アミノバイタルカップ2020 第9回関東大学トーナメント大会 兼全国大会予選早大10-01-00立正大【得点】(早大)58’倉持 快アミノバイタルカップ(アミノ杯)準々決勝。コロナウィルス感染症の影響から、立正大との関東大学リーグ(リーグ戦…

アミノバイタルカップ2020 第9回関東大学トーナメント大会 兼全国大会予選
早大0-0
1-0
立正大
【得点】
(早大)58’倉持 快

アミノバイタルカップ(アミノ杯)準々決勝。コロナウィルス感染症の影響から、立正大との関東大学リーグ(リーグ戦)での対戦は延期となっており、今季の公式戦では初の顔合わせとなった。勝利で全国への切符を手にできる、重要な一戦。立正大の堅い守備を前に、なかなかチャンスを演出できない難しい展開となった。しかしスピードを生かしたMF倉持快(人3=神奈川・桐光学園)のゴールで先制に成功。この虎の子の1点を守り抜き、完封勝利で全国大会の出場を決めた。


細かいステップのドリブルで好機を演出した田中

立正大はリーグ戦で苦しめられた慶大同様、守備でリトリートをした場合に1−5−4−1のシステムを採用する。一方で早大が低い位置でボールを保持した際には、1トップに加え両シャドーが高いポジションから規制を開始。引いて守ることもあれば前からプレッシングを行うこともあるチームだ。「想定はしていたので、ポジショニングなどの確認はしていた」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)。早大は最終ラインでサイドチェンジを繰り返すとともに、MF鍬先祐弥(スポ4=東福岡)や田中雄大(スポ3=神奈川・桐光学園)がスペースでボールを引き出すことで、立正大の前線からの規制を無力化させた。27分、田中が最終ラインに落ちてビルドアップをサポート。右サイドに展開をすると、DF柴田徹(スポ2=湘南ベルマーレU18)のスルーパスにMF倉持快(人3=神奈川・桐光学園)が抜け出す。シュートは惜しくもDFのブロックに阻まれたが、得点の兆しをみせた。

後半開始早々にもカウンターからチャンスが訪れる。51分、MF梁賢柱(スポ4=東京朝鮮高)のスルーパスからFW加藤拓己(スポ3=山梨学院)に決定機。さらに田中がミドルシュートでゴールを狙うなど、ゴールまであと一歩のシーンを量産した。迎えた58分、ゴールキックを加藤が収めると、右サイドで待つ倉持へ華麗なフィード。「まさかあんなにいいボールが来るとは」(倉持)と驚く、針の穴を通すようなパスでチャンスが創出された。抜け出した倉持のシュートは、一度はGKのセーブにあうも、こぼれ球を自身で押し込み先制点を奪うことに成功する。


ゴールを決めた倉持と熱い抱擁を交わす選手たち

是が非でもゴールの必要な立正大は、選手の3枚替えなども絡め前線への圧力を増した。しかしDF杉山耕二主将(スポ4=三菱養和S Cユース)を中心に粘り強い守備を見せる。さらにはGK山田晃士(社4=浦和レッズユース)もファインセーブを連発。「体を張って、早大らしく愚直に謙虚にという姿勢を貫いてくれていた」と指揮官に言わしめる鉄壁で、クリーンシートでの勝利を掴み取った。

今季の公式戦ではここまで12戦9勝と、強さを見せつけ続けている早大。紫紺の絶対王者や永遠のライバルとの悔しい試合。さらには昨年の苦しいシーズンが血となり肉となり、今のチームが成り立っていることに疑いの余地はない。「日本一という目標を掲げている中で、スタートラインに立つことができた」(杉山)。3連勝を飾り、2年ぶりに全国大会への切符を得た大きな勝利となった。『日本をリードする存在に』ア式の組織理念を、サッカーという土壌で体現するための準備は整った。

(記事 橋口遼太郎 写真 長村光、橋口遼太郎)

