まさに一騎打ちだ――。 デサントレディース東海クラシック(9月18日〜20日/愛知県・新南愛知CC美浜コース)の最終日、同じ通算11アンダーのトップタイからスタートした28歳の東浩子と20歳の古江彩佳が、抜きつ抜かれつのマッチレースを展開…

 まさに一騎打ちだ――。

 デサントレディース東海クラシック(9月18日〜20日/愛知県・新南愛知CC美浜コース)の最終日、同じ通算11アンダーのトップタイからスタートした28歳の東浩子と20歳の古江彩佳が、抜きつ抜かれつのマッチレースを展開した。そして、2人が通算15アンダーで並んでプレーオフまでもつれた激闘を制したのは、古江だった。

 昨年10月の富士通レディースでアマチュア優勝(史上7人目)を遂げている古江は、実質今季がデビューイヤーとなる2000年度生まれの「ミレニアム(プラチナ)世代」であり、プロとしてこの世代の最初の優勝者ともなった。

「こんなに早く優勝できるとは思っていませんでした。前回の優勝は"攻めるだけ"という気持ちでプレッシャーなくやれた。今回は後半から緊張が始まって、身体がちょっと動かないシーンもありました」



デサントレディース東海クラシックを制した古江彩佳

 最終日は5番で東が先に抜け出すと、古江が8番、9番の連続バーディーで逆転。12番で再び東が追いつき、両者は通算14アンダーで並んで、最終18番ミドルホールを迎えた。

「最終日のラウンドは、守らなきゃいけないし、攻めなきゃいけないという状況で、(本心は)攻めたいけど、守りも必要だという気持ちが邪魔をしていました。やるしかないとは思っていたけど、一打に集中するのが精一杯だった。(バーディーチャンスが多かった東は)いつ入ってもおかしくなかった。入るだろうと思って、自分は自分のプレーに徹していました」

 最終ホールのバーディーパットは、古江が18m、東は7mだった。「吸い込まれるように入っていくとは思っていなかった」と振り返る古江が、先にロングパットを沈め、東も難しいラインを読み切って一歩も譲らない。

 先に決めることができた時点で、一瞬ではあるものの、「勝利を確信した」というのは、古江の偽らざる本音だろう。

「でも、何が起こるかわからないと思っていた。プレーオフが決まり、これも仕方ないと思いましたね。後半、バーディーチャンスにつけても、決められなかった自分がいたので」

 プレーオフが行なわれたのは、同じ18番ホール。1ホール目で、東はフェアウェーからの2打目を本戦とほぼ同じ距離につけた。

 対する古江も、ラフからだった本戦とは違ってフェアウェーから2打目を打った。ピッチングウエッジで高く放たれボールは、カップの手前数cmでバウンドし、カップの10cm先に止まった。このスーパーショットで"勝負あり"だった。

「プレーオフまでもつれて、2位で終わるというのは悔しい。(プレーオフでは)もう"攻めるだけ"と思っていて、それが2打目のショットに生きた。当たりもよかったし、手応えもあった。完璧なショットができて、グリーンに乗った瞬間は、自分を褒めたいなと思いました」

 プレーオフを含め、3日間の計55ホールでボギーはゼロ。ショートゲームの安定感がその要因だった。

「アプローチがある程度寄ってくれて、3mぐらいのパーパットもあったけれど、しっかり決めることができました」

 安田祐香や吉田優利ら注目を集める「ミレニアム世代」で、初のプロ優勝者となったことについては、多くを語らなかった。

「あまり世代のことを意識することはないです。自分ががんばるだけかな、と。周りのことは考えず、自分自身との戦いがゴルフというスポーツかなと思っています」

 古江が憧れるゴルファーは、宮里藍さん。彼女のように「ジュニアゴルファーから応援される選手になりたい」と話す古江は、プロ転向後初のツアー優勝で自ずと「ミレニアム世代」の旗手となった。