第2回はNO・8丸尾崇真主将(文構4=東京・早実)、CTB中西亮太朗(商3=東京・早実)、フランカー相良昌彦(社2=東京・早実)の三人。早稲田大学の系属校である早実高で、大学入学以前から『早稲田のラグビー』に触れてきた。早実でキャプテンを…
第2回はNO・8丸尾崇真主将(文構4=東京・早実)、CTB中西亮太朗(商3=東京・早実)、フランカー相良昌彦(社2=東京・早実)の三人。早稲田大学の系属校である早実高で、大学入学以前から『早稲田のラグビー』に触れてきた。早実でキャプテンを務めた三人の高校時代の話から目前に迫る関東大学対抗戦(対抗戦)への意気込みまで様々なお話を伺った。
※この取材は9月23日に行われたものです。
早実時代を経て
誰よりも熱く練習に取り組む丸尾
――本日は早実歴代主将対談です!学年は違いますが、高校時代も交流はありましたか
一同 はい、ありました。
――仲は良かったですか
丸尾 とても良かったです(笑)。
――丸尾選手、中西選手は卒業後、後輩の活躍はご覧になっていましたか
丸尾・中西 見ていました。
――相良昌選手の79大会ぶりの全国高校ラグビー大会(花園)出場は
丸尾 見ていました。普通にすごいなあって。僕が早実にいたころとは違うチームになっていたので、ついにここまで行ったんだなと思いました。
中西 他の早実の子と一緒に試合を見ていました。すごく白熱して応援していました。
――相良昌選手はその時何か声をかけられましたか
相良昌 えー(笑)。「頑張れ」ってラインがきたかもしれないです。
一同 (笑)。
相良昌 多分グループラインで送ってくれたんだよね。個人でメッセージをくれた人もいました。
――早大ラグビー部には早実出身の方が多くいらっしゃいますが、みなさん仲が良いのでしょうか
丸尾 割と(仲は良いです)。人数も多いですし、ファミリーっていう感じですかね。
――早実の校風は
丸尾 一応『去華就実』っていう言葉はあります。
相良昌 あと『三敬主義』だよね。
――実際に過ごして、どんな学生生活でしたか
丸尾 内部生、係属校だから受験がないというのもあって、楽しかったですね。
――では、他己紹介をお願いします。丸尾選手、中西選手から見た相良昌選手はどんな人ですか
中西 怖いもの知らずじゃないですけど、先輩とも結構仲が良いですし、同期もすごく仲が良いイメージです。悪く言えば生意気です(笑)。
丸尾 その通りですね。
一同 (笑)。
丸尾 良くも悪くも大きいことをあまり気にしていなくて、それが良いプレーにもつながっているのかなと思います。
相良昌 気にしてはいますけど。
中西 ほんとかよ(笑)。
相良昌 いろいろなことを考えてはいるんですけど。でもそう言われるならそういう人間なのかもしれないと思いますね。
――人付き合いがお上手なんですね
中西 コミュニケーション能力が高いというわけではないですけど、かわいがられるタイプですね。昌彦を嫌いなやつはいないです。
――続いて、中西選手はいかがですか
丸尾 見て分かる通り顔も格好良くて。性格も格好良いので。
中西 うわー、違う違う、そうじゃない(笑)。
丸尾 頼れる人です。
相良昌 僕も同じで、まさに頼れる男という感じで、頭も良くてプレーも格好良いです。特に日頃から難しい言葉を使うんですよ。
一同 (笑)。
相良昌 普通の人なら使わない言葉も、語彙力がありすぎてでてきちゃうんです。たとえば…「得てして」とか(笑)。
一同 (笑)。
中西 得てしてって何?そんな言葉使ってる?
丸尾 小説みたいじゃん。
相良昌 意味の分からない四字熟語とかよく使いますね。とにかく頭がいいです。
――中西選手は意識して使っているんですか
中西 僕はもうナチュラルに使っています。読書は好きですね。
――丸尾選手はどのような人ですか
中西 オンとオフの切り替えがすごいです。今はこんな感じでふざけていますけど、練習とかは自分にも他人にも厳しいです。その切り替えはすごいと思います。たまにいつ切り替わっているか分からないんだよね。あれ今ガチなのかな…みたいなことがありますね(笑)。
相良昌 オフの時はこんな感じですけど、とにかく練習の時は熱いですね。そんな感じです!
