早大の、約9か月ぶりの公式戦が迫ってきた。関東大学対抗戦(対抗戦)の開幕戦、対戦相手は青学大である。昨年度は第3節で対戦し、92-0で零封した相手。今年度も危なげなく勝利を収め、続く対戦に弾みをつけたいところだ。 青学大は昨年度対抗戦7位…

 早大の、約9か月ぶりの公式戦が迫ってきた。関東大学対抗戦(対抗戦)の開幕戦、対戦相手は青学大である。昨年度は第3節で対戦し、92-0で零封した相手。今年度も危なげなく勝利を収め、続く対戦に弾みをつけたいところだ。

 青学大は昨年度対抗戦7位。Aグループに残留はできているものの、近年は思うように上位進出ができていない。しかし、今年度も有望な新人の加入により力を蓄え、目標である大学選手権出場の時機をうかがっている。主将・副将のCTBコンビが繰り出すアタックをはじめとした、スピーディーな展開ラグビーを強みとするチームだ。

 対する早大の現状はどうか。活動自粛中は個人練習を余儀なくされたが、体づくりや基礎の徹底など個々にメニューを組んで取り組むことで、自分自身と向き合うことができた。さらに、スモールグループに分かれてラグビーに関する意見交換を行うなど、競技への理解度を高める機会にもなり、地力を養う期間となったようだ。

 また、オンライン上でスクラムコーチから基本姿勢の指導を受けるなどの工夫を重ねた甲斐もあり、FWのセットプレーについては「良い状態でできている」とプロップ久保優(スポ4=福岡・筑紫)は語る。実際、9月13日に行われた流経大との練習試合では、スクラムトライを挙げたり、ラインアウトで高いマイボール獲得率を保持したりと安定したプレーを見せ、手ごたえを掴んだ様子。しかし、「まだまだ改善点はある」と久保。低くまとまって組む早稲田伝統のスクラムを今年も徹底できるか、FWの成長に期待がかかる。さらに今試合は、ロック桑田陽介(スポ3=愛知・明和)、フランカー前田知暉(社2=大阪・東海大仰星)、フランカー田中智幸(政経3=東京・早大学院)など、昨季はBチーム以下を主戦場としていた選手たちの起用が目立つ。どのメンバーであっても変わらないパフォーマンスで相手を圧倒し、FWの層の厚みを見せつけられるかにも注目だ。


低くまとまったスクラムを目指すFW

  新体制になりポジション争いに注目が集まるBKは、WTB古賀由教(スポ4=東福岡)ら昨年度も活躍を見せてきた選手たちに加え、新戦力の躍進が見どころのひとつだろう。今試合では、SH小西泰聖(スポ2=神奈川・桐蔭学園)、SO吉村紘(スポ2=東福岡)のHB団や、CTB松下怜央(スポ2=神奈川・関東学院六浦)、WTB槇瑛人(スポ2=東京・国学院久我山)ら2年生が多く先発する。吉村は「昨年度の4年が抜けた穴だからではなく、今年のスタイルで日本一を獲りに行くためにやっている」と意気込む。今年の早大のスタイルで今年の勝利を。スローガン『BATTLE』を体現するような闘志に満ちた若き選手たちは、王者の座に甘んじることなく先だけを見据えている。
 


昨年度春の早明戦で突破を図る吉村

 10月4日の開幕後、序盤は3試合連戦となる。イレギュラーな状況下で各チームの動向が読めない中、開幕からの3試合をどう戦うかが、その後に控える強豪大学との試合に向けて鍵を握りそうだ。中でも対抗戦全体の行方を占う試金石とも言える初戦。地力の差を見せつけて、確実な白星で日本一までの道程を照らすことができるか。去年の続きではない、今年の『荒ぶる』を掴むためのシーズンが幕を開ける。

(記事 山口日奈子、写真 石井尚紀氏、千葉洋介氏)