宮司愛海連載:『Manami Memo』 第15回連載1回目からはこちら>>フジテレビの人気スポーツニュース番組『S-PARK』とweb Sportivaのコラボ企画として始まった宮司愛海アナの連載『Manami Memo』。第15回は、長…
宮司愛海連載:『Manami Memo』 第15回
連載1回目からはこちら>>
フジテレビの人気スポーツニュース番組『S-PARK』とweb Sportivaのコラボ企画として始まった宮司愛海アナの連載『Manami Memo』。第15回は、長年フジテレビのゴルフ中継に携わり、宮司アナにとって大先輩にあたる竹下陽平アナとの「ゴルフ対談」。
先日、国内ツアー2戦目が行なわれた女子ゴルフや、待望の国内男子ツアー初戦となるフジサンケイクラシック(9月3日~6日/富士桜カントリー倶楽部)の見どころ(後編)などで話は盛り上がった。
大先輩との対談にちょっぴり緊張していたように見えた宮司愛海アナ
宮司 竹下さんとゴルフの話をするのは、意外ですが初めてですね。いつ頃からゴルフ中継を担当されているんですか?
竹下 入社して3年目くらいかな。1999年からゴルフ中継班です。
宮司 当時活躍していた選手というと?
竹下 宮里藍さんがちょうど(アマチュアでプロツアーに)出始めた頃。2000年のフジサンケイクラシックで、尾崎健夫選手に優勝インタビューしたのを覚えていますね。ジェット尾崎さん、宮司は知ってる?
宮司 ジャンボ尾崎(尾崎将司)さんはわかります。
竹下 「尾崎三兄弟」と呼ばれる、次男が健夫さん。ジャンボさんが長男で、三男が直道さん。彼らがまだ、レギュラーツアーでバリバリの頃から(ゴルフ中継の)担当しています。
宮司 相当長いですね。
竹下 取材歴は20年以上になります。
宮司 竹下さんはスポーツアナウンサーとして、大変尊敬している方なのですが、日頃から本当に気さくでコミカルで、人を楽しませる力を持っている先輩。フジテレビアナウンス室で、唯一無二の存在です。
竹下 僕から見た宮司は、スポーツキャスターとして模範になるアナウンサーだね。
宮司 おー、うれしい!
竹下 ちょっと持ち上げすぎたかな(笑)。でも、本当に取材の労力を厭(いと)わないよね。だから、報道をやっても一流になると思う。スポーツ番組で実際に放送されている話って、取材したネタのほんのひと握りだけど、ひと握りのネタを集めるために、その10倍、100倍の取材をしなきゃいけない。アナウンサーは出役なのに、テレビに映らない仕事を嫌がらないところが鏡だなと思います。
宮司 ありがとうございます。でも、それは、先輩たちの仕事ぶりを見て、自分もそうあるべきだ、って感じているからですよ。
竹下 そんなの教えたことないけど(笑)。
宮司 ちゃんと背中は見ています。(番組で使われるのは)ひと握りであっても、何かあったときに出せるものを持っていることが、やはり仕事の自信につながるわけですから。それは先輩方から学んだことです。
竹下 言われてやるんじゃなくて、自分で必要だと思ってやっているところがすごいよ。
宮司 さて、私が大尊敬する竹下さんの印象的なお仕事といえば、宮里藍さんのインタビューです(笑)。
竹下 サントリーレディスのね......(苦笑)。
(編集部注:2017年6月、宮里藍選手が同シーズン限りでの現役引退を発表したあと、国内最後の出場大会となったサントリーレディスにおいて、4日間の戦いを終えてのインタビューで、竹下アナが質問の途中で感極まって涙し、宮里藍選手も「せっかく我慢してたのに」ともらい泣き)
宮司 思いが込み上げてきたんですよね。
竹下 当時、宮里藍選手は夢を抱いてアメリカに渡って、世界一になるなどすばらしい活躍を見せてくれましたが、その一方で、ドライバーショットに苦しんだりしていて。苦悩する姿も見てきましたからね。
そして、あのサントリーレディスの最終日18番では、宮里藍選手がティーショットをドライバーでフェアウェーのど真ん中に打ってきたんですよ。そのショットが、「日本のファンのみなさん、苦境を乗り越えた私のショット、どうですか?」みたいな感じに見えて......。もうその時から、ちょっと感極まっていました(笑)。オジさんになると、涙もろくなるんだよ。
宮司 それが、スポーツ取材のいいところですよね。選手の人生をずっと見て追えるって。
竹下 僕は、宮里藍さんが中学生のとき、初めてプロツアーの試合で予選を通過したときのインタビューもやっているんです。
宮司 本当に最初から見ているんですね。
