自分たちにしかできない連覇へ向け、部員150人が一致団結して19日開幕の秋季リーグに臨む。混戦になるのは覚悟の上。すでに主務の福島駿樹には歓喜の瞬間がイメージできている。 「険しい道になると思いますが、連覇を成し遂げて、春…
自分たちにしかできない連覇へ向け、部員150人が一致団結して19日開幕の秋季リーグに臨む。混戦になるのは覚悟の上。すでに主務の福島駿樹には歓喜の瞬間がイメージできている。
「険しい道になると思いますが、連覇を成し遂げて、春はできなかった監督、キャプテンを胴上げしたい」
コロナ禍による異例のシーズンを法大も送っている。3月末から週末の活動ができなくなり、4月からの2カ月間はほとんどの部員が自宅待機を余儀なくされた。それでも東京六大学は対策を徹底し、全国の大学野球リーグで唯一、春季リーグを開催。8月中旬の炎天下、74年ぶり1回戦総当たり制という短期決戦だったが、法大は4勝1敗の好成績を残し、3季ぶりリーグ最多46回目の優勝を飾った。キャプテンの中村迅は言う。
「自粛期間中も春のリーグ戦があることを信じて僕自身は実家に戻って高校や中学校のグラウンドを借りて練習していました。今年のチームは例年より実力はないと思いますが、チームワークがいい。春は1回戦総当たりということでチーム全員に”負けない野球”“1球を大切に”という思いが強まり、それはいまも継続しています」
コロナウイルスの感染拡大により、失ったものは大きいが、得たものも少なくないということか。チーム全体で行動パターンを記録するアプリを活用し、部員の体調や行動を管理。先が見えない不安の中、それぞれが支え合い、いまできる課題に取り組んだこともチームの結束力につながったようだ。
「4月からの2カ月間は全体練習ができず、ほとんどの部員が実家に帰った。そんな中で各自が練習の質を落とさないように一生懸命に努力し、1人もコロナ感染者を出さなかった。法政は高校時代トップクラスの選手が競い合い、野球に取り組む意識が高いからだと思います」と福島主務は言う。
春のリーグ戦ではドラフト候補の鈴木昭汰、高田孝一(ともに4年)の先発陣が踏ん張り、勝った4試合はすべて3点差以内。早大、明大戦は延長タイブレークによるものだった。「いまのチームはこの4年間で団結力が一番強い。春は鈴木、高田の二枚看板で失点を抑え、スキのない走塁で得点し、ロースコアで勝ってきた。秋も同じような戦いになると思う」
法大と言えば、古くは法政三羽ガラス、リーグ最多48勝の山中正竹、1勝差2位の江川卓ら球界に多くの人材を輩出して来た。主務の役割は年間のスケジュールや予算管理、リーグの運営など多岐にわたるが、強豪校とあって多くのOBの訪問を受け、その橋渡し役も担う。
「100年を超える歴史があり、多くのプロ野球選手を輩出。最多優勝回数を誇るチームにかかわらせてもらっているのは誇りです。マネジャーとして裁量権を持って自由にやらせてもらえているし、人と人をつなげる役割も大事だと思っている。そんな中で“法政のマネジャーが一番しっかりしている”と言われたときはうれしいですね。人間性が磨かれているのかな、と思う」
春の優勝からわずか1カ月後。法大にとって連覇と47度目の優勝がかかる秋季リーグでは東京六大学連盟も様々な試みを実施する。外野席に応援団を入れ、春は内野席のみ3000人だった観客を5000人へ。さらに「Unlim(アンリム)」によるギフティングサービスもそのひとつだ。
福島主務は「寄付していただくことで試合でがんばっている選手の道具費などに充てられる」と歓迎し「手狭になっている室内練習場など施設の拡充を図り、より良い練習環境を整えられれば助かります」と監督や主将の思いを代弁した。
もちろん、そのためにはグラウンドで熱い試合を見せ、OBや学校関係者、学生に共感してもらわなければいけない。
「春も応援団の方々が観客として入ってくれていた。”これだけ愛されているんだな”と実感しました。秋のリーグではチャンスのときのベンチの雰囲気、盛り上がりを見てもらいたい。どこにも負けていないと思う」と福島主務。青木久典監督も「連覇できるのはわれわれだけ。優勝することが一番ですが、見る人の見本になり、愛されるチームにならなきゃいけない」と力を込めた。
OBの菅義偉氏が総理大臣になった。風はいま法大に吹いている。今年のチームのスローガン「和」をもって頂点を目指す。
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