アイラ・ブラウンを3番で使う優位性を作り出すサンロッカーズ渋谷は11月中旬にチャド・ポスチュマスを獲得し、カディーム・ジャックの契約解除で空いた外国籍選手枠と、薄くなっていたインサイドの陣容を埋めた。ただ、そんな中でも満原優樹の存在感は薄れ…

アイラ・ブラウンを3番で使う優位性を作り出す

サンロッカーズ渋谷は11月中旬にチャド・ポスチュマスを獲得し、カディーム・ジャックの契約解除で空いた外国籍選手枠と、薄くなっていたインサイドの陣容を埋めた。ただ、そんな中でも満原優樹の存在感は薄れていない。日本代表での活躍も期待される198cm102kgの26歳が、外国籍選手と伍して光るプレーを続けている。

11月26日の新潟アルビレックスBB戦で彼が得たプレータイムは31分45秒。14ポイントを挙げ、リバウンドもチーム最多の9個を奪った。

新潟はダバンテ・ガードナー、クリント・チャップマンの両インサイドが強力だ。その証拠にB1の得点ランキング(11月26日現在)を見るとガードナーが2位、チャップマンが7位に入っている。

渋谷はアールティー・グインを5番(センター)で、帰化選手のアイラ・ブラウンを3番(スモールフォワード)でそれぞれ起用している。もちろん試合の中で選手の出入りや受け渡しはあるが、新潟戦の満原は4番(パワーフォワード)として強烈なビッグマンとマッチアップする時間が長かった。

新潟の強力なインサイドを相手に、満原はしっかりやれていた。ヘッドコーチのBTテーブスも「過去に比べるとディフェンスは本当に良くなっている」と彼の成長を認める。

東海大の4年間で積み重ねた鍛錬が、外国人のビッグマンに当たり負けない屈強な肉体を育てた。「大学の時は筋トレをかなりやったんですか?」。そう問いかけると満原は食い気味に答えを返してきた。「メチャクチャやりますよ」

満原は当時のメニューをこう説明する。「シーズンに入る前は、本当にメチャクチャやります。授業があるので朝7時か7時半くらいから始めて週3か週4。重量はベンチやスクワットだったら自分のマックス数値の80%で10回、そこから潰れるまでとか……。多い時は10セットくらいやります」

ベンチプレスのMAXは「大したことないですよ」と言いつつ、115キロか120キロは挙げるとのこと。そんな積み重ねが今になって発揮されている。満原はこうも言う。「あの時期に死に物狂いでできたのが、今につながっている。プロになったらトレーニングをしていない選手はインサイドでできないと思うので、そこは感謝しています」

『ただ強いわけではない』という満原の魅力

満原はただ強いだけという選手ではない。彼はハンドリングやシュートタッチも相応に備わっていて、アシストもできるオールラウンダーだ。26日の新潟戦は14ポイントを挙げたが、3ポイントシュートを5本狙って2本決めている。オフェンス時ならアイラ・ブラウンがインサイドへ切れ込めばマークはそちらに寄り、自然と外が空く。そこを活かすのも満原の役目だ。3ポイントシュートを積極的に使っていく渋谷のオフェンススタイルの中で、彼はそういう持ち味も出せている。

26日の新潟戦後に、テーブスヘッドコーチは満原の意外なところを褒めていた。「前半にシュートが入らないところもあったけれど、良かったのはその状況で打ち続けたこと。それが結果にもつながった。普通は出だしに5本6本とミスをするとシュートを打つことを躊躇したり、打たなくなったりする。しかし彼はその状況でも打ち続けた」

そんな姿勢が奏功して満原は終盤にポイントを伸ばし、第4クォーターに7点を挙げている。本人は積極性の理由をこう説明する。「今週に入って『空いたら必ず打とう』と思っていた。打つ気で打って外すのと、悩んで打って外すのでは全然違う。次につながるかつながらないかも全然違う。だからシンプルに打とうと思っていた」

受け答えからも伝わってくる前向きな姿勢、勇ましさを、彼は実際のプレーで表現していた。次のステップは仲間と相手の状況を見てプレーを使い分けること。そして個の能力からチーム全体に相乗効果を生み、渋谷を勝たせるということだ。

満原は自らの課題をこう述べる。「外国人選手と自分とのマッチアップで、相手のアドバンテージになったら渋谷は勝てない。まず1対1でしっかり抑えること。僕が外国籍選手に付いていたらアイラ(ブラウン)がインサイドに入れる。より頭を使って、そういうつなぎ役としてプレーしたい。自分が行く時は行っていいし、つなぎ役に回る時は回るということを考えている」

屈強なオールラウンダーに判断力、連携が備わればもう怖いものはない。満原はBリーグを盛り上げるため、そして2020年の東京五輪に向けて代表が躍進するために、もう一回りの成長を期待したくなる人材だ。