東京選手権シニア男子で、見事初優勝を飾った山隈太一朗(営2=芦屋国際)。相次ぐ大会中止により今シーズン初戦となったが、SP(ショートプログラム)5位から逆転劇を見せた。試合後に行った山隈のインタビューをお届けする。(この取材は10月15日…

 東京選手権シニア男子で、見事初優勝を飾った山隈太一朗(営2=芦屋国際)。相次ぐ大会中止により今シーズン初戦となったが、SP(ショートプログラム)5位から逆転劇を見せた。試合後に行った山隈のインタビューをお届けする。

(この取材は10月15日に行われたものです)

――練習での4回転サルコウの確率はいかがでしょうか。

 「練習はまだ降りたことがないんですけど、回転がだいぶ回るようになってきました。どう使えばうまく回るかとか、こうしたら飛べるんだろうなという組み立てがだいぶ自分の中でできてきたので、『これはよく飛べたジャンプ』とかあるのは半々くらいの確率ですね」

――4回転成功に確実に近づいていますね。

 「本当にいつ降りてもおかしくないと思っていて、とてもじゃないけど4回転飛べそうにない4回転ではないので、いつになるかはわからないですけど東日本まで跳べる可能性が全然あるし、来週降りるかもしれないしというくらいのところまできています。1日でも早く東日本の時にはプログラムに入るようにしていきたいです」

――東京選手権で見つけた課題や新たな発見はございますか。

 「練習と試合の関係性です。今回の試合で結果ももちろん欲しかったですけど、それ以上に練習でここまでできてて、じゃあ本番になったらそれがどうなるかという関係を見たかったです。練習ですごく自信があるジャンプは本番でどんな気持ちで跳びにいけるんだろうとか、ちょっと怖いなと思ってるジャンプは本番でその不安がどれだけ大きくなるのかとかそういったことを細かく知ろうと思っていました。そういう知りたかった部分は結構掴めましたし、やっぱりトリプルアクセルの3連続のコンビネーションを入れるのが初めてだったし、SPの最後にトリプルアクセルを入れるのも初めてだったし、初めての試みをしっかりトライして、しかもFSはしっかり降りることができたので、そこはすごくよかったと思います。実際試合の中で正直身体の動きは練習の60パーセントくらいでよく動くわけではなかったので、練習の5、6割しか身体は動かないとわかって練習でのクオリティを上げることが本番に直結することが掴めました。それは大きな収穫だったと思います」

――練習で自信があったジャンプと逆に不安だったジャンプを教えてください。

 「練習で自信があったのはアクセル、ループ、フリップは大丈夫じゃないかと思って、ほとんどミスる気がしなかったです。不安だったのはルッツだけです。ルッツも正直降りれば後ろに3回転つけられると思ってたんですけど、SPは壁が近すぎて変な形になってしまったので、あれは降りたかったんですけど本番の難しさがありました。あとは、4回転は絞めれるか絞められないかが不安だったので、絞めましたけど本当に締めただけだったので、不安があるジャンプは顕著に悪い部分が出たかなと思います」

――本番で力を出すことよりも練習でのクオリティを上げようとする理由はございますか。

 「本番を今年は何回もできないので、その試合その試合で緊張感がちょっとずつ変わってきてて、ブロックの緊張と東日本の緊張は全く別物だし、東日本の緊張と全日本の緊張もまた違うし、それで(本番どのくらい練習を出せるかが)良くなるかは正直予想がつかない部分があるので練習の5、6割という部分はそれまで変わらないと思っています。120点の練習をすれば本番で悪くても60点は出せるし、練習で70点しか身体が動かせてなかったらもっと酷いことになるというのがわかるので、どれだけ練習の時のクオリティを上げるかが大事だと思っています」

――SP、FSどちらも昨シーズンと同じプログラムを滑ってみて、安心感などはございましたか。

 「安心感が実はなかったですね。同じプログラムを使ってはいるんですけどすごく新鮮な気持ちでやっていて、同じプログラムを使っていても同じテーマで滑っていないです。毎回ストーリーを立てるんですけど、昨年ぼやぼやだったストーリーが今年はより鮮明になってる分だけ表現がもっとやりやすくなったと感じるし、SPなんかは毎年ストーリーを変えていて、一昨年は新鮮なフレッシュな気持ちを表現するのに徹して、昨年はどこかに重さを感じるようなストーリーでやって、今年は純粋な1人の少年を演じるというか、美しいものが美しいものに対して純粋な反応をするというピュアな少年をイメージしながら滑っています。同じプログラムで同じ振付なんですけど、毎年新鮮な気持ちではあります。だから逆に安心感が全然出てこないです」

――今シーズンの全日本選手権までの目標はございますか。

 「自分の理想のスケートをするというのがスケート人生の目標であるし、それに向けてひたすら自分を磨くというテーマでスケートをしようと思ってるし、今のプログラムは来年には使わない可能性もあるので、今のプログラムの完成形をしっかり全日本で見せたいです。まずは技術的な不安要素を東日本までに取り除いて、そこからつなぎであったり細かい部分までしっかりと突き詰めてプログラム1つの中に1つも文句が出ないような完璧な作品にしたいです。全日本までに完璧な作品に仕上げてそれをみなさんにお見せできるようにということを目標にしています」

――最後に、東日本選手権に向けての意気込みをお願いします。

 「東日本では今回の試合では突き詰められなかった細かい部分までしっかり突き詰めて、全日本でしっかり完成形を出したいんですけど、まず東日本で一度完成させたいので、東日本では完成された自分のSPとFSの演技をしっかりみなさんにお見せできるように練習してくので、どうぞ応援よろしくお願いします」

――ありがとうございました。

[中澤美月]