ヤクルトなど4球団で活躍した野口寿浩氏が解説■巨人 13-4 DeNA(3日・東京ドーム) DeNAが巨人に4-13で大敗し、4連敗となった。セットアッパーのスペンサー・パットン投手がオープナーとして来日初先発したが、2回途中9失点で降板。…

ヤクルトなど4球団で活躍した野口寿浩氏が解説

■巨人 13-4 DeNA(3日・東京ドーム)

 DeNAが巨人に4-13で大敗し、4連敗となった。セットアッパーのスペンサー・パットン投手がオープナーとして来日初先発したが、2回途中9失点で降板。序盤で巨人に早々と試合を決められた。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手として活躍し、18年までヤクルトで2年間、バッテリーコーチを務めた野球評論家の野口寿浩氏は「巨人打線はパットンに嫌なイメージを持っていたと思うが、これだけ打たれたら、今まであったメンタルのアドバンテージがなくなってしまう」と、今後への影響も口にした。

 ラミレス監督が先発に選んだのは、来日初先発のパットンだったが、この采配が完全に裏目に出た。1点を幸先よくリードしたが、初回1死から四球の後、亀井の中前打からピンチを招き、岡本に右前適時打を許し、同点に追いつかれると、丸の左翼への当たりを佐野が落球。その後も中島に中犠飛を許し、初回にあっさりと3点を奪われ、逆転された。

 目を覆いたくなるような大惨事はここから。2回1死から投手の田口を四球で歩かせた後、本塁打2本を含む5連打を献上。トータルでわずか4つのアウトしか取れないまま、ブルペン陣の救援を仰いだ。2回途中9失点。パットンの先発はマイナー時代以来の7年ぶりだったが、この日はボールが高めに浮き、本来の姿とはほど遠かった。

 パットンの先発起用について、野口氏は「上手くいっていればよかったんだろうが、結果論として完全に失敗」と言い切る。

 オープナーにするならば、2番手で投げた武藤も経験している。先発経験のある5番手で登板した国吉でもよかった。なぜ、セットアッパーとして力のある球を投げるパットンを初回に投げさせたのか、理解するのが難しいという。パットンが打たれたことで、今後、巨人打線に与える影響を危惧する。

「先に失点したくないから一番自信を持って出せる選手を選んだと思う。ただ、今まで巨人打線は、パットンが出てきたら嫌なセットアッパーだと思っていたはず。だが、これだけ打たれたら印象も変わる。そのメンタルのアドバンテージがなくなってしまうのではないか。今季、パットンは防御率もよくないし、単なる1敗ではなく、今後に尾を引きかねない」

 与える影響は大きい。さらにその後、起用したリリーフ陣の並びも疑問が残る。8月20日の広島戦、28日のヤクルト戦で先発で勝ちがついたピープルズを2日続けて、リリーフで起用した。

4番手に先発で結果を出していたピープルズを連日、中継ぎ起用

「こういう大差になって(4番手に)ピープルズを使うんだったら、せっかく先発で勝ち出したんだから、中5日で先発させて、4、5回を投げさせればよかったんじゃないかと思う。野手の中にも、この先発起用を疑問に思っていた選手はいるだろうし、モチベーションにもつながる。あの展開で野手に集中しろというのは無理。先発投手が序盤に13失点するのとは訳が違う」

 この日は、パットンの出来も悪かった。野口氏は、パットンが打たれ続けた理由について、こう解説する。

「今日の投球内容は今季ワーストくらいの出来。スピードガン表示は出ていたが、今日は全部真ん中の高めにいっていたし、キレがないから、普段ならそんなに簡単には打ち返せない高めの直球を打ち返されていた。巨人打線はいい打者が多いから、高めの球にキレがないとああなる。武藤も、あの場面で出ても止められる訳がなく、気の毒だ」

 この日は13連戦の3試合目。今季これまで、リリーフ陣でしのぐブルペンデーでは武藤と伊勢が登板していたが、この日は違った。野口氏は、パットンの先発起用とともに、先発がいない中で本来先発のピープルズを2日続けてリリーフで起用したことにも首をかしげた。

「今後、オースティンが復帰した際に抹消する候補がピープルズだから、抹消するまでに数多く投げさせたいという考えもあるようだが、先発がいない中でわざわざそんなことをする必要はない。本来の役割をやらせたらいいし、今はそういうことをやれるようなチーム状態ではない」

 DeNAは今季、首位巨人との対戦をまだ12試合残している。そしてゲーム差は8.5に広がったペナントレース後半戦。今後、パットンが本来のセットアッパーのポジションに戻った時に、この日の先発の影響が出てしまうようなら、チームとしてもこの日の負けは、単なる1敗ではなく、それ以上に大きな痛手となってきそうだ。(Full-Count編集部)