竹下 プロで初めて予選を通過して、それが当時の史上最年少記録で。僕は中学生にインタビューをするということで、ものすごく目線を下げて子どもに話しかける感じで、「予選通過、おめでとう」って言ったら、「はい、ありがとうございます」って。対応の仕方は、今の宮里藍さんと変わらなかったんですよ。「ここのショットがこうだったんですけど、なんとか予選通過できてうれしいです」みたいな。
宮司 あれっ?って、意表をつかれてしまいますね(笑)。
竹下 「こんなに大勢のギャラリーのなかでプレーする気分はどうでしたか?」と聞いても、「沖縄でもこれくらいのギャラリーのなかでプレーしていましたから、それほど気にならなかったです」って。
当時中学生の宮里藍さんに、僕はギャフンと言わされて......。宮里藍さんとはそれ以来、ずっとその奮闘ぶりを追いかけさせてもらって、最後の引退会見でも代表質問をさせていただきました。
宮司 ゴルフは、スポーツ担当になった3年前から取材をしていますが、渋野日向子選手が昨年、AIG全英女子オープンで優勝してからは、渋野選手が出場する試合には、度々取材に行かせてもらっています。全英女子オープンを勝ったあと、帰国2戦目のNEC軽井沢72にも行きました。
竹下 昨年、渋野選手は優勝争い(3位タイ)したからね。
宮司 そうですよね。そのNEC軽井沢72が先日、今季の国内女子ツアー第2戦として開催されました。コロナ禍のなか、竹下さんは現場に行かれて、どんなところに例年との違いを感じましたか?
竹下 空気感は全然違いましたね。
宮司
ギャラリーがいないですしね。
竹下 この大会は特に、お盆の時期の軽井沢でやるので、(例年なら)ものすごくギャラリーが多くてザワザワしているのに、それがない。今年、優勝争いを演じた有村智恵選手(4位)にインタビューした時も、「どれだけバーディーを取ってもギャラリーの拍手がないので、ちょっとノッていきづらいところがあった」と話されていました。
宮司 ギャラリーがいることで、いい緊張感が生まれることもありますよね。
竹下 やっぱり、プロスポーツは見る人がいてこそなんだなって、今の時期、改めて感じています。
宮司 今回、NEC軽井沢72を中継するにあたっては、制作スタッフ全員がPCR検査を受けたと聞きました。
竹下 中継スタッフに限らず、現場に入る関係者全員が受けているので、安心感はありました。でもね......、ちょっと話が逸(そ)れるかもしれないけれど、出張先では、仕事が終わったあとに、みんなでご飯を食べに行くこともあるじゃない?
宮司 ありますね。
竹下 それができないんですよ。試合後はそれぞれがお弁当を渡されて、ホテルの部屋で夕食。
宮司 しかも、ひとりで(苦笑)。
竹下 ホテルはひとり一部屋だからね。
宮司 スポーツ中継の現場だと、みんなで食事して、その場で総括したことが次の日や次の大会につながったりするわけじゃないですか? 実はそういう場とコミュニケーションが意外と大事だなと感じることもあるんですが......。でも、今年はコロナウイルス感染症対策が第一ですから。
竹下 「今日はあそこがよかったよ」とか、「あそこはこうしたほうがよかったな」とか。みんなで会話をして、ブラッシュアップする場がないことは残念だったけど、今は仕方ないと思うよ。
あと、NEC軽井沢72の場合は、出場選手に対しても、プラス一人しか入れなかったので、ガラーンとしていましたね。クラブメーカーの人とか、マネジャーとか、それこそ選手の家族とかも入れないので。
宮司 7月に石川遼選手、渋野選手がスペシャルチャリティマッチを行なっていましたが、その際も、選手自らがバッグを担いでいましたね。
竹下 ある意味、新鮮だよね。プロの人もそう感じていると思います。
宮司 ところで、今回のNEC軽井沢72では、ニューヒロインが誕生しましたね。笹生優花(さそう・ゆうか)選手。先日行なわれたニトリレディスでも優勝しました。
竹下 スゴかったね。彼女はもう、"女性版タイガー・ウッズ"だよ。
宮司
へ~っ。
竹下 軽井沢の最終日は赤いウェアと黒のパンツだったんだけど、その理由は「本当は青(のウエア)にしようと思ったけど、クリーニングが間に合わなかったから」だって。
宮司 可愛らしい(笑)。
竹下 偶然、赤と黒だったので、他のプロにもスタート前に「タイガー・ウッズみたいだね」って言われていたらしい。僕も「タイガーに見えましたよ」って言ったら、「今後、赤をラッキーカラーにするかもしれません」って。でも、圧倒的な飛距離といい、パットのうまさといい、まさにタイガー。しかも、2001年生まれだよ。
宮司 それは、ミレニアム世代になるんですか?
