対抗戦初戦となった10月4日、立大は昨年の対抗戦を制した明大と対戦。11トライを奪われ、15-73と敗北したものの優勝候補を前にまずまずの試合を展開する。立大はチームの強みを「全員が頭を使ってボールを運ぶこと」と表現するように、終盤には丁…

 対抗戦初戦となった10月4日、立大は昨年の対抗戦を制した明大と対戦。11トライを奪われ、15-73と敗北したものの優勝候補を前にまずまずの試合を展開する。立大はチームの強みを「全員が頭を使ってボールを運ぶこと」と表現するように、終盤には丁寧なパス回しの前に明大のプレーが一時乱れ、トライにつながる場面も。明大の田中澄憲監督に「立大のプレッシャーがすごく良かったので、満足できるプレーができなかった」 と言わしめ、存在感を見せた。


昨年度王者の明大相手に粘りをみせた立大

 ただ立大の調子よりも、やはり気になるのは早大チームの状態だ。昨年全国大学選手権(大学選手権)で優勝した際の主力だったSH齋藤直人(令2スポ卒=現サントリー)、SO岸岡智樹(令2教卒=現クボタ)らが卒業。さらに第1節ではロック下川甲嗣副将(スポ4=福岡・修猷館)やフランカー相良昌彦(社2=東京・早実)、CTB長田智希(スポ3=大阪・東海大仰星)、FB河瀬諒介(スポ3=大阪・東海大仰星)といった同じく優勝メンバーに名を連ねていた主力が軒並み欠場した。この面々が復帰すれば、チームの戦力が大幅アップとなることは容易に想像できるが、それでも昨年は92-0、おととしは123-0と過去に大勝してきた青学大との一戦で47-21という結果になったことはいささか不安な滑り出しだと言わざるをえない。青学大のタフなタックルやプレッシャーに耐えきれず、ノックオンなどのハンドリングミスや反則を犯す場面も多く、特にブレイクダウン周りの反則が目立った。また初めてメンバーAチーム入りを果たしたメンバーを中心にプレーが硬くなってしまった。今後は「一戦一戦試合の中で成長していきたい」(NO・8丸尾崇真主将、文構4=東京・早実)との言葉通り、開幕までの実戦練習が例年よりも少なかったという状況もふまえ、初戦で得られた経験を生かしていきたいところだ。


昨年度立大との定期戦でパスを出す河村

 立大との次戦でまず注目したいのはSH、SOのハーフバックスを誰が務めるかということ。昨年までの4年間、齋藤と岸岡が担っていたポジションである。未だレギュラーが流動的だが、立大戦にはSH河村謙尚(社3=大阪・常翔学園)とSO吉村紘(スポ2=東福岡)がメンバー入りを決めた。これが今季初の公式戦となる河村は今後に向けて爪痕を残すプレーをしたいところ。一方の吉村は青学大戦で1トライをあげ6Gを決めてMOMにも選ばれており、活躍が期待される。

 さらに初戦で「良いボールキャリーでゲームの流れを作ってくれた」(相良監督)という村田陣悟(スポ1=京都成章)もレギュラー争いに絡んでくることが予想されるため、1年生としてチームに新しい風をもたらしてほしいところ。加えて、第1節で欠場した主力の復帰も待たれる。特に相良昌は、自身大学入学以来初の兄・相良隆太(立大)との兄弟対決となる。相良隆は立大の副将を務めており、昨年昇格を決めた際のメンバーが名を連ねるFWの頭脳として活躍している。今年はコロナ禍で練習ができない状況下ではあったものの、昨年からのチームの経験を生かして強い連携を見せてくるだろう。

 チームに勢いをもたらすためには格下の立大に対しても気を緩めず、良い試合内容で勝利を収めたいところ。優勝を目指す上でのライバル校である帝京大と明大は、早大とは対照的に第1節快勝をあげている。対抗戦優勝、大学選手権連覇のためにもギアを上げていきたい。

(記事 青柳香穂、写真 渡邉彩織、石井尚紀)