8月末から開催される「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月31日~9月13日/ハードコート)では、グランドスラム大会では初めて、選手たちは「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」「ゲイ・プライド」といった社会の平等…

8月末から開催される「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月31日~9月13日/ハードコート)では、グランドスラム大会では初めて、選手たちは「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」「ゲイ・プライド」といった社会の平等に関するメッセージを身に着けることが許される。伊ニュースサイトUBI Tennisが報じた。【動画】全米オープン前哨戦の初日の様子テニスのグランドスラム大会、「全豪オープン」「全仏オープン」「ウィンブルドン」「全米オープン」では、その行動規範規則により従来社会的メッセージを身に着けることは許されていないが、今回の「全米オープン」では許可されることが明らかになった。これは今回の「全米オープン」で行われている「Be Open」キャンペーンに則ったものだ。

これにより選手たちは、それぞれの擁する社会の平等に関する信条を表すエンブレムやロゴ、シンボルなどを身に着けることができる。試合前のインタビューやコートへの入場の際に身に着けるロゴなどには大きさの制限はないが、試合中に身に着けるものに関しては一定の制限がある。

これは世界中に広がった「Black Lives Matter」の運動の影響だ。アフリカ系アメリカ人であるジョージ・フロイド氏が逮捕された際に警察の暴力により亡くなった事件をきっかけに、世界中の人々が人種間の平等を求めてこの運動に参加した。だがUSTA(全米テニス協会)は、それ以外の平等に関する信条、「ゲイ・プライド」や「性差別反対」なども身に着けることを許可すると発表。

昨年「全米オープン」は、LGBTQのアスリートやファンをサポートする「Open Night」を開催している。今回、USTAは以下のような声明を発表した。

「USTAは人種間の平等を推進することに取り組んでいます。テニスは人種、性別や性的指向、その他一切に関わらず誰もが参加し、楽しめるスポーツでなければなりません。そして今の時代に、アスリートも自身の信条をコート上でも表現できる機会を与えられるべきだと考えました」

「“Black Lives Matter”がこのことのきっかけになりましたが、ある信条だけの表現を許可するのでは表現の自由にはなりません。ですから、選手たちは他のどのような社会の平等に関するメッセージでも、表現することが許可されます」

「全米オープン」同様、前哨戦となる「ウェスタン&サザンオープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月22日~28日/ハードコート)でもメッセージの着用が許可される。「ウェスタン&サザンオープン」に関しては、選手たちはATP(男子プロテニス協会)/WTA(女子プロテニス協会)の認可を受ける必要があり、「全米オープン」に関してはグランドスラム評議会の認可が必要。政治的キャンペーンや、ヘイトスピーチなどは許可されない。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2016年「全米オープン」の旗

(Photo by Mike Hewitt/Getty Images)