【緊急連載第1回】綿貫陽介をサポートする兄の敬介が現地のリアルな状況をレポート 新型コロナウイルス感染拡大が収束せぬまま、9月21日に開幕を迎えるテニスの全仏オープン。世界ランク232位の綿貫陽介(日清食品)のツアーコーチとして帯同している…

【緊急連載第1回】綿貫陽介をサポートする兄の敬介が現地のリアルな状況をレポート

 新型コロナウイルス感染拡大が収束せぬまま、9月21日に開幕を迎えるテニスの全仏オープン。世界ランク232位の綿貫陽介(日清食品)のツアーコーチとして帯同している兄・敬介(明治安田生命)が「THE ANSWER」で緊急連載をスタート。現地の状況を定期的にレポートする。第1回はパンデミック禍のパリで行われる大会の現状について。「少し心配」と不安な思いを吐露している。

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 16日午後5時過ぎにシャルル・ド・ゴール空港に到着しました。最初に目に入るのはこれまでにはなかったシグナル。空港でも宿舎でも至る所に、ソーシャルディスタンスは1メートルと明示されています。

 空港内の人出はそこまで多くなかったけれど、日本よりも人と人の距離は結構近いなという印象を感じました。

 空港からはパリ中心街の選手宿舎までタクシー移動。ここは例年と同じですね。車の窓越しの景色ではマスクを着用していない人はいませんでした。

 ホテルに到着してからも、驚いたことがありました。選手とスタッフ専用のホテルだと思っていたのですが、朝食会場では一般客も見かけました。大会関係者ではない宿泊者も少なくないようです。

 17日の朝にはホテルでPCR検査を受けましたが、そこでも軽い衝撃を受けました。検査場と控え室はしっかりとソーシャルディスタンスがとられていたのですが、その前段階の通路に選手とスタッフが密集状態。多くの場所ではチェック体制はしっかりしているのですが、いい加減な部分もあるなという印象です。

「バブル」の中で行われた全米オープンとの違いは?

 PCR検査はこれから週2回行われます。自分も陽介も日本でPCR検査を受けて、陰性と診断されています。今回のテスト結果は24時間以内に出ますが、そこで陰性と診断されたら、会場にアクセスできるクレデンシャルが発行されます。2度目の検査で陰性だった場合、試合に出場の許可が出るという流れになっています。

 大会側からの通知で状況は頻繁に変わります。現時点ではPCR検査のフィードバックが出たら、選手もスタッフも街に出ていいと言われました。フランスは新型コロナウイルスの陽性が現在も39万件と報じられています。この状況で、外に出ても大丈夫なのか、という不安は正直あります。

 と思っていたら、今部屋に大会側から手紙が届きました。ホテルからの外出は違反扱いになるそうです。ホッとしました。

 全米オープンとその直前の米国で開催されたツアーは「バブル」と呼ばれる完全隔離の空間を作った状態で行われました。クレデンシャルにGPSが装着されていて、濃厚接触者をトレースできるシステムになっていたそうですが、全仏はどうなるのでしょうか。現時点で感じるのは全米ほど防疫体制が徹底されていないなという印象です。

 陽介は今大会、予選からのエントリーになります。18日から公式練習が始まります。コロナ対策もしっかりしながら、試合の準備をキッチリと進めていきたいと思っています。(THE ANSWER編集部)