早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK山田 晃士社4浦和レッズユース
DF15柴田 徹スポ2湘南ベルマーレユース
DF◎5杉山 耕二スポ4三菱養和S Cユース
DF22監物 拓歩スポ2清水エスパルスユース
DF阿部 隼人社4横浜F・マリノスユース
MF鍬先 祐弥スポ4東福岡
MF田中 雄大スポ3神奈川・桐光学園
→90+4分14植村 洋斗スポ1神奈川・日大藤沢
MF13杉田 将宏スポ3名古屋グランパスU18
→76分25小倉 陽太スポ1横浜FCユース
MF19倉持 快人3神奈川・桐光学園
→86分28丹羽 匠スポ2ガンバ大阪U18
MF梁 賢柱スポ4東京朝鮮高
FW10加藤 拓己スポ3山梨学院
→89分23清水 駿政経4京都橘
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――延長戦から中2日、ここまでどのような準備をしてきましたか

この間PK戦で勝って、この大会の厳しさだったり難しさだったりも感じました。ただ、東伏見に勝利というか、次の権利を持っていこうという話をしていました。またみんなで東伏見で集まって、残り組のメンバー含めて共有して、この大事なベスト4に向けての一戦を乗り越えるという意識をみんなでしっかり作ってきたという感じです。

――立正大に対してはどのような対策をしてきましたか

3バックで3-4-3で、慶大から3バックのチームが多かったので、すごく難しさがありました。ボールを持つと引き込まれてしまうので、そこに対してどう攻めていくかとか、どういうビルドアップをするかとか、その中でも立正大は一回引いても前からかけてくる状況を想定していたので、そこに対してポジショニングとか、確認はしていました。

――実際今日戦ってみて立正大はどんなチームでしたか

やはり1部のチームなので、技術とか能力の高い選手が多いですし、なかなか隙がないというか、堅実というか、真面目なチームだと感じました。

――前半はこう着状態でしたが、ハーフタイムではどのような声かけをしましたか

ゴールキーパーが非常に能力の高い選手で、コーナーキックの後の切り替えが早かったので、そこを注意するように、という部分です。我々もセットプレーを工夫しないと逆にカウンターを受けてしまう場面もあったので、そこを徹底したというか、強く確認はしました。

――倉持選手にゴールが生まれました。あのシーンを振り返っていただけますか

今日はサイドがどれだけ高い位置で仕掛けられるか、というのが1つポイントになっていたので、そういう意味で倉持を起用したというのもありました。加藤が良いポストプレーからサイドに展開して、シュートまで持っていって、その後も諦めずに追って押し込むという状況を作り出したというのは、今日我々テーマとしてはドライブという、いかに相手に一歩でも半歩でも近づいていく、そういうプレーを示そうというのがテーマだったので、まさにそれを体現するような、非常に我々に勇気を与える得点だったなと思います。

――ゴールを奪った後、丹羽選手(匠、スポ2=ガンバ大阪U18)を投入して守り抜きましたが、守備はどう評価されますか

最後少し見えない部分もありましたけど、山田がビッグセーブをしてくれて、山田、杉山、監物(拓歩、スポ2=清水エスパルスユース)と真ん中の3人はあれだけ長いボールや空中戦が多い中でも本当にたくましく競ってくれていました。最後のところはみんなシュートブロックに行っていました。体を張って、早大らしく愚直に謙虚にそういった姿勢を貫いてくれていたなと感じています。

――苦しい時間、苦しい試合もありましたがこの勝利で全国大会への切符をつかみました

すべての結果を見ても1部のチームは我々だけになってしまいました。この大会の難しさでもあるし、逆にいえばここまで来たならば1部のチームの意地を見せなければならないと感じます。そこをしっかりと考えて取り組む必要があると感じました。

――今節も引いて守ってくる相手で、前節もPK戦まで戦い勝利をもぎ取りました。引いて守るチームから勝ちを積み上げられているのは、慶大戦から振り返って手応えを感じますか

あの試合で学んだことをみんながとても意識していますし、たくましさがあります。我慢するというか、自分たちから崩れないということをやり続けられるチームに、試合を積み重ねながらなってきているのではないかと考えています。リーグ戦とはまた違った大会に参加させていただいて、サッカーの難しさや、この大会ならではの良さに我々としても気付かせてもらえるような経験を積ませてもらっていると感じます。

――中2日、中1日という試合も続いてチームのたくましさも上がっていると感じますか

気付いたらここまで勝ち進むことができました。逆に次はもっとチャレンジのゲームにしていきたいなと考えています。今チーム全体の雰囲気も良いですし、日曜日にはア式FCの大切な試合もあります。そういったところで早大としての矜恃や存在意義をしっかりと示していきたいと考えています。

