寒空の下、両チームの選手のみが見守る中、早大Bは明大Bと対戦した。「自分たちはBチームの早明戦ですが、やはりAチームの早明戦につながっていく試合」。CTB高木樹(法4=大阪・早稲田摂陵)が語るように、Bチームの選手のアピールの場としても、…

 寒空の下、両チームの選手のみが見守る中、早大Bは明大Bと対戦した。「自分たちはBチームの早明戦ですが、やはりAチームの早明戦につながっていく試合」。CTB高木樹(法4=大阪・早稲田摂陵)が語るように、Bチームの選手のアピールの場としても、明大を宿敵とする早稲田大学ラグビー蹴球部としても、ただの練習試合とは言えないこの一戦。開始13分で先制のトライを得るものの、その後セットプレーから立て続けにトライを奪われてしまう。後半になりメンバーが大きく入れ替わっても、悪い流れは断ち切れず、得点を重ねられ、ノーサイド。14―39で敗戦した。

 ジュニア選手権や練習試合が新型コロナウイルスの影響で中止となり、明大Bとは今季初めての対戦。序盤は自陣でディフェンスする時間が長かったものの、前半13分、WTB安部勇佑(スポ4=東京・国学院久我山)が左サイドから抜け出し、SH河村謙尚(社3=大阪・常翔学園)につなぎトライ。「BKのみんなが(ディフェンスの裏に)抜けてくれたので、ありがたかった」(河村)とBKの連携で先制する。しかし、ラインアウトからモールという流れで続けて2本のトライを決められ、逆転を許してしまった。それから、およそ20分間、得点の動かない膠着(こうちゃく)状態が続き、7−12で試合を折り返す。


アタックするCTB竹下日向(教3=神奈川・桐蔭学園)

 後半になっても思うようなプレーができない早大は、中盤でボールを回すが、得点にはつながらない。後半17分、安部のインターセプトからトライ。反撃の気運が高まるが、それ以降のラインの揃ったディフェンスにより、前に出ることができない。徐々に点差は開いていき、このままノーサイドかに思われた。しかし、試合終了間際、敵陣でボールを持つ機会を得る。ここは取り切りたい早大であったが、4分間にも及ぶアタックの末、最後は自身のパスミスで試合終了のホイッスル。14−39と課題が残る結果となった。


この日トライを奪取した安部

 「自分たちのやりたいことができていた」。ゲームキャプテンであった高木はそう振り返る。37人もの選手が出場したこの試合。数少ないチャンスの中でどれだけアピールができるか。チームとしては来週、関東大学対抗戦1つ目のヤマ場である帝京大戦が控えている。Aチームの練習相手であるBチームのメンバーの成長が、早大躍進の鍵を握っているのは間違いない。

(記事 内海日和、写真 初見香菜子)

コメント

CTB高木樹(法4=大阪・早稲田摂陵)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 前半に関しては前に出てプレッシャーをかけることができ、自分たちのやりたいことができていたのですが、ペナルティーが多かったせいで良いディフェンスをしても結局自陣に返されてスコアをされてしまう展開があったので、ペナルティーを減らすことが課題だと感じました。

――どのような気持ちで今日の試合に臨まれましたか

 自分たちはBチームの早明戦ですが、やはりAチームの早明戦につながっていく試合だと思っていたので、どれだけ前に出てプレッシャーをかけられるかというのをチーム全体で共有して意識を持って臨みました。

――ゲームキャプテンとして出場されましたが、意識したことはありますか

 チームを一つにしてチーム全体で戦いたいと思っていて、前日からそのように話していたのですが、ペナルティーが多くなってきたときにリーダーシップを取れずまとめることができませんでした。後半メンバーが代わって各個人が攻め込まれたときにどんどんバラバラになってしまったので、そういう点でリーダーシップが足りなかったと思いました。

