すでに16か国でプレーの笹生優花、大切なのは「自分がどのプレーをしたいか」 女子ゴルフの今季国内ツアー3戦目のニトリレディス最終日が30日、北海道・小樽CC(6695ヤード、パー72)にて無観客で行われた。単独首位で出たツアー通算1勝の19…

すでに16か国でプレーの笹生優花、大切なのは「自分がどのプレーをしたいか」

 女子ゴルフの今季国内ツアー3戦目のニトリレディス最終日が30日、北海道・小樽CC(6695ヤード、パー72)にて無観客で行われた。単独首位で出たツアー通算1勝の19歳新人・笹生優花(ICTSI)が通算13アンダーで2戦連続優勝。1打差の2位で出た小祝さくら(ニトリ)との白熱した優勝争いを2打差で制し、10代では宮里藍、畑岡奈紗に次ぐ史上3人目の快挙を達成。強さの裏には、19歳にして経験豊富なメンタルと確かな技術があった。

 経験値が高かった。悪天候で2時間半遅れのスタート。遅延が決まる前の午前7時過ぎに会場入りしてしまったが、「ぶらぶらしてました」と首位の重圧を感じることもなかったという。ラウンドは、前半から首位が入れ替わる展開。2番のダブルボギーで小祝に一時首位を譲ったが「ゴルフなのでダボもある。悩むこともないので、次のホールで頑張ろうと思いました」とすぐに切り替えた。

 10アンダーで並んだ4番では、小祝が先にロングパットを沈めてバーディー。しかし、笹生も直後に5メートルのバーディーパットを入れて食い下がった。並みの選手なら焦ってしまいそうな場面。だが、笹生は「先に入れられると、『自分も入れなくちゃ』という気持ちにもなる。でも、それを意識するとパットは入らない。自分のやるべきことに集中する方がパットは入る確率が上がる」と説明。わかっていてもできないような気持ちのコントロールをしっかりとできているようだ。

 さらに強さを見せつけたのは、1打リードで迎えた後半12番パー3。第1打をグリーン手前のラフに落としたが、残り19ヤードからチップインバーディーとした。ピンチでスコアを伸ばし、逆に2打差に突き放す展開。「練習しといてよかった」。この場面の距離とライ(地面の状況)は、大会コースを想定し、今週は練習場で重点的に取り組んでいたものだったという。

とんでもない19歳、話せる言語は“5か国”

“女ウッズ”の異名がつくなど力強いスイングや技術に加え、メンタル面でも経験豊富な19歳。強さの裏には、すでに世界で戦ってきた背景がある。5歳から日本で暮らし、フィリピンに戻った8歳から父の影響でゴルフを始めた。日本と比べて練習費用も低く抑えられる環境で努力を積み、すでに世界16か国の大会でプレー。今大会は雨風で苦戦する選手が多かったが、笹生は海沿いの難しい地形をしたリンクスコースも経験してきた。

「イギリスやオーストラリア、ニュージーランドにも行ったことがあるので、風が強いコースは経験しています。オーストラリアはリンクスっぽいコースもあって、ジュニアの時にやっている。イギリスもアマチュアの時に回りました」

 開幕から5位、優勝、優勝と大躍進。優勝争いは緊張しないわけでないというが「体が固まるので、感覚を信じてやっています」と確かな技術に自信も持って打つ。この日のデッドヒートにも「相手を意識するのではなく、自分がどのプレーをしたいか、どのスコアであがりたいかに集中している。毎ホール、バーディーを獲りに行ってます。でも、獲れない時もあるじゃないですか。そういう時は『この時はパーでいい』『ボギーでいい』というふうに考えます」と明かした。

 将来の夢は「世界一」と語る新星。まだ開幕したばかりだが、今季3戦2勝で圧倒的な力を見せている。すでに日本語、英語、フィリピン語に加え「韓国語、タイ語も。この2つはほんの少しです」と語学も堪能だ。とんでもない19歳が現れた。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)