華のあるプロ野球界で毎年オフに行われる契約更改の情報は、世間から大きな注目を集める。大幅アップ、1億到達、倍増と夢が大きく膨らむ一方で、厳しい現実もやってくる。■1億円プレーヤー続出で夢の広がる世界だが… 華のあるプロ野球界で毎年オフに行わ…

華のあるプロ野球界で毎年オフに行われる契約更改の情報は、世間から大きな注目を集める。大幅アップ、1億到達、倍増と夢が大きく膨らむ一方で、厳しい現実もやってくる。

■1億円プレーヤー続出で夢の広がる世界だが…

 華のあるプロ野球界で毎年オフに行われる契約更改の情報は、世間から大きな注目を集める。大幅アップ、1億到達、倍増と夢が大きく膨らむ一方で、厳しい現実もやってくる。今回、巨人・内海哲也投手が今季4億円から半減の2億円での単年契約となり、その減額の大きさが話題となった。結果がすべてのプロ野球界では、活躍すれば年俸は上昇するが、しなければベテラン選手であっても大減俸は当たり前。特に近年は、パフォーマンスの低下を理由に主力選手の大減俸が多く見られるようになった。最近5年でニュースを賑わせた大減俸を振り返ってみよう。

【注】年度は契約更改交渉を行った年。名前に続く金額は減額幅。金額は推定。

○2016年 内海哲也(巨人)▼2億円 

 2年連続で最多勝になった2012年オフに4年総額16億円の大型契約を結んだが、翌年以降の成績は13勝、7勝、2勝と下降線。今年は9勝したとはいえ、開幕直後は2軍暮らしで、3.94という防御率を見ても、安定した投球をしたとは言えなかった。4億円から半減の2億円で契約。着々と投手補強を進める巨人で、来年は年俸に見合う成績を残せるのだろうか。

■杉内はNPB史上最大の4億5000万円減

○2015年 杉内俊哉(巨人)▼4億5000万円、岩瀬仁紀(中日)▼2億5000万円

 昨年の契約更改では減額2億円超えが2選手いた。巨人の杉内俊哉投手と中日の岩瀬仁紀投手だ。

 球界屈指の左腕が野球人生の岐路に立たされている。杉内は2011年オフにソフトバンクから巨人にFA移籍し、4年契約を結んだ。FA移籍初年度は前チームと同じ年俸で、2013年シーズンからは年俸5億円だったが、契約最終年の昨年は序盤は白星を重ねるも、以前から痛めていた股関節の影響で6勝止まり。シーズン途中で離脱し、手術を受けた。そのため、昨オフは5億円から4億5000万円ダウンの5000万円で契約更改。ダウン額は衝撃だったが、杉内自身の申し入れで、再起にかける決意のにじむ数字だった。今年は1軍復帰できなかったため、来季が正念場となる。

 岩瀬も昨年は3億円から2億5000万円ダウンの5000万円で契約更改した。昨季は左ひじを痛めた影響で開幕2軍スタートとなり、プロ入り後、初めて1軍登板なしに終わった。かつては不動のクローザーとして日本を代表する投手だったが、今季も1軍登板は15試合と苦しいシーズンが続いている。今年はNPB史上3人目となる通算900登板を達成。来季ベテラン左腕は進退をかけて戦う。

○2013年 井端弘和(中日→巨人)▼2億500万円

 2013年オフに中日を自由契約となり、巨人に入団した井端弘和内野手は、ドラゴンズで着実に成長を遂げて、2010年には3億円プレーヤーになっていた。2013年の年俸は2億5000万円。同年3月には第3回WBCに出場し、ブラジル戦では同点タイムリー、台湾戦では9回2死から同点タイムリーを放つなど活躍した。しかし、公式戦では打率.236、1本塁打と低迷。シーズンオフには球団から自由契約になり、巨人と4500万円で契約した。限度額は2億500万円だった。

■小笠原の巨人最終年は3億6000万円減で7000万円

○2012年 小笠原道大(巨人)▼3億6000万円

 巨人に2007年に加入してから、リーグ3連覇など輝かしい成績を残した。フルスイングが代名詞で鋭い打球で勝利を呼び込んできた“ガッツ”だったが、2011年頃から打撃は下降気味。怪我にも苦しみ、年々試合出場数も減った。年俸は4億3000万円まで上がったが、巨人最終年となった2013年は3億6000万円ダウンの7000万円。過去最少の22試合出場で1本塁打と状態は上がらなかった。2013年オフに中日へFA移籍。2年プレーした後、今季から中日の2軍監督を務めている。

○2011年 山崎武司(楽天→中日)▼2億2000万円、清水直行(DeNA)▼2億円

 2010年にはチームトップの28本塁打を放つなど、楽天を支えた主砲だったが、2011年は怪我にも苦しみ、102試合の出場で11本塁打。オフに自由契約となった。古巣の中日から声がかかり、2億2000万円ダウンの3000万円で契約。中日で2年プレーした後、2013年オフに引退した。

 2011年、清水は左膝の怪我に泣かされた。7試合の登板で2勝4敗。かつてロッテのエースとして鳴らした右腕だが、戦力になれなかった。同年オフに2億円減の5000万円で契約更改。翌年は1軍での登板機会はなく、戦力外通告を受けた。

 全員、チームの主軸だった選手達がぶつかった大きな壁。現役選手たちは、この大減俸の大波を乗り越えて復活を果たせるだろうか。