第6回は吉澤一翔副将(スポ4=大阪桐蔭)と瀧澤虎太朗副将(スポ4=山梨学院)が登場する。瀧澤は昨季打率3割と一定の成績を残し、夏季オープン戦でも良い状態を維持。一方の吉澤は昨季打撃不調に陥ったものの、夏季オープン戦では安定した打撃を見せた…

 第6回は吉澤一翔副将(スポ4=大阪桐蔭)と瀧澤虎太朗副将(スポ4=山梨学院)が登場する。瀧澤は昨季打率3割と一定の成績を残し、夏季オープン戦でも良い状態を維持。一方の吉澤は昨季打撃不調に陥ったものの、夏季オープン戦では安定した打撃を見せた。今季が泣いても笑っても最後の東京六大学リーグ戦(リーグ戦)。1年間チームを支えてきた副将コンビに、開幕を間近に控えた今の気持ちを伺った。

※この取材は9月11日に行われたものです。

「やっぱり応援があっての野球」(吉澤)


昨季の東大戦で二塁打を放つ吉澤

――お2人での対談は去年の東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)開幕前対談以来だと思います。まずはお互いの今の印象をお伺いできますか

吉澤 瀧澤はバッティングがよくて、性格は優しいです。

瀧澤 チームを引っ張ってくれていて優しいです。

――お互い最近の優しかったエピソードはありますか

吉澤 バットをもらいました。自分のバットがなくて困っていたら優しくバットをくれました。

――普段からお2人は仲が良いと思いますが、共に副将ということでお2人の関係は去年と比べて変化しましたか

吉澤 特に変化はしていませんが、副キャプテンなのでチームのことについて話す機会が増えました。

瀧澤 そんな感じです(笑)。

――4年間でお2人の印象的なエピソードなどがあれば教えてください

吉澤 授業は常に一緒に行っています。同じくらいの学力なので一緒にいると安心します(笑)。

瀧澤 4年間ずっと自分が吉澤の時間割を決めてあげていました。

――では、本題に移らせていただきたいと思います。まずは、春季リーグ戦を振り返っていかがですか

吉澤 2試合タイブレークで負けてとても悔しかったです。

瀧澤 チームとしては、吉澤が言っていたようにタイブレークの接戦で負けてしまって、そこを勝ち切れていたら優勝というのもあったのでとても悔しかったです。個人としては、打てる試合と打てない試合がはっきりしていたので、毎試合しっかり打てるようにしていきたいと思います。

――お客さんが少ない、応援がないという神宮で戦ってみてどうでしたか

吉澤 応援がないので、声が通りやすくてやりやすい部分もあったのですが、やっぱり応援があっての野球だなと思いました。秋は(応援が)あると聞いたので楽しみにしています。

――一番印象に残っているのは何戦ですか

吉澤 初戦の明治戦です。やっぱり、早稲田は初戦に弱いというところがあったので、そこできっちり勝てたというのがチームにとって良かったのではないかなと思います。

瀧澤 5試合しかやっていないので全部印象に残っていますが、やっぱり今季も慶応に負けてしまったので、秋は最後しっかり慶応に勝って優勝したいと思います。

――タイブレークで負けてしまった試合が2試合ありました。あと少しのところで勝ち切れなかった要因はどういったところにあったと思いますか

吉澤 細かいところのミスが目立っていました。タイブレークでも、進塁打であったりチャンスでのバッティングであったり攻撃の部分で課題が残ったのではないかと思います。

瀧澤 やっぱり細かいミスだと思います。タイブレークでのバントであったり、法政戦では岩本がミスをしたり、慶応戦では自分がミスしてしまったり、大事なここぞという場面でのバントやチャンスの場面で一本打てるかというのが秋の課題だと思うので、今それをチーム全員で詰めているところです。

――吉澤選手は春季リーグ戦序盤から中盤にかけてあまりヒットが出ず、全体を通して打撃に苦戦されていました。振り返っていかがですか

吉澤 自分の実力が出せなかったというのと、あとは力んだという感じになるのですが、自分の気持ちをうまくコントロールすることができなくてバッティングフォームも変わっていったので、そこが課題として残りました。

――瀧澤選手は打率を見れば3割と安定した成績を残したと思いますが、ご自身の活躍をどう評価しますか

瀧澤 法政戦と東大戦でヒット0で、3番というポジションは毎試合チャンスで回ってきたり、ランナーがいない場面では絶対に出塁してチャンスメイクしないといけなかったりするので、それを毎試合できなかったというのは自分の課題です。数字で見たら3割ですが、そういう数字以上にチームに貢献するというところがあまりできなかったので、秋は毎試合しっかり点に絡めるようにしていきたいと思います。

