選手たちがコートで最大限に力を発揮するためには、多くの人の支えが必要となる。その中でも今回は女子部で学生トレーナーを務める谷内尾諒(スポ4=兵庫・国際)と吉澤唯(スポ4=東京・都立三田)にお話を伺った。例年と異なる状況に置かれた大学バレー…

 選手たちがコートで最大限に力を発揮するためには、多くの人の支えが必要となる。その中でも今回は女子部で学生トレーナーを務める谷内尾諒(スポ4=兵庫・国際)と吉澤唯(スポ4=東京・都立三田)にお話を伺った。例年と異なる状況に置かれた大学バレー最後の年、トレーナーお二方の思いとは。

※この取材は8月27日に行われたものです。

献身


ストレッチのサポートをする谷内尾

――お互いの紹介をお願いします

谷内尾 この方は吉澤唯さんです(笑)。スポーツ科学部の4年生で、東京都出身です。すごく優しくて、9人いる同期にいつも笑いを提供してくれます。唯ちゃんが中心にすべてが回っている感じで、同期の中で欠かせない存在です。学生トレーナーとしては、私の見ていない部分もしっかりカバーしてくれます。成績もすごく優秀で、文武両道の人です。

吉澤 諒も私と同じくスポーツ科学部です。神戸出身で、関西弁が今も抜けていないので、ほんわかしていて可愛いです。喋っているといつも優しい気持ちになれる人で、性格も温かくて、大きな心をもっています。1年生の時から一緒に学生トレーナーを一緒にやっているのですが、頭の回転が早くて私が思いつかないようなアイディアを出してくれるので、すごいなと思っています。

――普段の学生トレーナーとしての仕事内容は

谷内尾 4年生になって、学生トレーナーの中で統括する部門を二つに分けています。私が担当しているのが、ストレッチアンドコンディショニングという、よりウエイトトレーニングなどの普段のトレーニングに重きを置いたものです。パフォーマンスを上げるためには、練習だけでなくウエイトトレーニングやアジリティーという俊敏性を高めるトレーニングが必要です。男子部のトレーナーの方にも協力していただき、一緒に考えたものを皆に頑張ってもらっています。

吉澤 私が担当しているのはアスレチックトレーナー寄りの部分で、選手のケガの対処や身体のコンディションを整えることを担っています。主な仕事として挙げられるのは、ウォーミングアップやクールダウンのメニューを考えて指導することです。また、リハビリ中の選手が一人いるのですが、その進捗状況を確認しながら復帰に向けてサポートをしています。

――特に多い怪我はありますか

吉澤 今まで多かったのは膝の怪我です。手術を伴う怪我になると1年ほどコートを離れることになってしまいます。そういった選手も過去に何人かいましたし、膝の怪我は深刻なものにもなりがちです。

――普段の練習にはどのように関わっていますか

吉澤 基本的にトレーナーの仕事は、選手たちがトレーニングを行う際に責任をもって指導することです。そのためボールを使った練習などでは、一般的なマネージャーのようにボール渡しやボール拾いをして、練習が円滑に進むようにサポートしています。

――高校までの部活などは

谷内尾 高校時代はカヌー部のマネージャーをしていました。マネージャーという立場だと会計や選手のサポートというのはできるのですが、選手から痛いところがあると言われたときに対応できず歯がゆい思いをしました。その後早稲田大学にスポーツ科学部があることを知り、そういった環境で勉強したいと思いました。部活動に入ることを最初から決めていたわけではないのですが、高校時代の部活にやり残したことがあると感じていました。早大にはカヌー部がないのですが、バレーボールを中学生のころにやっており、そのトレーナーをやりたいという思いから今こうして学生トレーナーをやっています。

吉澤 高校時代もバレーボール部に所属しており、自分自身怪我をして何ヶ月かプレーすることができませんでした。それがきっかけで怪我やテーピングについて興味をもつようになりました。そのためスポーツ系の学部を目指すようになり、早大に合格することができました。バレー部では選手としてプレーするかサポートに回るか迷っていた時期もありましたが、どうせやるなら「バレーボールを支える」という今までと違った視点でやりたいと思い、サポート役として入部しました。

目標がブレることはなかった


トレーニングの指導を行う吉澤

――春リーグが開催されなかったことを受けて部内の雰囲気は

谷内尾 春リーグで一部昇格を決めることを目標に頑張っていたので、少し沈黙はしました。ですが自粛期間の中でたくさん話し合い、春リーグはなくなっても一部昇格や全勝優勝という目標がブレることはありませんでした。そのためそこまで雰囲気は悪くならず、縦や横の繋がりが深まるいい機会にもなりました。

吉澤 春リーグがなくなったときには皆きっとすごくショックだったのですが、今できることを全力でやろうという雰囲気がありました。自粛中にできることを考えて、私と諒を中心にzoomを用いたトレーニングを行うなどしました。結束力が弱まらないようにやってきたので、今はもう秋リーグに気持ちが向いています。

――コロナ禍の中で練習の様式に変化はありましたか

谷内尾 不要不急のハイタッチは避けるようにしています(笑)。また、トレーニングの器具などシェアして使うものは使う前と使った後に消毒しています。更衣室には手を洗って消毒してから入り、中で食事は取らないなど、「かからないぞ」という皆の気持ちで変わったことはあります。

――普段の4年生の雰囲気は

谷内尾 私が今まで通ってきた学校の中でも、「こんなに仲がいい集団ってあるんだ」と思うような学年です。練習で毎日一緒にいるのに、夏のオフなどに入っても同期に会いたくなります。週1のオフでも、9人で集まろうという企画を誰かが考えてくれます。毎年必ずクリスマスパーティーを開いてプレゼント回しをするなど、集まるのが好きで安心ができる雰囲気です。

吉澤 それぞれ個性はあるのですが、明るくて人のことを思いやることができる9人です。部活中も周りのことが見えていますし、意識せずに新入生に声をかけたりすることもできています。すごくいい人たちに巡り会えて良かったなと思っています。

――新入生の様子は

吉澤 8月になってやっと新入生が入ってきてくれて、だんだん慣れていっている様子ではあります。ただコロナウイルスの影響で一緒にご飯など行けていないので、もっと仲良くなりたいと思っています。

――秋リーグにかける思いは

吉澤 今年は上半期の大会が全てなくなってしまったので、秋リーグにかける思いは例年以上に強いです。私にとっても最後のリーグ戦になるので、やれることを最大限やりたいです。怪我人を一人も出さないという目標のもと、選手のケアに努めながら勝利に向かって頑張ります。

谷内尾 4年生として迎える秋リーグは、自分たちの学年でできる最初で最後の公式戦になるかもしれないので、4年間やってきたことや思いをしっかりぶつけたいです。トレーニングもそうですし、チームの雰囲気を良くする役割というのも頑張っていきます。

――ありがとうございました!

(取材・編集 平林幹太)


◆谷内尾諒(やちお・りょう)(※写真左)

1998(平10)年7月29日生まれ。兵庫・国際高校出身。スポーツ科学部4年。プロ野球の日本ハムファンだという谷内尾さん。好きな選手は多くいるとのことですが、特に渡邉諒選手は名前が同じということもあり思い入れがあるそうです!

◆吉澤唯(よしざわ・ゆい)

1998(平10)年10月3日生まれ。東京・都立三田高校出身。スポーツ科学部4年。自粛期間中に家にいることが多く、ジャニーズにハマったそうです。特にSnow Manはファンクラブにも加入済み!