「全米オープン」1回戦のコート入場時に、黒人銃撃事件・人種差別に抗議するマスクを着用したことでも話題となった大坂なおみ(日本/日清食品)。スポーツであるテニスのグランドスラム大会で社会的メッセ…

「全米オープン」1回戦のコート入場時に、黒人銃撃事件・人種差別に抗議するマスクを着用したことでも話題となった大坂なおみ(日本/日清食品)。スポーツであるテニスのグランドスラム大会で社会的メッセージを表現する行為は、大会ルール上どうなっているのか。【実際の動画】大坂なおみ、マスクで人種差別に抗議【トーナメント表】全米OP女子シングルス

実は通常のグランドスラム大会では、その行動規範規則により社会的メッセージを身に着けることは許されていない。だが、今回の「全米オープン」に限っては許されている。

伊ニュースサイトUBI Tennisによると、その理由は今回の「全米オープン」で行われている「Be Open」キャンペーンに則ったものだから。

「USTA(全米テニス協会)は人種間の平等を推進することに取り組んでいます。テニスは人種、性別や性的指向、その他一切に関わらず誰もが参加し、楽しめるスポーツでなければなりません。そして今の時代に、アスリートも自身の信条をコート上でも表現できる機会を与えられるべきだと考えました」と、USTAは大会が始まる前から声明を出している。

これにより選手たちは、それぞれの擁する社会の平等に関する信条を表すエンブレムやロゴ、シンボルなどを身に着けることができる。試合前のインタビューやコートへの入場の際に身に着けるロゴなどには大きさの制限はないが、試合中に身に着けるものに関しては一定の制限がある。

「“Black Lives Matter”がこのことのきっかけになりましたが、ある信条だけの表現を許可するのでは表現の自由にはなりません。ですから、選手たちは他のどのような社会の平等に関するメッセージでも、表現することが許可されます」との通り、他にも「ゲイ・プライド」や「性差別反対」といったメッセージも許可されている。

ただし、反トランプや「Make America Great Again」といった政治的メッセージやヘイトスピーチ、その他テニスにとって最善の利益ではないと判断されるものについては許可されない。

現時点でこのルールは今年のみ適用されることになっているが、将来的には変わる可能性があると同メディアは指摘している。

大坂は1回戦勝利後のインタビューで「この大会では(決勝までの7試合のための)7種類のマスクを用意しています」とコメント。2回戦以降もマスクで抗議のメッセージを表現するとみられる。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「全米オープン」での大坂なおみ

(Photo by Matthew Stockman/Getty Images)