男子ツアーのシーズン最終戦「バークレイズATPワールドツアー・ファイナルズ」(賞金総額750万ドル)がイギリス・ロンドンのO2アリーナで開幕。シングルスのラウンドロビン(2グループに分かれての総当たり戦)は、イワン・レンドル・グループの…

 男子ツアーのシーズン最終戦「バークレイズATPワールドツアー・ファイナルズ」(賞金総額750万ドル)がイギリス・ロンドンのO2アリーナで開幕。シングルスのラウンドロビン(2グループに分かれての総当たり戦)は、イワン・レンドル・グループのノバク・ジョコビッチ(セルビア)とドミニク・ティーム(オーストリア)によって戦いの火蓋が切られた。

 対照的な両選手だ。ジョコビッチは大会4連覇中で、2008年の初優勝以来、5度栄冠を掲げている。今大会では、ロジャー・フェデラー(スイス)と並ぶ史上最多6度目のタイトルと、今年の最終ランキング1位の座を狙う。

 一方のティームはガエル・モンフィス(フランス)とともに初出場。今季、ツアー4勝を挙げ、全仏で4強入りするなど飛躍のシーズンを過ごし、8人のエリートに初めて名を連ねた。

 対戦成績はジョコビッチの3戦3勝。3試合はいずれもストレートで決着した。

 これまで歯が立たなかったティームだが、4度目の対戦で初めてセットを奪った。第1セットは両者譲らず6-6。タイブレークはティームが優位に進めたが、最後にもたつき、7度目のセットポイントでようやく押しきった。

 しかし、第2セット以降はジョコビッチが本来の姿を取り戻した。冒頭のゲームでブレークに成功、たちまちリードを広げた。

 「第1セットは落としたが、悪いプレーをしていたわけではないと感じていた。彼のプレーの質が高かったんだ。第2セット序盤の数ゲームが鍵になると思っていたが、最初のゲームでブレークできた。そこからは気分よく打てるようになった」とジョコビッチ。

 厳しいコースを狙ったボールがすべてラインの内側に収まる。ジョコビッチは第1セットで15本のアンフォーストエラーをおかしたが、第2セットはわずか6本。深いボールを相手のバックハンドに送り、ティームの武器であるダイナミックな片手打ちバックハンドを機能させなかった。

 地力の差を見せつけられたティームは「第2セット以降、少しだけエネルギーが落ちたように感じた。そんな状態になれば、ノバクのような選手はたちまち調子を上げてくる」と悔やんだ。

 序盤の勢いが衰えたティームからジョコビッチが2セットを連取し、逆転勝ち。ATPファイナルズ・ラウンドロビン初戦は9連勝となった。

 第1セットと第2セット以降、どちらが本当のジョコビッチか。しばらく調子を落としていただけに楽観は許さないが、第2セット以降のショットの精度、躍動感は、先のマスターズ・パリ大会では見られないものだった。

 11月7日付けランキングで、1位のアンディ・マレー(イギリス)と2位のジョコビッチのポイント差は405ポイント。しかし、マレーは今年の最終ランキングが決まる今月28日に昨年のデビスカップ・ワールドグループ決勝で得た275ポイントが失われるため、実質的には130ポイント差しかない。

 マレーが優勝すれば文句なしで1位だが、ジョコビッチがラウンドロビンで2勝以上した上で優勝すれば、自力で最終ランキング1位の座を奪うことができる。

(テニスマガジン/ライター◎秋山英宏)

【13日試合予定】※現地時間

第1試合 ○ボブ・ブライアン/マイク・ブライアン(アメリカ)7-6(3) 6-0 ●イバン・ドディグ/マルセロ・メロ(クロアチア/ブラジル)

第2試合 ○ノバク・ジョコビッチ(セルビア)6-7(10) 6-0 6-2 ●ドミニク・ティーム(オーストリア)

第3試合(18時以降)ジェイミー・マレー/ブルーノ・ソアレス(イギリス/ブラジル)vs トリート・ヒューイ/マックス・ミルニー(フィリピン/ベラルーシ)

第4試合(20時以降)ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)vs ガエル・モンフィス(フランス)

【14日試合予定】

第1試合(12時開始)ピエール ユーグ・エルベール/ニコラ・マウ(フランス)vs レイブン・クラーセン/ラジーブ・ラム(南アフリカ/アメリカ)

第2試合(14時以降)スタン・ワウリンカ(スイス)vs 錦織圭(日本)

第3試合(18時以降)フェリシアーノ・ロペス/マルク・ロペス(スペイン)vs ヘンリー・コンティネン/ジョン・ピアース(フィンランド/オーストラリア)

第4試合(20時以降)アンディ・マレー(イギリス)vs マリン・チリッチ(クロアチア)