるからなのかは分からないですが、1週間前になってもう全日本行くのかというくらい気持ちです。なので、過去3年間と比べると、あまり身構えてはいないですね。あとは例年と違って応援が禁止で、保護者の方も来ることができない中で色々な催しも今年はないので、なかなか絶対優勝したいという気持ちが特に1年生に伝わっているかは分からないですね。

小泉 今年は落ち着いていますね。去年は実力的な不安と全日本インカレに初出場だったので、緊張はありました。ですが、今年は1年経験して、レベルアップしてきたので、大きな不安を残すことなく、今年はどんと構えて臨めます。

――全日本インカレへの独特の雰囲気は感じますか

松尾虎 全日本インカレのレースだから特別何かを感じるということはないですね。大きな大会では魔物がいると言われることが多く、小松さんもよくそういったことを言っているのですが、僕自身の考えとしては、そう思うからこそミスが出てしまうと感じていて、普通に出艇し、戦えば勝てると思っているので、特別なことは考えないようにしています。また、今年は大勢の選手が集まることも応援もなく、そういう意味では関東のフリートレースと変わらないくらいの雰囲気だと思うので、逆にそっちの方が緊張するかもしれないです。

小泉 僕はそっちの方がいいかもしれないです(笑)。 個人の感じ方の問題ではあると思うのですが、僕は人の影響を受けたり緊張する方なので、今年は人が少なくて応援がないというのは個人的には気楽ですし、ありがたいかなと思います。

松尾虎 僕は気持ちから持っていくタイプなので、応援があった時の方が盛り上がれて、頑張ろうと思うことができます。

小泉  僕も頑張ろうとは思いますけど、逆に不安になって委縮してしまいます(笑)。

――1番艇の重圧はありますか

小泉  僕の場合はレギュラーの3艇とも実力が同じなので、そこばっかりに気をとらわれずに470チームとして上位でスコアをまとめることを意識しています。今までの大会でも470が得点を抑えていれば、勝つことができているので、他大に対していい順位で終われるようにしていきたいです。なので、あまり意識はしていないです。

松尾虎 僕は逆に自分が1番艇ではなくても、自分が一番ポイントゲッターだということを意識してやってきました。ただ、今年のチームに関しては僕がロースコアで抑えることは考えながらも、別に自分が走らなくても誰かが走ってくれるという実力があるので、安心感は今までの4年間の中でも一番強いですね。なので、1番艇としての安心感はあります。ただ、今年のチームの特性として僕が走ってみんながそれについてきてくれるスタイルなのですが、僕が失敗している時にみんながどう走るかは心配ではありますね。あとはリーダーとして本人たちの気持ちの面を高めてあげることが重要かなと思います。

小泉  僕もそこは同じですね。やはり470でも気持ちが乗っているといい走りができる人が多いので、僕が精神的支柱になれるようにリーダーとして頑張りたいと思います。

――会場が西宮から和歌山に変わりましたが、気持ちの変化はありますか

松尾虎 俺らは嬉しいかな。

小泉西宮よりは嬉しいです。 

松尾虎 西宮だと風が弱かったり、不安定だったりするのですが、和歌山は基本的にいい風が吹いている印象が強いので、西宮よりは安定して実力勝負ができるのではないかと思います。

小泉僕も西宮から和歌山に変わってくれたことは嬉しいですね。西宮よりも和歌山の方が経験はあります。 

松尾虎 総体は和歌山で必ずやっていて、レギュラーメンバーのほとんどが和歌山で好成績を残しているのは強みだと思います。スナイプチームは3艇中2艇が優勝。470チームも宗至朗が優勝、凱皇が4番、直暉も団体優勝をしているので、和歌山に苦手意識はないです。むしろ西宮の苦手意識の方が全員の中にあるのかなと思っています。なので、レース数が少ないながらも、和歌山になったのはよかったと思います。

――全日本インカレへの意気込みを教えてください

松尾虎 優勝したいし、その優勝も完全優勝がいいと思っています。やはり部としては総合優勝を狙ってやってきたのですが、総合優勝をする中で470も1番、スナイプでも1番を達成して、みんなが嬉しく終わりたいです。今までも高い目標を掲げることがあったのですが、ほとんど不可能だと思っていた目標でも限りなくそれに近いスコアで終われたので、今回も目標は高く持って、全員で必死に食らいついていきたいと思っています。

小泉 僕は総合優勝を目標にやってきて、470がカギを握っていると感じているので、総合優勝のために470でもスコアをまとめていきたい思っています。また、クラス優勝に向けても3艇が安定した走りを見せたいです。個人としては最後に勝たせたいと思っているので、もちろん総合優勝をしてこたさんを送り出したいと思っています!

――ありがとうございました!

(取材・編集 足立優大)


松尾虎選手は「いざ決戦」、小泉選手には「成長」と書いていただきました!

◆松尾虎太郎(マツオ・コタロウ)(※写真左)

1998(平10)年10月28日生まれ。178センチ。77キロ。山口・光高出身。スポーツ科学部4年。スケートボードと魚釣りが趣味だという松尾虎選手。主将として、そしてエースとしての圧倒的な走りに期待したいです!

◆小泉凱皇(コイズミガイオウ)(※写真右)

2000(平12)年2月21日生まれ。170センチ。62キロ。山口・光高出身。スポーツ科学部3年。小泉颯作氏(平27スポ卒=現・トヨタ自動車東日本)、小泉維吹氏(人通=山口・光)を兄に持つ小泉選手。昨年の出場に続き、初めて1番艇として全日本インカレに臨みます!