2016年10月30日、秋季高校野球東京大会の準決勝が神宮第二球場で行われ、早稲田実と日大三が決勝戦(11月3日/神宮球場)に駒を進めた。★早実支えるエリート1年生たち●準決勝第1試合国士舘  0000000=0早稲田実 025200X=7…

2016年10月30日、秋季高校野球東京大会の準決勝が神宮第二球場で行われ、早稲田実と日大三が決勝戦(11月3日/神宮球場)に駒を進めた。

★早実支えるエリート1年生たち
●準決勝第1試合
国士舘  0000000=0
早稲田実 025200X=7
(7回コールド)
【国】深澤、城田、井田、石井——金澤、門間
【早】中川——雪山
本塁打:野村(早実)

 国士舘の好右腕・深澤史遠投手(2年)を3回でノックアウトした早実が国士舘に7回コールド勝ちを収めた。
 チームを牽引する清宮幸太郎主将(2年)はもちろん、中学時代から実績を残してきた“エリート1年生トリオ”の活躍が頼もしい限りだ。
 準々決勝・準決勝で13回を無失点に抑えた中川広渡投手は、中学硬式野球の名門・枚方ボーイズの出身。ボーイズリーグの全国大会で3年春に全国優勝、夏に4強へ導いたエース右腕だ。当時から縦に割れるカーブやキレの良いストレートを武器に安定感のある活躍をしていたが、早実に来て半年で球の伸びやキレが1段階上がった印象だ。

中川広渡(早稲田実)

 その中川をジャイアンツカップの初戦で打ち崩したのが、当時は大阪福島リトルシニアに所属していた野村大樹内野手(※中学時代は捕手)。入学直後の夏から4番を打ち、国士舘戦では4回に高校通算20本目となる本塁打をセンターオーバーで叩き込んだ。
 また、中川ら投手陣を支え、準々決勝の関東一戦でダメ押し打を放った雪山幹太捕手の存在も大きい。神戸中央リトルシニア(兵庫)では2年夏にリトルシニア日本選手権準優勝を経験すると、3年夏はエースを務めるほどであったが、入学後は夏まで内野手や外野手を務め、秋から捕手に転向した。
 関西からやってきたこの3人を含めた1年生たちは連帯感も強く、「試合前日は1年生全員でご飯に行きます」というほどだ。
 和泉実監督は準決勝後、「1年生が元気にやってくれています。清宮が1年生の時もそうでしたが、1年生がのびのびとやれる雰囲気を上級生が作るということが伝統になっています」と話すように、力のある1、2年生が融合した理想的な状態で、センバツ出場が確定となる秋季東京大会制覇を狙う。

清宮主将を中心に一体感のある早稲田実


 

★好調の“転向組”櫻井&金成擁する日大三
●準決勝第2試合
日野  0000000=0
日大三 010132X=7
(7回コールド)
【日野】小林——樋口
【日大三】櫻井——津原
本塁打:金成(日大三)

 日大三は、外野手から今夏に投手転向した左腕・櫻井周斗投手(2年)が7回完封、今秋に投手から一塁手に転向した金成麗生内野手(2年/かなり・れお)が特大の本塁打を放ち、日野に7回コールド勝ちを収めた。

193センチ、101キロの金成麗生

 2回に日置航内野手(1年)の安打と金成の二塁打で1死二、三塁のチャンスを作ると、相手投手の暴投で先制。4回にも相手のミスなどに乗じて3点を奪うと、5回には金成がライト後方にあるネットに突き刺さる特大3ラン本塁打。193cm101kgの大型砲の一発で試合を決めた
 日大三は、さらに6回にも2点ダメ押して、7点のリードを奪うと、背番号「8」の櫻井がキレの良いスライダーを武器に10奪三振2安打完封で守り、7回コールド勝ちで決勝進出を決めた。
 櫻井は小学6年時にスワローズジュニアに選出されるなど投手として将来を嘱望されていたが、新座リトルシニア時代にヒジを剥離骨折。外野手として日大三に入学してきたが、今夏から投手に再転向。東京青山リトルシニア時代に全国4強入りしているエースナンバー「1」の右腕・岡部仁投手(2年)と、ライバルでありながら互いに意見を出し合って腕を磨いてきた。
 3日の決勝戦に向けては「目の前の相手に勝つことに変わりはありません。清宮も相手の打者の1人と勝負するだけです」と決勝戦を平常心で戦うことを誓った。

日大三・櫻井

●秋季高校野球東京大会決勝戦
11月3日(木・祝)
日大三vs早稲田実
14時・神宮球場

文・写真:高木遊