――個人的に修正すべき点はありますか

 CTBとSOとして出場したのですが、前に出られるシーンはかなりあったものの、タックルのシーンで受けてしまいました。(相手を)倒せてはいるのですが相手側に前向きに倒せない。早稲田でいう『グッドタックル』ができていないところが、CTBとしての課題です。SOは久しぶりだったのですが、ゲームコントロールなど課題だらけだと思うので、今日の映像を観てしっかり修正したいと思います。

――関東大学対抗戦が続きますがどのようなシーズンにしたいですか

 今シーズンはまだ出場できていないので、まずAチームとして試合に出ることが目標です。今日もそのためのアピールの場ですし、練習からどんどん引っ張っていって、対抗戦、全国大学選手権、そして最後の舞台まで出場して活躍したいと思います。

フッカー川﨑 太雅(スポ1=東福岡)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

 チームとしては前に出てディフェンスができたので良かったと思うのですが、前に出る意識があったのにペナルティーで下げられた場面があったので、そこは修正していきたいと思います。個人としては、大学に入ってからスクラムの点で高校との違いを感じていたので、明治と少しは対等にプレーできたのかなと思います。また、フィールド面ではアタックが全然ありませんでしたが、ディフェンスでタックルを外された場面があったので、そこは自分がもっと力をつけていかなければいけないと実感しました。

――高校と大学で一番何が違うと感じますか

 個人的にはやはり(自分が)スクラムの前3人なので、スクラムの強さや技術の差が大きく違うと思います。

――今日の課題を挙げるとすれば何ですか

 ディフェンスの面でコミュニケーションが不足していたところと、相手に圧をかけるようなスクラムを組めなかったところが反省点だと思います。

――スクラムで修正する点はありますか

 足が伸び切って押せない状態になっているので、もっと足を前に出してもうひと踏ん張りできる足の位置にしたいと思います。

――対抗戦初出場はいかがでしたか

 15分ほどの短い時間だったのですが、僕はずっと福岡でプレーしてきて、大きなビルに囲まれた憧れの秩父宮ラグビー場(での試合)だったので、緊張もしたけれど試合に出るのが楽しみという気持ちの方が大きかったです。

――これからどのようなシーズンにしていきたいか意気込みをお願いします

 僕の強みとして、フロントの3枚の中でフィットネスがある方だと思っているので、もっとフィットネスを生かした早いセットをしたいです。また、僕自身あまりラグビーが上手なわけではないので、泥臭いプレーなどでチームの縁の下の力持ちとしてプレーしていけたらと思っています。

SH河村謙尚(社3=大阪・常翔学園)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

 チームとして前に出ようという話をしていて、そこはみんな気持ちを入れてできていたと思います。自分たちが主導権を握る時間帯もありましたが、自分たちの反則で苦しむことがあったので、そこは反省点かなと思います。

――今日の課題を挙げるとすれば

 レフリーによって反則の取り方が変わってくると思うので、しっかりコミュニケーションをとって自分たちが反則しないようにできたらと思います。

――トライシーンを振り返って一言お願いします

 みんながいいボールを出してくれて自分もボールを動かしやすくなったので、そこはよかったです。あとはBKのみんなが(ディフェンスの裏に)抜けてくれたので、ありがたかったです。

WTB今駒有喜(文2=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 前半は結構うまくいって、自分もアタックなどができていたのですが、後半になって選手の入れ替えがあってから接点で前に出られずに失点を重ねてしまいました。そこが今後の課題だと思います。

――今日はどのような気持ちで試合に臨まれましたか

 1番のライバルである明治との対戦だったので、圧倒するという意識で臨みました。

FB河瀬諒介(スポ3=大阪・東海大仰星)