――春季リーグ戦で出た個人とチームそれぞれの課題を教えてください

吉澤 チームの課題は、とにかく緊迫した場面でどれだけ自分の持っているものを出せるかというのが課題だと思うので、いろいろな練習から自分でそういう雰囲気を作り出してやることが大事だと思います。個人としては、スイングであったりバッティングの面なのですが、神宮でしっかり打てるように、グラウンドでもそういうバッティングをするということを意識しています。

瀧澤 チームとしては、細かいミスであったり、ここぞという場面のミスであったり、チャンスで打てなかったりという試合の大事なターニングポイントで自分の良いパフォーマンスが出せるかというところが今後の課題です。個人としては、全試合しっかり点に絡んでいくというところです。

「開幕に向けてどれだけ自信を持って入れるか」(瀧澤)


取材に答える吉澤(左)と瀧澤

――今年は春季リーグ戦と秋季リーグ戦の間の準備期間が短いですが、夏はどのような目標を立てて練習に取り組まれていましたか

吉澤 もちろん日本一になることを目指していて、とにかく打線の方でしっかりつながりを持つというのをオープン戦でやってうまく機能しているので、そこは秋に向けてしっかりできているのではないかと思います。

瀧澤 短い準備期間でしたが、春はピッチャーに頼りっぱなしというか、ピッチャーがすごく良くて頼っていた部分があるので、秋はしっかり打線がつながっていくようにオープン戦でも課題を持ってやっていました。

――現在は何を重点的に練習されていますか

吉澤 バントです。バントのミスが多かったので、いろいろな球でバントの練習をみんなでやっています。

――現在の打撃の調子はいかがですか

吉澤 良くも悪くもという感じですが、チーム全体で見るとそれぞれがいいかたちで取り組めていると思うので、このままもう少し上げていって初戦に合わせていきたいと思います。

瀧澤 個人としては、上がってこれているのかなというのが手応えとしてあって、あとはやっぱり考えすぎたらだめだと思うので、開幕に向けてどれだけ自信を持って入れるかだと思うので、良い感覚でこのまま入りたいです。

――吉澤選手にお聞きします。夏季オープン戦では2番で出場されていますが、意識していることはありますか

吉澤 2番はバントなど細かいことをやるイメージなのですが、実際はチャンスで回ってきたり、1つ長打ほしいなという場面だったりもありますし、そんなに小さくならずにバッティングするということを心がけています。

――守備面では三塁手に転向されていました

吉澤 まだまだですが、サードでチームを引っ張っていけるようにということでサードになったので、そういうことを考えながら試合でもしっかり引っ張っていきたいと思います。

――三塁を主に守るというのはいつ以来でしょうか

吉澤 大学入って1年の頃にずっとサードをやっていたので、それ以来です。

――練習自体はされていたのでしょうか

吉澤 ずっとファーストとセカンドをやっていてサードはなかなか練習できていなかったので、今急いで数をこなして慣れているところです。

――続いて瀧澤選手に伺います。昨年は開幕前日にけががありましたが、今年何か特に気を付けていることはありますか

瀧澤 人より体のケアには気を配っていますね。

――山梨学院高の後輩でもある1年生の野村選手が夏から1軍で出場されていますが、野村選手のプレーはどう見られていますか

瀧澤 1年生としてはすごく良いと自分は思っていて。打席の中での落ち着きは1年生には見えないですね。自分たちが優しすぎるのもありますがすごくのびのびとやっている印象です。多分秋のリーグ戦、大事なところに出てくると思いますしそのようなときには打ってくれると思います。

――秋季リーグ戦まであと少しですが、今のチームの雰囲気はいかがでしょうか

吉澤 悪くはないですがいろいろ甘いところがあるのでよく監督(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)に怒られています。

瀧澤 4年間の中で一番いい雰囲気でオープン戦は臨めています。ですが練習ではまだまだなところがたくさんあるのでもっと厳しくやっていかないといけないなと思います。

「このような状況で変則的なリーグ戦だからこそ早稲田が優勝しなくてはいけない」(瀧澤)


昨季の慶大戦で安打を放つ瀧澤

――春が終わってすぐ秋季リーグ戦が始まるということは率直にどう思っていますか

吉澤 秋が終わったらすぐにシーズンが終わってしまうという印象がいつもあるので、今年は春と秋の感覚が短かった分特にすぐ終わって引退だなという思いがあるのではないかと思います。

瀧澤 吉澤が言ったこともそうですが実戦感覚はずっと養えているのでそのようなところでの不安はないかなと思います。

――注目している選手や期待している選手はいらっしゃいますか

吉澤 丸山(荘史、スポ3=広島・広陵)が今ずっとファーストをやっているのですが春はベンチにいて、今回はスタメンで出ると思うので活躍してほしいなと思います。

瀧澤 柴田(迅、社4=東京・早大学院)に期待しています。本当に大事な場面で投げると思いますし(調子は)4年間で一番良いと思います。柴田の真っすぐはどこの大学の人も打てないと思います。

