アメリカの新型コロナウイルス感染状況から、開催すら危ぶまれていた「全米オープン」は、世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が失格になるという誰も予想だにしなかったハプニングはあったが、無観客…

アメリカの新型コロナウイルス感染状況から、開催すら危ぶまれていた「全米オープン」は、世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が失格になるという誰も予想だにしなかったハプニングはあったが、無観客とはいえ、ほぼつつがなく全日程を終えた。【動画】死闘を制し初戦突破!錦織圭vsエバンズ/全仏OP男子1回戦

9月末から今年最後のグランドスラムとなる「全仏オープン」が開催され、その後は11月の「ATP1000 パリ」までメジャーな大会はないが、男子では代わりにいくつものATP500やATP250規模の大会が開催予定となっている。だが女子は10月19日に始まるオストラバ(チェコ)での大会以外、まだ開催は決まっていない。

<10月の大会カレンダー>

9月27日~10月11日 「全仏オープン」(男女)

10月12日~18日 「ATP500 サンクトペテルブルク」(男子)

10月12日~18日 「ATP250 ケルン室内」(男子)

10月12日~18日 「ATP250 サルデーニャ」(男子)

10月19日~25日 「ATP250 アントワープ」(男子)

10月19日~25日 「ATP250 ケルン選手権」(男子)

10月19日~25日 「J&T銀行オストラバ」(女子)

10月26日~11月1日 「ATP500 ウィーン」(男子)

10月26日~11月1日 「ATP250 ヌルスルタン」(男子)

※女子の「韓国オープン」と「リンツ・オープン」は日程未定

「全仏オープン」(フランス・パリ/9月27日~10月11日/クレーコート)

例年5月末から6月初めにかけて開催されるが、今年はパンデミックの影響で9月末から10月初めの開催となった「全仏オープン」。「全米オープン」と違って観客を入れての開催としたが、9月に入ってまたパリの感染者数は増加し、それに伴い当局に許可される観客数も減らされる、という状況で、観客数に関しては「全仏オープン」開催中の現在もまだまだ予断を許さない。

困難な状況の中で、2020年の賞金総額は3800万ユーロ(約46億7000万円)、昨年より約11%ダウンだ。だが「全米オープン」同様、より大きな経済的ダメージを受けている下位ランキングの選手たちを救済するために、予選1回戦敗退者は1万ユーロ(約123万円)、本戦1回戦敗退者は6万ユーロ(約738万円)と、下の方のラウンドでは賞金が大幅アップ。一方で準々決勝以上勝ち進んだ選手たちの賞金はほぼ30%ダウンで、男女シングルスの優勝賞金は昨年の230万ユーロ(約2億8300万円)から160万ユーロ(約1億9700万円)に減額となった。

同大会で前人未到の12回の優勝を遂げているラファエル・ナダル(スペイン)は、現在3連覇中。そしてここ数年、クレーでナダルを急追しているのがドミニク・ティーム(オーストリア)だ。2016・2017年にベスト4進出、そして2018・2019年と連続して決勝に進出してナダルに敗れたティームだが、「全米オープン」優勝で新たな自信をつけている。クレーでの前哨戦に出場していないとはいえ、もともとクレーを得意とするため、グランドスラム連覇に燃えていることだろう。

そしてもちろん世界王者ジョコビッチはどの大会でも常に優勝候補の一角だ。優勝して当然のように思われていた「全米オープン」で思わぬ失格となったが、すぐにクレーに照準を合わせると「ATP1000 ローマ」で優勝してみせた。一方、同大会が中断後の復帰戦となったナダルは準々決勝で敗退と、明暗が分かれている。

女子の過去5年の優勝者はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、ガルビネ・ムグルッサ(スペイン)、エレナ・オスタペンコ(ラトビア)、シモナ・ハレプ(ルーマニア)、アシュリー・バーティ(オーストラリア)と毎年入れ替わっているが、バーティはコロナ禍への懸念のため今年の残りの大会には出場しない。2月以降に出場した3大会(ドバイ、プラハ、ローマ)でそろって優勝したハレプはその好調を保てるだろうか。

「ATP500 サンクトペテルブルク」(ロシア・サンクトペテルブルク/10月12日~18日/室内ハードコート)

錦織圭(日本/日清食品)も出場を予定しているこの大会は、通常はATP250カテゴリだが、今年は新型コロナウイルスの影響で多くの大会がキャンセルとなったため、ATP500カテゴリに昇格して開催される。

ATP公式サイトによれば2020年の賞金総額は139万9370ドル(約1億4690万円)、シングルスの本戦出場選手は32名。優勝賞金は9万2870ドル(約975万円)、優勝すれば500ポイント、準優勝なら300ポイントを得ることができる。昨年の優勝者は、2019年後半破竹の勢いだったダニール・メドベージェフ(ロシア)。メドベージェフは今年も出場を予定しており、地元での2連覇を目指す。

「ATP250 アントワープ」(ベルギー・アントワープ/10月19日~25日/室内ハードコート)

続いて錦織が出場を予定しているこの大会は、賞金総額47万2590ユーロ(約5813万円)、シングルスの本戦出場選手は28名。優勝賞金は3万160ユーロ(約371万円)、優勝者は250ポイント、準優勝者は150ポイントを得る。昨年の決勝では、人工股関節手術を受けたアンディ・マレー(イギリス)が、やはり長く怪我に苦しんできたスタン・ワウリンカ(スイス)とのフルセットの死闘を制して復帰後初優勝を遂げている。

「ATP500 ウィーン」(オーストリア・ウィーン/10月26日~11月1日/室内ハードコート)

10月のもう一つのATP500大会であるこの大会は、賞金総額155万950ユーロ(約1億9077万円)、シングルスの本戦出場選手は32名。優勝賞金は10万5240ユーロ(約1294万円)、優勝者は500ポイント、準優勝者は300ポイントを得る。昨年この地元の大会で初優勝を遂げたティームは、今年も出場を予定している。

※為替レートは2020年9月24日時点

(テニスデイリー編集部)

※写真は「全仏オープン」でのナダル(左)とハレプ(右)

(Getty Images)