――丸尾選手は意識的に切り替えているんですか
丸尾 これよく言われるんですけど、自分ではあまり意識していないですね。
――高校時代と比べて関係性に変化は
丸尾 僕は大学入ってからの方が仲良くなった気がします。
中西 寮生活で一緒になると話す機会も自然と増えるので、そうですね。
――早実時代に丸尾選手が主将のチームを経験していますが、今の丸尾主将はいかがですか
中西 熱さは同じくらいですかね。高校生の時よりしゃべるのはうまいかなと思います(笑)。
――早実でのラグビーにはテーマなどがありましたか
丸尾 テーマがあったかと聞かれると難しいですけど、コーチ陣は早稲田大学出身の方なので、早稲田のやり方とか早稲田のラグビーみたいなものを叩き込まれていたのかなと思います。
――プレースタイルも大学に近いのですか
中西 比較的そうですね。展開ラグビーは大体同じなんですけど、それを表現はできていなかったですね。
――大学に入ってもその経験は生かされていますか
丸尾 生かされているかは分からないですけど、気づかないうちにつながっているのだろうなと思います。
中西 ディフェンスのマインドとかバッキングのことは、早実の時から重視されていたことだと思います。
「自分と向き合う時間」
スクラム練習に励む相良
――自粛期間が明けて今はどのくらい練習できていますか
丸尾 例年通りですね。完全に通常の練習に戻りました。
――相良昌選手はジュニア・ジャパンの遠征がありましたが、その時のことを教えてください
相良昌 自分がキャプテンに選ばれましたが、全然信頼関係もないので難しかったです。うまくいかないことが多くて、成長しなければいけないなと自覚した遠征でした。
――初優勝でしたが、反省の方が大きかったのでしょうか
相良昌 そうですね。自分の仕事を全然全うできていなくて。精神的にも落ち込んでいて。優勝自体はうれしかったのですが、個人的にはネガティブに捉えています。
――得るものはありましたか
相良昌 対戦した国がフィジカルの強いところばかりだったので、自分よりも大きい相手に立ち向かうマインドですね。恐れずに向かっていくこととか、メンタル面では(収穫が)ありました。
――再びお三方にお聞きします。3月からの活動自粛期間は寮に残られましたか
一同 はい。
――残った方の方が多かったですか
丸尾 地方の人達は帰っていましたけど、そうですね。
――自粛期間は個人での練習になったと思いますが、振り返るとどのような期間でしたか
中西 個人での練習になるので、自分の弱みにフォーカスをしてやっていました。弱みを克服するための期間でした。自分の足りないところのウエイトトレーニングだとか、フィットネスの部分は自粛期間でも落としたくなかったので毎週何回これをやるって(メニューを)決めてやっていました。
相良昌 僕はフィジーの遠征でフィジカル面が足りていないと感じていたので、体重を増やすこととウエイトトレーニングを徹底しました。とにかく自分の体をつくろうと思いました。フィジーの遠征から帰ってきた時が体重88キロで、(自粛期間が)終わる時には96キロだったので8キロ増えました。でもフィジーに行く前は94キロだったんですよ。だから(正確には)2キロですね(笑)。
丸尾 自分はジャッカルの部分の筋肉を鍛えていました。
――春の対談でフィジカルトレーニングのほかにスモールグループでのミーティングを行っていると伺いました。具体的にはどんなことをしていたのですか
丸尾 自粛期間中はチームで活動することができなかったので、自分で1週間の予定を立ててそれをチームで共有したり、トップレベルの試合を見て自分だったらどうするとか(の意見共有)を少人数のグループで行ったりしました。ラグビーから離れないように、チームから離れないようにと思っていました。
――それによって部全体のコミュニケーションは増えましたか
中西 話したことのない1年生と話す機会になりました。違うポジションの人とも同じグループになるので日頃はあまりコミュニケーションをとらない人と話して、この人はこういう考えを持っているんだと分かりました。
――丸尾選手は自分が出ている以外の試合をあまり見ないと以前おっしゃっていましたが、たくさん見ることで何か変わりましたか
丸尾 そうですね。参考になる部分とか自分がやりたいプレーのお手本があるという感じなので、良かったですね。
――春季大会や合宿が中止となりましたが、ラグビーとの向き合い方に変化は
相良昌 春シーズンとか夏合宿とか普通は1年中試合があって。1年中試合をしている環境でずっとやっているとけがとかで万全の状態を維持することができないんですけど、春シーズンがなくなったことで自分の体の調子を整えられました。
中西 試合がないと対戦相手のことがよくわからないので、結果的に自分のことや自分のチームのことにフォーカスするしかなくて。自分の苦手な部分や自分と向き合う時間が増えました。