――鍵となる対戦カードはどこだと思いますか

瀧澤 やはり明治だと思います。最初を落とすと優勝も遠のいていくと思いますしそこで2個(勝ち星を)取れれば手応えもつかんで不安も少ない状態で次の法政にいけると思います。絶対落とさないようにチーム全体で頑張ります。

吉澤 自分も明治だと思います。優勝してきた大学は絶対初戦で勝っていると思うので勝ってチームが(勢いに)乗っていけるような状態にしたいです。

――副将として1年間を送るなかで、ご自身が成長したと感じられることはありますか

瀧澤 精神的に成長したかなと思います。

吉澤 練習できつく言いたくなってしまう場面でも一歩引いてうまく伝えるようになったので、その面では大人になった自覚があります。

――4年間の集大成となる最後のリーグ戦ですが、やはり今回のリーグ戦に対する思いは今までと違うのでしょうか

瀧澤  全く違います。今まで通り自分たちの代もお客さんも応援も通常通りある中でやりたかったですが、世界中がこのような状況なので仕方ないとは思っています。ですが逆に今までのことは当たり前ではなかったということを感じました。「自分の代でどうして」という思いも何度もしてきました。しかし自分たち以上にコロナの影響を受けている人はたくさんいると思いますし、今回5000人お客さんを入れて応援もあるということなのでそこはありがたいと思っています。このような状況で変則的なリーグ戦だからこそ早稲田が優勝しなくてはいけないですし一回も自分たちの代は優勝できてないので、最後優勝を味わって卒業したいという思いが強いです。

吉澤  自分の代なので優勝したいですし自分たちのために裏方に回ってきた仲間たちがいるので彼らのためにも優勝してあげたいという思いがさらに強いので他のリーグ戦とは全く違う思いです。

――秋季リーグ戦での注目ポイントはありますか

瀧澤 ドラフト1位候補の早川(隆久主将、スポ4=千葉・木更津総合)と三塁コーチャーの杉浦(啓斗新人監督、文構4=東京・早実)だと思います。杉浦は右腕をたくさん回してたくさん声を出すのでそこは注目だと思います。

吉澤 注目ポイントは柴田の投げた後にスピードガンを見る顔と瀧澤の鬼の(バットの)ヘッドの使い方です。波打っているので見といてください(笑)。

――秋季リーグ戦でのチームと個人それぞれの目標を教えてください

瀧澤 チームの目標はもちろん全勝優勝をして明治神宮大会に出場して日本一になることです。個人としてはまだ首位打者というタイトルを取ったことがないので、入学してからの目標でもあるので取ることと、毎試合チームの得点に絡んで勝利に導けるようなバッティングをしたいと思います。

吉澤 チームとしては優勝したいです。個人的にはサードでベストナインを取ることが目標なので、毎試合全力でプレーしていきたいと思います。

――優勝に向けてどのような戦いをしていきたいですか

瀧澤 勝っている場面でも負けている場面でも粘り強く戦って、劣勢なときこそチーム全員で戦っていきたいと思います。

吉澤 ピッチャー陣がすごく安定して良いですが、逆転や先制されることもあると思うのでその時に逆転勝利することが大事だと思います。うまくいかないときこそチームみんなで打線をつなげていきたいと思います。

――最後に意気込みをお願いします

瀧澤 学生最後のリーグ戦なので自分たちの代で優勝して同級生30人、全部員141人で優勝を味わって卒業したいと思います。

吉澤 本当に最後なので2カ月間悔いの残らないように全力で取り組みたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 芦澤りさ、萩原怜那)

◆吉澤一翔(よしざわ・かずと)

1998(平10)年5月29日生まれ。172センチ、77キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部4年。内野手。右投右打。夏季オープン戦では大学1年時以来の三塁手に転向し、リーグ戦開幕に向けて調整を進めている吉澤選手。今回の対談では、いつも一緒に授業を受けているという瀧澤選手との仲の良さも伺われました。ついに迎えるラストシーズン、目指すところはもちろん日本一。そして個人ではベストナインを獲得すべく、全力のプレーで駆け抜けます!

◆瀧澤虎太朗(たきざわ・こたろう)

1999(平11)年1月16日生まれ。180センチ、74キロ。山梨学院高出身。スポーツ科学部4年。外野手。右投左打。打撃だけでなく走塁でも点をもぎ取る瀧澤選手。今回の対談では新型コロナウイルスの影響を受けた自分たちの代について特に熱く語る姿が印象的でした。そんな逆境も追い風に変えてチームを優勝に導くことでしょう!