5歳から柔道を学び、プロの総合格闘家としても活躍した大山峻護さん。現在は、楽しみながら心と体を同時に鍛える「ファイトネス」というプログラムで、教育機関・企業への研修、講演活動やトレーニング指導などを行なっています。キャリアから連想すると、…

 5歳から柔道を学び、プロの総合格闘家としても活躍した大山峻護さん。現在は、楽しみながら心と体を同時に鍛える「ファイトネス」というプログラムで、教育機関・企業への研修、講演活動やトレーニング指導などを行なっています。キャリアから連想すると、精神的にも肉体的にも強く逞しい男性という印象ですが、実は、気が小さくて人見知りという性格で、緊張から試合に勝てない時期もあったそう。大山さんは、どのようにマインドを変えて強くなり、柔道家・総合格闘家として戦ってきたのか。現役を引退してから現在に至るまで、どのように苦悩を乗り越えチャンスを掴んできたのか、お話を伺いました。


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人生を変えた憧れの人物からの一言


Q :どのようにして、心と体を鍛える「ファイトネス」という考えが生まれたのですか?

大山:僕は、小さい頃から気が小さくて人見知りで、コミュニケーション能力も低かった。お母さんがいないと不安になっちゃうような子でした(笑)。5歳から柔道を習っていましたが、結果が出ないこともあって…。漠然とですが、心の弱さに原因があると感じていました。だから、学生の時からメンタルトレーニングの本を読んだり講演を聞きに行ったりして、得た知識を実践する、その繰り返しでしたね。格闘家になってからも、試合前に緊張で体が強張ってしまうことはよくありました。気持ち、心の弱さですね…。でも、ある人からの言葉に救われ、僕の人生が変わりました。中学時代の同級生であり、柔道家としても人間としても尊敬した小斎武志の言葉です。32歳という若さで亡くなったのですが、いつも僕を支えてくれました。ある試合前の控室で、緊張している僕の姿を見た小斎が、「顔を上げろ。下を向いていると心がオフになる。上を向けば心がオンになる。」と声をかけてくれたんです。心と体が繋がっていることは何となく理解していたつもりですが、「あっ!そういうことか」と、スッと腑に落ちたと瞬間でしたね。下を向いていると姿勢も丸くなり呼吸も浅くなって、どんどんと沈んでしまう…上を向けば自然と胸は開いて、呼吸もラクになって。まさに、体の状態を変えれば心が変わる、の実体験です。僕の活動の原点には、小斎からの言葉があり、今でも彼に支えられています。


Q :ファイトネスを教育機関や企業向けに行なうようになったきっかけは?

大山:現役時代から、楽しみながら心と体を同時に鍛える「ファイトネス」という格闘技スクールを、同じく格闘家・吉田善行選手と一緒に運営していました。当時は、楽しむという視点で、格闘技を学べる場所がなかったんですよね。2014年に40歳で現役を引退。これからの人生はまだまだ長い、どうやって生きて行こうと迷っていた時、とにかく、いろんな人に話を聞きに行きました。そして、たくさんのヒントをもらったんです。2015年、厚生労働省が企業に対して、ストレスチェックを義務化するという話を聞き、ファイトネスを企業向けに実施してみたらどうだろう…と思い、営業を始めました。もともとファイトネスは、楽しみながら体を動かし、笑顔で気持ちいい汗を流す、楽しみながら心と体を同時に鍛えるプログラムなので、メンタルヘルスケア、ストレス緩和にも効果があるはず!と。しかし…最初は、本当に大変でしたね。社長さんや人事担当者は興味を持ってくれたとしても、実際に参加する社員さんからは「何なんだ?」という冷たい視線。完全にアウェー(汗)。でも、体の状態が変われば心も変わるということを確信していたので、自信を持って挑むだけでした。最初は、不信感でいっぱいだった参加者の表情がどんどん明るくなって、笑顔になって、まわりの人とコミュニケーション取るようになって、最後はもうお祭り状態(笑)。研修を通して、体を動かせば心が変わることを体感してもらえたんだと思います。始めた頃は、健康の維持・増進やストレス緩和を目的とすることが多かったのですが、今では、チームビルディング研修として声をかけていただくことも増え、100社以上で研修させていただきました。

心が強くなるストレッチ。体を動かせば心も変わる


Q :ストレッチを科学的に証明してみようと、なぜ思ったのですか?

大山:もっとたくさんの方に「ファイトネス」を知ってほしい。体を動かせば心も変わることを伝える手段として、本を出したいと考えるようになりました。書籍化するためには、アスリート時代の経験、研修や講演での参加者の変化、体感だけでなく、エビデンスが欲しかった。客観的なデータ、根拠があれば、もっと説得力が強くなると思ったんです。心と体の関係について研究されていて、「科学的に元気になる方法集めました(文響社)」の著者、明治大学法学部教授の堀田秀吾先生とのご縁もあって、モニタリングや海外の研究データを参考にしながら、「科学的に証明された『心が強くなるストレッチ』」を、出版することができました。ほんのわずかな時間、体を動かすだけで、心が変わるストレッチを目的別に紹介しています。

Q :体を動かすと言えば筋トレもブーム。筋トレではなくストレッチを選んだ理由は?

大山:筋トレも、すごく良いです。皆さんに、おすすめしたいです。続けることで筋肉がついて、基礎代謝があがり元気になりますし、最高のアンチエイジング方法だと思っています。でも、変化を感じるには少し時間がかかります。一方、心のストレッチは、体を動かして瞬間的に心に変化を与えるというものです。やる気のスイッチを入れたい時、沈んだ気持ちを切り替えたい時、集中したい時、今すぐ心を切り替えたい時など、ほんのわずかな時間、体を動かすことで、今の心を変えることができるのです。」

幸せのパワースポットになる


Q :コロナ渦、不調を訴える人が増えていますね。

大山:先が見えない不安、何となくの恐怖感。大きく変わった生活や仕事環境…。とにかく、たくさんのストレスを抱え、無意識のうちに体に力が入って緊張しているんだと思います。体の状態が心に影響を与え、体調を崩してしまっているんですね。今こそ、ふとした時間に体を動かしてほしい。体を動かせば心も変わります。心が変われば不調も改善するはずです。
僕は、今の連続が未来へ繋がっていると思っています。未来について語るだけでは、未来は輝きません。未来のハッピーのためには、今をどう過ごすか。チャンスを掴むためには、体を動かして心を強くすることがとても大切だと考えています。そして、幸せは伝播して、幸せな人のまわりに幸せが集まると言われていますので、自分がパワースポットになって、幸せを届けていきたいと思っています(笑)。」

 皆さん、心を強くするために体を動かしてみましょう。

 ほんの数秒、数回のストレッチで、未来を変えられるかもしれません。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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大山峻護(おおやま・しゅんご)

5歳で柔道を始め、全日本学生体重別選手権準優勝、世界学生選手権出場、全日本実業団個人選手権優勝という実績を持つ。2001年、プロの総合格闘家としてデビュー。同年、PRIDEに、2004年にはK-1・HIERO‘Sにも参戦。2012年ロードFC初代ミドル級王座獲得。現在は、企業や学校を訪問し、トレーニング指導や講演活動を行なっています。

大山峻護さんInstagram
https://www.instagram.com/shungooyama/
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