丸尾 春シーズンや合宿がなくなって、イレギュラーな部分はありましたけど、最後は選手権(全国大学選手権)での優勝を目標にしているので、その途中がどうなろうと僕はあまり関係ないと思っています。
――全体練習が6月に始まって、新体制が本格的にスタートしたと思いますが、今の部の雰囲気はどうですか
丸尾 良い雰囲気ではあると思います。
――コンタクト練習もしばらくできていなかったと思いますが、期間が空いたことで何か感覚などに違いはありましたか
相良昌 痛いなぁと思いました(笑)。
中西 最初はコンタクトしていてなんか違うなぁっていうのはありました。
――先日練習試合がありましたが、久しぶりの他校との試合はいかがでしたか
丸尾 良い面も悪い面もありました。でも良い収穫がある、次につながる練習試合になったと思います。
相良昌 久々に試合したので、やっぱり楽しかったですね。
中西 普段はお互い早稲田同士でしかできなかったので、違う相手とやれて課題が明確になったと思います。
――FWとBKでそれぞれ手ごたえや課題がありましたか
丸尾 たくさんありましたが、その中でもスクラムは良い結果だったかなと思います。課題はいろいろありますが、スクラムで感触をつかめたというのは大きいと思います。
中西 BKはひたすら切り込むという感じでした。
学年を超えて
――ご自身の持ち味を教えてください
丸尾 アタックですかね。スペースがあるところに走ったりする部分ですね。
中西 ボールキャリーです。特にステップとかオフロードですね。
相良昌 自分の強みは運動量だと思っています。アタックもディフェンスも意識しています。
――お互いにいいなと思うところはどこですか
丸尾 昌彦は自分でも言っていたように運動量が素晴らしくて、見習いたいところです。亮太朗さんは全てのプレーが高い水準でできていてやはりハイレベルだなと思います。
中西 また始まったよ(笑)。
相良昌 丸尾さんはアタックの面でボールを持てば何かしてくれるだろうというところです。中西さんは丸尾さんが言った通り高い水準でプレーしていて、自分でも言っていたようにオフロードがすごいのでそういう部分ですね。
中西 丸尾さんはアタックも激しさがあって、どんな時でも前に出てきてくれるというのはあります。昌彦はアタックもディフェンスもとにかく顔を出してきてくれるので、そこの運動量などは見習いたいなと思います。
――みなさん学年が違いますが、学年全体で交流はありますか
丸尾 まぁ普通に(交流はあります)。僕が1年生で寮に入ってきた時とは全然雰囲気が違います。今の方がみんな楽しくしていると思います。
――後輩の中西選手、相良昌選手もそう感じますか
中西 そうですね。上級生も仲良くしてくださいますし、後輩もぐいぐい来るので結構仲が良いです。
相良昌 自分もそうですね。4年生、3年生がみんな優しいですね。
――新1年生との交流は
相良昌 なじんできていて仲良くやっています(笑)。
――相良監督就任からチームの一体感やコミュニケーションを大事にしてきたかと思いますが、新体制になった今年はいかがですか
丸尾 変化はないですね。
――学年など関係なく言い合える関係がもうできているということでしょうか
中西 比較的下の学年だとしても話せる環境にはなっているのかなと思います。
――相良昌選手は「リーダーシップを発揮したい」と以前おっしゃっていましたが
相良昌 まだです(笑)。すみません(笑)。
――今年は自粛期間でオフの日が多かったと思いますが、オフの日の過ごし方は
相良昌 公共交通機関を使えなかったので、僕の代は自転車で公園に行っていました。そのくらいですかね。
中西 僕らの代は自粛期間に入ったらみんな楽器を弾き出して。寮に残っている僕の同期は大体ギターかウクレレを弾いていましたね。でもみんな大して弾けないのでもうそのブームも終わりました(笑)。
丸尾 ボードゲームとかテレビゲームとかそういう系ですね。
――春の対談で丸尾選手は「最近勉強をしている」とおっしゃっていましたがその内容は
丸尾 ラグビーについてですね。関連する本を読んだり、亮太朗さんに薦めてもらった本とかを読んでいました(笑)。
中西 まあそれは嘘なんですけど(笑)。
――春学期はオンライン授業でしたが、学業についてはいかがでしたか
中西 僕は日頃そんなにレポートがない学部なので、普段よりレポートが増えたのは大変だったのですが、あまりオンラインの授業がなかったので自分の練習したい時間と授業を受けたい時間と自分でスケジュールが立てやすかったのは良かったです。
相良昌 僕はリアルタイムの授業は1つもなかったです。春休みの延長みたいでした。勉強を全くしていないような感じでした。
丸尾 僕は結構単位を取り終わってしまったので。春休みみたいな感じでした。
「1試合1試合が大事」
青学大戦でプレーする中西
――対抗戦開幕が決定しました。春季大会や合宿がなくなっていきなり公式戦が対抗戦ですが、不安などは