竹下 2000年度生まれがミレニアム世代って言われているから、さらにその下の世代だよね。黄金世代(1998年度生まれ)や、ミレニアムとかプラチナとか言われている世代(2000年度生まれ)が話題になっているけど、もうその次の世代が、21世紀に入って生まれた選手が勝っちゃったんです。
宮司 本当に若い選手がどんどん出てきますね。笹生選手と同じジャンボ尾崎さんの門下生でいうと、NEC軽井沢72で5位になった西郷真央選手もすごかったですね。去年は渋野選手が全英女子オープンに勝って、女子プロゴルフ人気がドカーンと来た感じがありましたが、さらに下の世代からも注目選手が出てきて、ますます目が離せませんね。
竹下 長くゴルフ取材をしてきたけれども、こうした状況はなかったね。有望な若手が次々に登場して、実際にそれら多くの選手が結果を出していくことって。例えば、勝みなみ選手がアマチュア時代にプロツアー(2014年KKT杯バンテリンレディス)で最年少優勝(15歳293日)を飾ったけど、あの快挙もひとつのきっかけだったんじゃないかな。彼女が優勝したことで、それまで同じカテゴリーで戦っていた他の選手たちがみんな、「彼女が勝てるなら、自分も」という強い意識を持ってプロになっていった。だから、すぐに活躍できるのだと思います。
宮司 なるほど。
竹下 これからは、海外のメジャートーナメントで勝つ日本人女子選手が、結構出てくると思います。それくらい、もう海外メジャーは憧れの舞台じゃなくて、戦って優勝争いをする舞台に変わってきている。それは、すごいことだと思います。
宮司 かなり目線が上がってきているんですね。
竹下 それは間違いない。NEC軽井沢72で、最終日最終組で回っていた西郷選手と後藤未有選手って、昨年の日本女子アマチュア選手権の1位と2位。そんなふたりが、プロのトーナメント2戦目で最終組に入っちゃう。プロ入りしたばかりの若手選手であっても、「私もできる!」って気持ちで、誰もが戦っていると思います。
宮司 笹生選手も「アメリカツアーで優勝して、世界一になりたい」って言っていました。若い選手はみんな、海外へ目を向けていますね。
竹下 それは、元をたどれば、宮里藍さんなんですよ。宮里さんがアメリカへ行って、世界ランキング1位になったのを見てきているので、「私も続いていく!」っていう気持ちになるんだと思います。
宮司 日本の女子ゴルフ界は、本当にすごい時代になりましたね。
(つづく)
PROFILE
宮司愛海(みやじ・まなみ)
91年7月29日生まれ。2015年フジテレビ入社。
福岡県出身。血液型:0型。
スポーツニュース番組『S-PARK』のメインキャスター。
スタジオ内での番組進行だけでなく、現場に出てさまざまな競技にふれ、
多くのアスリートに話を聞くなど取材者としても積極的に活動。
竹下陽平(たけした・ようへい)
73年5月11日生まれ。1996年フジテレビ入社。
東京都出身。血液型:A型。
ゴルフ番組だけではなく、F1、バレーボール、陸上など
数多くのスポーツ現場に取材し、多くのアスリートに話を
聞くなど取材者としても積極的に活動。
★『S-PARK』のTwitterはこちら>>
★『S-PARK』のInstagramはこちら>>
★宮司愛海アナのInstagramはこちら>>