新型コロナウイルスにより、関東学生春季リーグや全日本大学王座決定戦が相次いで中止となる中、ついに開幕した関東学生秋季リーグ。全日本学生選手権(インカレ)出場を懸けて臨んだ今季初戦の相手は宿敵・慶應。秋の早慶定期戦では13年間負けなしだが、…

 新型コロナウイルスにより、関東学生春季リーグや全日本大学王座決定戦が相次いで中止となる中、ついに開幕した関東学生秋季リーグ。全日本学生選手権(インカレ)出場を懸けて臨んだ今季初戦の相手は宿敵・慶應。秋の早慶定期戦では13年間負けなしだが、「余裕で勝てることはない」(GK古屋萌杏主将、スポ4=埼玉・飯能)と、経験者の卒業によりチーム状況の大きく変化した早稲田にとっては決して油断できない相手だった。初心者が増える中でもチームの底上げを図ってきたが、試合では終始流れをつかめず、前半に痛い2失点。その後何としても巻き返したい早稲田だったが粘りを見せられず、そのまま0―2で敗れた。

 第1クオーター(Q)序盤から相手に主導権を握られ、早稲田はパスも思うように繋がらないもどかしい状態が続く。すると開始約10分、まず慶應がペナルティコーナー(PC)を獲得。序盤の失点は防ぎたいところだが、正面からシュートを決められてしまう。さらにその直後再びPCを獲得されて追い込まれる。しかしここは古屋の好セーブでしのいだ。早々に一点を返したい早稲田だが、第2Qでも攻撃の流れをつかめず試合は相手のペースで進んでいく。そして約11分、慶應がサークル内に攻め込むと3度目のPCを獲得。これはわずかに枠を外れたが、勢いに乗った相手の攻撃は止まらない。わずか2分後に4度目となるPCを獲得され、早稲田にとっては致命的な追加点を献上してしまった。


PCにより先制点を許してしまう早稲田

 0―2で迎えた後半。後がない早稲田は一刻も早く反撃に出たいところ。副将のMF南家未来(教4=京都・立命館)や、インターハイ優勝経験のあるMF吉野真啓(スポ1=富山・石動)を中心に果敢に攻めるが「守備が多く来たときに散らし切れなかった」(吉野)と、相手の堅いガードを前になかなか得点には繋げられないまま時計の針が進んでいく。その後早稲田は第4Qにしてこの日初のPCを獲得。貴重なチャンスを生かしたいところだったが、「点数を取るべきところで取れていなかった」(安岡裕美子監督 (平16人卒=山形・米沢商)と振り返るように、シュートは枠を捉えられず。さらに終了間際には慶應に5度目のPCを獲得されるなど、早稲田は最後までペースをつかめないまま、無情にも終了のホーンが鳴り響いた。


厳しいマークを受けながらも果敢に攻めるMF南家

 今季初の公式戦となったこの試合。チームとしては経験者の多くが卒業して初心者が増え、主将の古屋もフィールドプレーヤーからキーパーになるなど大きな変化があった。その中で迎えた初戦は「焦りと緊張があった」(古屋)という。インカレ出場の道は途絶えたが、残りの順位決定戦、そして秋の早慶定期戦ではリベンジのチャンスが残っている。伸び代の大きいチームが、この悔しさをバネにどんな戦いをしていくのか。今後の試合に期待したい。

(記事 布村果暖、写真 小出萌々香、長村光)

結果
TEAM1Q2Q3Q4QTOTAL
早大
慶大
コメント

安岡裕美子監督 (平16人卒=山形・米沢商)

――新体制初の公式戦でしたが、今日の試合を振り返っていかがですか

ちょっと失点がもったいなかったかなという部分があるのと、点数を取るべきところで取れていなかったのがあると思います。

――4年生の皆さんが卒業されて、今のチームの状況はいかがですか

前の4年生が結構抜けたので、そこから今の4年生の経験者と1年生の吉野真啓(スポ1=富山・石動)を中心にということで、コロナ禍で組み立ててきました。

――自粛期間中の練習やチームマネジメントについてはどのように行っていましたか

グラウンドが使えないときはオンラインのミーティングを行って各自でランニングをしたり、皆で共有してやっていました。

――経験者である吉野選手の動きについてはどう評価されていますか

今回は中盤で色々なところをフォローしたり、積極的に前に行くという点ではすごくチーム内で評価しています。

――吉野選手以外の新入生は未経験者の方が多いのですか

そうですね、吉野以外は未経験者です。

――今後へ向けた課題は見つかりましたか

点数を取るところで取りきれていないので、点数を取るパターンを増やしたりというところが課題です。

――次回の上智大戦はどのような試合にしたいですか

得点が取れるように、しっかり前で(点を取りに)いけるように、チーム全体で攻撃できるように練習したいと思います。

GK古屋萌杏主将(スポ4=埼玉・飯能)