丸尾 条件はどの大学も同じなので、そこに不満を抱えても仕方ないと思っています。1試合1試合やり切って課題が出たら修正して、1つずつやれたらと思います。
中西 自分たちが中途半端なプレーをしてしまうと学べずに終わってしまうので、やりたいこと、してきたことを出したいと思います。1個ずつしっかりやって出てきた課題を修正していきたいと思います。
相良昌 やはり二人とも言ったように、試合数が少ないので1つずつ大事にしてそこで出た課題を修正して次につなげられたらと思います。
――今年は新型コロナウイルスの影響で例年とは違う大会になると思われますが、どんな大会になると思いますか
丸尾 感染者が出たらどうなるか分からないですし、順当に行ってほしいですけどどうなるか分からないという思いはあります。でも試合があろうとなかろうと最後の部分(大学選手権優勝という目標)は変わらないので、何があろうと動じずそこに向けて頑張りたいと思います。
――対抗戦のポイントは
丸尾 ディフェンスとFWのセットプレーの部分ですね。これは実際に他大学とやってみて自分たちがどうなのか、やってみないと分からないですね。
――無観客試合もありますが応援がないことに関しては
中西 普段とは違う雰囲気だとは思いますが、あまり気にしてはいないです。それは相手も同じなので。自分たちの本来のプレーができるようにしっかりやれることをやれればと思います。
――注目している試合はありますか
丸尾 最初の山場になるのは帝京大学との試合だと思います。それまでの試合でいかに成長して、帝京大学との試合を迎えられるかが大事かなと思います。1試合1試合が大事ですね。
中西 やっぱり僕も帝京大学との試合ですね。そこでどんな試合ができるかがその後にも大きく影響すると思うので、山場として捉えています。
相良昌 個人的な話にはなりますが、立大戦ですね。兄(相良隆太)が立教の副キャプテンをやっていて、まだ公式戦で戦ったことがないので、兄弟対決ができるのは楽しみです。
――チーム内で注目している選手は
中西 僕は今駒君(今駒有喜、文2=東京・早実)です。後輩として、今調子が良くてどんどんトライもとっているので、もしかしたらものすごく活躍する選手の1人なのかなと思っています。
相良昌 僕は同期の槇瑛人(スポ2=東京・国学院久我山)ですね。フィジカルがとても強いですし、頼りになる人です。
丸尾 個人と言われたら分からないですけど、FWが前に出られればBKも前に出られるので、まずはFWに注目してほしいですね。
――個人での今年の目標を教えてください
中西 僕はこの二人と違って去年の最後の決勝(大学選手権決勝)に立ててないので、この対抗戦でしっかり試合に出続けて選手権決勝の舞台に立ちたいです。自分がグラウンドに立って活躍した上で『荒ぶる』を歌うことが今年の目標です。
相良昌 僕の目標は運動量ですね。水準を大学トップクラスのものにするのが目標で、そのために毎試合毎試合積極的にタックルに行ったりしたいと思います。
丸尾 常に戦い続けるという姿勢を大事に、戦い続けることが目標です。
――最後に対抗戦の意気込みを
相良昌 目標でもあった通り、運動量にかけたいと思います。本当に1試合1試合動き続けて勝利に貢献したいと思います。
丸尾 チームとしても個人としても1試合ずつ成長していって大学選手権につながるような対抗戦にしたいと思います。
中西 僕は『不撓不屈』の精神で!苦しい時間とか苦しい試合はあると思いますが、この精神を持ってチームを引っ張っていけたらいいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 山本小晴、山口日奈子)
色紙を書いていただきました!
◆丸尾崇真(まるお・たかまさ)(写真中央)
1999(平11)年1月8日生まれ。183センチ。100キロ。東京・早実高出身。文化構想学部4年。誰よりもアツい心を持ってラグビーに取り組む丸尾選手。インタビュー中はよく笑う姿が印象的で、試合とは異なる一面を見せてくれました。『荒ぶる』を目指す主将の覚悟をぜひ会場でご覧ください!
◆中西亮太朗(なかにし・りょうたろう)(写真左)
1999(平11)年8月31日生まれ。177センチ。89キロ。東京・早実高出身。商学部3年。普段から難しい語彙を使うという中西選手。最後に意気込みをぜひ四字熟語で、という無茶ぶりに対して、こっそり調べて「不撓不屈」と答えてくれました。知性あふれるプレーに注目です!
◆相良昌彦(さがら・まさひこ)(写真右)
2001(平13)年2月1日生まれ。180センチ。96キロ。東京・早実高出身。社会科学部2年。フィジーでの遠征で体重が落ちてしまった理由は「暑すぎたのとご飯が合わなかったから」。現地の慣れない食事に苦労したそうです。自粛期間で8キロの増量に成功し、対抗戦ではそのフィジカルを思う存分発揮してくれるでしょう!