13人が日本代表デビューを果たした、秩父宮でのアルゼンチン戦から一週間。2016年秋のテストシリーズ第2戦が、ジョージア(世界ランキングは日本の1つ上の11位)を相手に、トビリシのミヘイル メスキスタジアムで22,000人の観衆を前におこ…

 13人が日本代表デビューを果たした、秩父宮でのアルゼンチン戦から一週間。2016年秋のテストシリーズ第2戦が、ジョージア(世界ランキングは日本の1つ上の11位)を相手に、トビリシのミヘイル メスキスタジアムで22,000人の観衆を前におこなわれた。スクラムなどのセットプレーと強力なFWを全面に押し出したジョージア代表を相手に、日本代表は強みであるBKへの素早い展開で応戦し、28-22と接戦をものにした。

 日本代表指揮官としての初勝利を手にする事となったジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、「日本とジョージアは対照的なスタイルのゲームをプレーするチーム。ジョージアのミスに救われた点もあるが、先週の試合からの課題だったディフェンスが改善されてたのは勝因のひとつ。スクラムではプレッシャーを受け、反則も多かったが、何とか接戦をものにすることができた」と試合を振り返った。

 試合のポイントのひとつと見られていたスクラムでは、ファーストスクラムから劣勢の日本がペナルティを献上。その後も、ジョージアはドライビングモールで終始プレッシャーを掛け続ける。対する日本は、ボールを持てばスペースを使った展開で試合をコントロールする。前半9分には、FB松島幸太朗が自らのキックをチェイス、これをWTBカーン・ヘスケスが拾い、フォローした松島に再び渡り、先制トライを決める。

 ジョージアも徐々にオープンプレーを織り交ぜ、外側で接点を作る展開となるが、ハンドリングエラーも多く、パターンもやや単調で、日本も好守を見せ決定的なチャンスを与えない。この日のジョージアは終始ハンドリングエラーが目立つ内容となり、試合後のミルトン・ヘイグ ヘッドコーチは「これだけミスを重ねていてはテストマッチは勝てない。ハンドリングの精度は、この先もっと改善していかなければならない」とのコメントを残している。

 しかしながら、セットプレーと密集近辺でのプレーはジョージアのお家芸。26分には、密集でのプレーでイエローカードの反則を犯したLO梶川喬介を欠き、7人のFWとなった日本をラインアウトからのモールで押し込み、トライを奪う。ジョージアはその後も、ラインアウトからのこぼれ球を拾ったSHバシル・ロブジャニゼがゴールまで一気に駆け抜け、ゴールライン際でFB松島から必死のタックルを受けながらもトライを奪い、8-12と逆転し、ジョージアリードで前半を終える。

 後半開始早々の44分には、ジョージアがスクラムを押し込みオープンへ展開するが、日本のWTBレメキ ロマノ ラヴァがインターセプトし、そのままゴールまで走り切り、逆転トライを決める。

 結果的にはミスにつながる事が多かったが、オープンへ回していこうとする攻撃の意図も随所に見せたジョージア。この日の展開についてヘイグ ヘッドコーチは、「強力なFWを擁しているからと言って、そればかりに頼っているようでは、目標とする世界のトップ10には入る事はできない。今日の試合では、結果的にミスの多さが大きな敗因となったが、多くの攻撃オプションを持つという意図自体は間違っていない。ボールを大きく動かす攻撃を織り交ぜたゲームプラン自体が悪かったのではなく、問題はプレーの精度」、と分析する。

 実際に、ジョージアのオープンへの展開と接近戦を織り交ぜた攻撃に日本が押し込まれる場面も見られ、トライ、ペナルティゴールを重ね、57分には13-22とジョージアがリードを広げ、フィットネスレベルの差が大きく出る最後の20分間を迎える。日本は、セットプレーからBKのサインプレーでボールを左右に大きく動かし、59分にはWTBレメキがCTB立川理道のキックを捕らえ、右中間にトライ。ゴールも決まり2点差に詰め寄る。更に63分には、この日何度か使われていた、BKラインの位置に立つHO堀江翔太からのロングパスを経由して外へ展開し、最後はWTB福岡堅樹が左隅にトライし、逆転に成功。終了間際には更にペナルティゴールを追加し、28-22で日本が接戦をものにした。

 54失点という結果に終わった前週のアルゼンチン戦の次戦として、ディフェンスの改善を大きな課題として挑んだジョージア戦。立川主将をして、「一人一人のポジショニングと、分担された仕事を果たした結果」のディフェンスの改善。日本サポーターも少なく、ジョージアサポーターからプレー中にブーイングが浴びせられるようなアウェーの雰囲気での試合も、「いい経験」として捕らえる。次の相手は11月19日にカーディフで戦う、ウェールズ代表。アウェーでの大きな1勝の勢いと共に、世界ランク7位の大国へ挑む。(文:竹鼻 智)