10月1日から4日間、日本学生選手権(インカレ)が開催される。今季は五輪代表選考会である日本選手権の延期、ジャパンオープンの延期、加えてジュニアオリンピック、インターハイや全中も中止と、競泳も新型コロナウイルスの影響を多分に受けてきた。し…

 10月1日から4日間、日本学生選手権(インカレ)が開催される。今季は五輪代表選考会である日本選手権の延期、ジャパンオープンの延期、加えてジュニアオリンピック、インターハイや全中も中止と、競泳も新型コロナウイルスの影響を多分に受けてきた。しかし異例の状況の中で、インカレは無事開幕を迎える算段となりそうだ。例年より1日長い10月1日から4日までの4日間の日程にて、無観客での開催。会場には基本その日の種目に出場する選手のみが出入りを許されるということになる。今大会では、否が応でも五輪を狙う選手のコンディションと池江璃花子(日大)の本格復帰に注目が集まることが予想されるが、異例の状況であろうとインカレ特有の団体戦の盛り上がりは変わらない。 また多くの4年生にとってはキャリアの集大成、他の選手にとっても今シーズン唯一の大舞台であるとも言える。早大水泳部競泳部門の今年度のテーマは『超越』。活動自粛期間も経て燻っていたエネルギーを以って、予想を超越する成果を挙げてほしいところだ。


昨年までのような応援も今年は見られない

★男子部は総力戦で総合3位以内を目指す

 男子部の目標は今年も『総合3位以内』。まず初日に行われるのは、50メートル自由形の1種目。伊藤新盛(スポ3=岐阜・中京学院大中京)、今野太介(スポ2=山形・羽黒)と昨年同大会同種目で表彰台に上っている村上雅弥(スポ3=香川・坂出)が出場する。好結果を残しチームに勢いをもたらしたいところだ。2日目には優勝を期待したい4年生の丸山優稀(法4=埼玉・大宮)、幌村尚(スポ4=兵庫・西脇工)が出場。丸山には昨年、春の大会でベストを大きく更新する活躍を見せながら不本意な結果に終わったインカレのリベンジを果たして欲しいところ。男子200メートル背泳ぎのランキング(※注)2位で迎える今大会でインカレの個人種目初めての表彰台を狙う。また昨年同大会の男子200メートルバタフライで1分55秒43の好タイムを記録した幌村は、この種目3連覇がかかっている。ランキング1位で迎える重圧の下、期待に応え有終の美を飾ることができるだろうか。


個人3連覇を目指す幌村(中央)

 勝負も佳境となる後半戦、3日目にはまずインハイ2冠、期待のルーキー・田中大寛(スポ1=大分・別府翔青)が男子200メートル自由形に登場する。この種目の優勝の本命は昨年日本選手権を制し代表入り経験もある吉田啓祐(日大)だが、ランキング2位の田中から4位が0秒04の僅差にひしめくため、表彰台争いは混戦の注目レースとなるだろう。簑田圭太(スポ2=大阪・太成学院大高)と菅野遼(スポ1=大分・佐伯鶴城)とともに結果を出して男子4×200メートルフリーリレー決勝進出に向けた好材料にもしたいところだ。また3日目には4年生の竹内智哉(スポ4=神奈川・湘南工大付)も男子200メートル個人メドレーに出場する。2年時には個人メドレー2種目2冠を達成しチームに大きく貢献したが、3年生だった昨年は故障・けがの影響で同大会を棄権し悔しい思いをしており、今年リベンジを果たしたいという気持ちは誰よりも強いだろう。ただ、個人メドレーには日本代表入り経験のある溝畑樹蘭(明大)、2019年ユニバーシアード優勝の井狩裕貴(近大)などが顔を揃えこちらも混戦となることが予想される。