――(10月17日に行われた慶大とのB戦について)どんな調整をして臨みましたか

 腰のけがをしてしまい、そのリハビリをする中で帝京大戦前の試合には出たいと思っていたので、この(Bチームでの)早慶戦早明戦に標準を合わせて準備してきました。

――その2試合について、感触はどうでしたか

 両試合ともに80分フルでは出場していませんが、早慶戦に比べて早明戦のほうが試合勘が取り戻せていたというか、自分の中で走れている感覚がありました。

――それぞれの試合を振り返って、チームとして感じたことはありますか

 試合中、コミュニケーションが取れていない部分がまだあったのですが、日を重ねるごとにコミュニケーションが増えてきているので、現在はいい状態かなと感じます。

――どんな課題意識を持って慶應、明治との試合に臨みましたか

 まず慶應戦は復帰戦ということで、最後に出場したのが3月のジュニア・ジャパンの試合で、そこからずっと試合をしていなかったので、試合勘を戻す部分を意識してコミュニケーションを取っていました。明治戦では、自分の中で試合勘が戻っていると感じていたので、自分から周りを動かしたりする部分をもっとやっていこうと思いながら試合に臨みました。

――実際に試合中に周りを動かすことはできましたか

 そうですね、自分から発信してボールを動かすことができたので、できたかなと思っています。

――ディフェンスでもよいバッキングがありました

 自分で走るしかないと思って走りました(笑)。トライを取られて苦しい状況になる中で、ここで止めないともっと苦しくなると思ったので、体が勝手に動いていました。

――帝京戦が迫ってきていますが

 今年帝京さんは得点をたくさん取っていてとても調子がいいのですが、あまりそういうことは考えずに普段通りにやれたらと思っています。

――Bチームの早慶早明戦は調整という位置づけだったと思いますが、照準は帝京戦に合わせられていますか

 そうですね、帝京戦にはしっかりと合わせられると思います。

練習試合
早大Bスコア明大B
前半後半得点前半後半
1227
14合計39
【得点】▽トライ 河村、安部 ▽ゴール 河瀬(1G)、竹下(1G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
小沼 宏太スポ3茨城・清真学園
後半13分交代→23木下
川﨑 太雅スポ1東福岡
後半0分交代→16大平
阿部 対我社3東京・早実
前半31分交代→17木村
後半19分交代→25黒田
桑田 陽介スポ3愛知・明和
後半0分交代→18鏡
星谷 俊輔スポ4東京・国学院久我山
後半0分交代→19高吉
後半28分交代→26山野
坪郷 智輝法4埼玉・川越東
後半0分交代→20小川
後半35分交代→27永嶋
小柳 圭輝社3東京・国学院久我山
後半0分交代→21植野
前田 知暉社2大阪・東海大仰星
後半13分交代→22宮下
後半35分交代→28淺沼
河村 謙尚社3大阪・常翔学園
後半0分交代→33佐々木
後半21分交代→36千年原
後半35分交代→35池本
10金井 奨人2群馬・太田
後半0分交代→32田所
11安部 勇佑スポ4東京・国学院久我山
後半19分交代→30村岡
後半35分交代→31清水
12竹下 日向教3神奈川・桐蔭学園
13◎高木 樹法4大阪・早稲田摂陵
後半23分交代→38堀尾
14今駒 有喜文2東京・早実
後半21分交代→29森谷
15河瀬 諒介スポ3大阪・東海大仰星
後半13分交代→34遠山
後半35分交代→37島田
リザーブ
16大平 純造文4東京・早実
17木村 陽季社3東京・早実
18鏡 鈴之介法2東京・早大学院
19高吉 将也教4神奈川・桐蔭学園
20小川 瑞樹文3東京・早実
21植野 智也法2東京・早実
22宮下 龍樹人3茨城・茗溪学園
23木下 隆介文4東京・本郷
24武内 陸法2埼玉・早稲田本庄
25黒田 瑛大社4埼玉・早稲田本庄
26山野 浩暉文講4東京・早実
27永嶋 一光スポ4福岡・修猷館
28淺沼 黎政経3東京・青山学院
29森谷 隆斗商3東京・早大学院
30村岡 隆貢人4東京・国学院久我山
31清水 竜成教3東京・早実
32田所 賢汰社4埼玉・早稲田本庄
33佐々木 奎介社3東京・早大学院
34遠山 拓教3東京・国学院久我山
35池本 暖人3愛知・千種
36千年原 倭文構4東京・早実
37島田 雄大商4東京・早大学院
38堀尾 健太スポ3茨城・茗溪学園
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)