――新体制初の公式戦となりましたが、今日の試合を振り返っていかがですか

正直初戦ということですごく焦りと緊張があったのですが、これまでずっと慶應と早稲田で戦ってきて早稲田が負けることはなかったですし、練習も副将の未来(M F南家未来、教4=京都・立命館)がすごく引っ張ってくれていて。今は初心者がすごく多いですが、初心者向けのメニューも沢山やってくれているので正直、余裕ではありませんが頑張れば勝てるかなと思っていて、もちろん緊張もありましたが自分はこの試合を楽しみにしていた部分もすごく大きかったです。でも実際戦ってみるとやっぱり慶應の方が実力があって、もう、早稲田の実力不足だなと感じています。ゲーム内容としてはやはり攻められることの方が多かったですし、(早稲田が)攻める機会やシュートの機会が全然なかったので、そこがチームの課題かなと思います。

――想定していたゲーム展開は

余裕で勝てることはないなとは考えていて、SO(シュートアウト)戦の練習も結構していました。やはりギリギリで頑張って粘って最後SO戦に持ち込んで勝つというゲーム展開を想定していたので、第1、第2クオーター(Q)で2点取られてしまったというのが、自分の中では、キーパーということもあってすごくショックでした。本来であればもっと持ち堪えて、頑張って守って1、2点決めて勝つか、同点でSO戦に持ち込んで勝つというのを想定していました。

――今季のチーム状況はいかがですか

昨年までは経験者の先輩が多かったのですが、今年は私と副将の南家未来が経験者で、初心者の実結(DF橋本実結、社4=東京・早実)がすごく上手いのですが、経験者が多いか少ないかというところが昨年までとの一番大きな違いかなと思います。

――ご自身もフィールドプレーヤーからキーパーにポジションが変わったと思いますが、大変だったことはありますか

自分は中高でキーパーをしていて大学でもずっとそのつもりだったのですが、先輩が2人いらっしゃったのでキーパーとしては試合に出場できませんでした。だから(今日は)本当に高校生ぶりの試合だったのですが、フィールドとの違いが大きいなと改めて感じました。フィールドであればミスしたとしてももう一回取り返せたり、みんなとの連帯感も生まれて、走ったりしながら試合の中で修正できるのですが、キーパーとなると1個のミスが失点に繋がりますし、60分間走らずにずっと立って集中するというのにまず慣れていなくて、とても大きな違いだと感じました。またフィールドであれば自分のやりたいことを仲間と協力しながらやっていけますが、キーパーはチーム全体が上手くいくようにコントロールしなければならないポジションなので、ポジティブな声掛けをいつも以上にしていく必要もあります。そういう役割の面で、フィールドとの大きな違いがあると思います。

――新入生の状況はいかがですか

一人だけ吉野真啓が経験者で入りましたが他の子は初心者です。自分たちは監督やコーチに言われてというより自分たちで(練習を)一からやっていくのですが、歴代に比べても初心者に力を入れて練習していて、練習メニューも副将が全部考えてくれています。すごく練習はしているのですが、今日の試合ではあまりその成果が出せなかったかなと思います。

――チームの課題点は

本当に沢山ありますが、まずは、これまでも基礎を固めてきたつもりでしたが、トラップやパスを合わせることなども今日はできていない場面がすごく多かったので、もっと基礎固めをしなければいけないと思います。あと自分がすごく思うのが、守りよりも攻めが課題かなと思っていて。今日もシュートをほとんど打っておらずサークルインもできていない状況だったので、もっと得点に関わっていかなければいけないと思います。

――今後の目標をお聞かせください

今日は負けてしまいましたが慶應とは早慶戦でもまた戦えるので、そこで絶対にリベンジして、勝ちにいきたいと思います。

M F吉野真啓(スポ1=富山・石動)

――今日の試合を振り返っていかがですか

今日は先輩方から「点数決めてね」と言われるなどとても期待されていたにもかかわらず、自分が持っているボールが慶大の選手に囲まれて、その時の処理が自分の力不足だと感じました。

――大学に入って何か変化はありましたか

私の高校は強豪校で、周りはみんな経験者でした。また小学校1年生から(ホッケーを)やっている人ばかりで、(パスを)出したら取れるが当たり前のチームでした。大学に入った時に周りが初心者ばかりで、自分が今まで生かしてもらっていたことに気が付きました。そこで次は自分が初心者を生かすようなプレーをしなければいけないなと思うようになりました。

――今日は攻撃に参加する場面が多く見られましたが、チーム内でのご自身の役割についてどのように考えていますか

私はボールが持てる方なので、キープ力を大切にしてボールをディフェンスから受け取って、それを前に散らすっていう役割をしたかったのですが、今日は慶大に対策をされて守備が多く来たときに散らし切れませんでした。

――今後に向けて見つかった課題はありますか

今まで自分が生かされていたってことに気が付いたので、次からは人を生かすようなプレーをしたいです。例えば自分がスペースに出したボールを初心者が取ってくれたらまた自分がフォローアップに入るというような、もっと走るプレーを積極的に取り入れたいです。

――次戦以降に向けて意気込みをお願いします

秋リーグがあって、その次に早慶戦があるので、5位決定戦では必ず5位になれるように、またチームの中心選手になれるように基礎から自己練習でしっかりと固めて、早慶戦では今回の反省を生かして、もっと対策を練って挑みたいです。