――杉田選手をスタメンで起用しました。意図や期待したプレーを教えてください

どのように前に推進力を出すかというところと、彼はこの2日間のトレーニングも好調であったので、彼の前へというプレーや前に運べる力、チェイシングできる勢い。そういったところが出ていけばいいなと思っていました。前線の田中、加藤、倉持、杉田(将宏、スポ3=名古屋グランパスU18)といった3年生が非常にノビノビと元気にやっているので、そういった繋がりや一つのコンビネーションにも期待はしていました。

――中1日で準決勝が来ます。どんな準備をしていきますか

自分たちとしてこのゲームをやらせてもらえる感謝の気持ちが当然あります。その上で1部としての誇り、自覚と責任みたいなものをしっかりと果たせるような、そういった試合にしたいと考えています。

杉山耕二主将(スポ4=三菱養和S Cユース)

――延長戦から中2日でしたが、立正大に対してどのような準備をしてきましたか

まずはリカバリーを選手全員が意識して、現状復帰というところを意識しました。戦術的なところで言うと、アナライズ班の千田(奎斗、スポ4=横浜F・マリノスユース)や、鈴木郁也(社4=F C東京U18)を中心に相手の分析をしっかりした状態で試合に臨むことができました。

――前半はこう着していましたが、ピッチ内ではどのように感じていましたか

相手が3-4-3で臨んでくるのは分かっていた中で、自分たちの狙いを出せた部分もあったので、点は入らなかったですが、焦ることなく自分たちがやるべきことを続けようというようなことを考えていました。

――立正大の攻撃をどのように感じていましたか

縦に速い攻撃だったと思うのですが、ディフェンスライン、ゴールキーパー中心に慌てずに対応できたのは良かったかなと思います。

――これで全国大会への出場を決めました。その点はいかがですか

本当に素直にうれしいです。今年、日本一という目標を掲げている中で、まずスタートラインに立つことができたということ、その権利を獲得できたということはうれしく思います。</p

――中1日で準決勝となりますが、どのような準備をしていきますか

チームとして総力戦になると思いますし、1回戦、2回戦、準々決勝と戦ってきて、どんなメンバーが出てもしっかり戦えることを全員が証明できていると思うので、チーム全員で良い準備をして、次も必ず勝って、決勝に進めればなと思います。

倉持快(人3=神奈川・桐光学園)

――延長戦から中2日でしたが、立正大に対してどのような準備をしてきましたか

相手の11番、左サイドの選手がストロングになるということは分かっていたので、自分にできる守備のところ、走るところっていうのと、攻撃でストロングであるスピードをいかに生かすかっていうことを映像を見ながら考えていました。自分がやるべきことはある程度整理できていたので、それが試合の中で出せたのは良かったと思います。

――前半はこう着していましたが、ピッチ内ではどのように感じていましたか

前の2試合と比べて、自分たちが思うようにボールを動かせる時間が多くありました。ただその中で慶大戦でも課題だったことなのですが、点が取れないっていうのがこの2試合振り返ってもあったので、いかにゴールに近づいていくか、シュートを増やしていくかというところを修正していこうという声かけが、ハーフタイムでは多くありました。

――立正大の守備をどう打開していこうと考えていましたか

相手が5バックというところで、サイドバックと連携したポジション取りで相手を混乱させることを考えていました。また自分のストロングである5のサイドの裏を取るというのを昨日から大分イメージしていたので、そこが良い形で出たのは良かったと思います。

――ゴールのシーンを振り返ってください

ゴリ(加藤)が中央で持って、(自分が)裏に抜けて。まさかゴリからあんなに良いボール来ると思ってなかったのですが(笑)、良いボールが来たものの1回目は外してしまったのですが、良く押し込めたという感じです。

――これで全国大会への出場を決めました。その点はいかがですか

全国決めたといっても、ここから準決勝、決勝とあるので、まずは関東の王者になりたいです。また次の試合も良い試合をして勝っていければ良いなと思います。

――中1日で準決勝となりますが、どのような準備をしていきますか

自分たちがやることというのは、まずコアのところで球際、セカンドの切り替えだったり、そこに戦術をプラスして、自分たちのサッカーというものを絶対に崩さずに、どんな相手が来ても絶対に勝てるようにやっていきたいなと思います。