 そして最終日となる4日目の注目はなんといっても男子200メートル平泳ぎ。出場する大﨑威久馬(スポ3=神奈川・桐光学園)、平河楓(スポ2=福岡・筑陽学園)、白石崇大(スポ2=広島・沼田)の3人全員が決勝に進出するという『早稲田平泳ぎ三枚残り』に挑む。道のりは険しいが、レギュラーから外れた4年生・今井流星主将(スポ4=愛知・豊川)の思いも背負った挑戦。ベストタイムで2位以下に2秒以上の大差をつける佐藤翔馬(慶大)が圧倒的優勝候補である。だが、ランキング2位の大﨑は8月末の早慶対抗大会(早慶戦)で大きくベストを更新し、平河、白石の両名も部内の過酷なレギュラー争いを勝ち抜いてきている。今大会最後の個人種目で早大の選手が3名並ぶ姿を楽しみにしたい。

 得点が個人種目の2倍加算されるリレー種目は、2日目に4×100メートルフリーリレー、3日目に4×100メートルメドレーリレー、4日目の最終種目に4×200メートルフリーリレーが実施される。チーム成績のためには、いかにリレーで上位に食い込むかという点も非常に重要だ。実際に泳ぐ選手は当日になるまで定かではないが、最も期待が持てるのはランキング2位の4×100メートルメドレーリレー。昨年同大会で2位に入った際のメンバーも全員残っており、悔しさを晴らすためにも是非優勝したいところ。リレー種目で鍵を握りそうなのは100メートル自由形でランキング5位につける伊東隼汰(社3=東京・早大学院)。昨年リレー3種目全てに出場しており、今年もその可能性も十分ある。同様に自由形を得意とする田中とともに重要な役割を担うことになりそうだ。

★少数精鋭の女子部も『シード権死守』の目標へ


昨年シード権を獲得した女子部

 個人種目出場7人で挑む女子部の目標は『シード権死守』。先陣を切るのは初日に唯一実施される50メートル自由形に出場する今牧まりあ(スポ1=長野・飯田)だ。ランキング9位と決勝進出に一歩及ばない位置におり、0秒01でも速いタイムを記録したいところ。また今牧は早慶戦でも両リレーに出場しており、今大会でもリレー全種目のメンバーに入る可能性が高い。1年生ながら責任重大だが、伸び伸びとした泳ぎを期待したい。

 そして今牧とともに女子100メートル自由形に参戦するのが牧野紘子(教3=東京・東大付中教校)。本来は200メートルバタフライを主戦場としているが、今大会はエントリーを回避した。代わりに出場する女子100メートル自由形には牧野と同様、他の種目で日本代表入り経験がある白井璃緒(東洋大)や持田早智(日大)も名を連ねており珍しいレースが見られそうだ。もちろんランキング2位で迎える女子100メートルバタフライでの力泳にも注目だ。

 また、昨年同大会で不本意な成績に終わった浅羽栞(スポ2=東京・八王子学園八王子)のリベンジにも期待を寄せたい。1年生だった昨年は日本選手権の女子200メートル平泳ぎで2位に入りながら、インカレでは6位に沈んだ。今年も女子100メートル平泳ぎでランキング4位、女子200メートル平泳ぎでランキング2位と表彰台、優勝をうかがえるタイムで臨む。今度こそ栄冠を手にしチームに貢献することができるだろうか。さらに『シード権死守』の目標のためには、混戦の表彰台争いが予想される女子400メートル自由形及び女子800メートル自由形に出場する佐藤千夏(スポ3=埼玉栄)や、個人メドレー2種目で決勝入りを目指す佐々木杏奈(スポ2=神奈川・日大藤沢)もより良い順位に入ってより多くの得点を持ち帰りたいところ。ただ、リレーでの決勝進出、上位入賞も含め、いずれにせよ全員が力を出し切れば結果はついてきそうだ。

※注 9月16日現在の出場予定者内での、2019年4月1日以降の長水路自己ベストについての順位

(記事 青柳香穂、写真 菊池廉)