2020年の「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月31日~9月13日/ハードコート)では、新型コロナウイルスの大流行に対応するため様々な変更が行われている。その一つに、最も大きい二つの…

2020年の「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月31日~9月13日/ハードコート)では、新型コロナウイルスの大流行に対応するため様々な変更が行われている。その一つに、最も大きい二つのコート以外のすべてのコートで電子ラインコールだけを使用し、人間の線審を配置しないというものがある(アーサー・アッシュ・スタジアムとルイ・アームストロング・スタジアムでは、従来通り線審がラインコールを行う)。ウェブメディア Essentially Sportsが伝えている【動画】線審も危険!サーブが顔面直撃!

長年、ラインコールを確認するためにホークアイ・システムが使われてきた。このシステムが2006年に「全米オープン」で初めて導入されて以来、今ではほとんどの主要大会で使用されている。選手たちが線審によるラインコールにチャレンジするため、この変化を主導したのだ。

また、「全米オープン」では2018年にグランドスラムで初めて全コートでの電子ラインコールを導入。しかし今年は、先に挙げた2つの大きいコートを除く全てのコートで、チャレンジだけでなく全てのラインコールが電子システムによって行われる。

「全米オープン」でこの決定がなされたのは、ウイルスの大流行を考慮し、大会に関わるスタッフの数を減らすためだ。他にも、ボールキッズの数を6人から3人に減らすという決定が下された。この変更も、アーサー・アッシュ・スタジアムとルイ・アームストロング・スタジアムを除く全てのコートで適用。つまり、屋外コートには、3人のボールキッズ以外には主審しかいないことになる。主審は電子システムによるラインコールの後にスコアをコールする。

「全米オープン」で使用される技術は「ホークアイ・ライブ」と呼ばれるものだ。これは、男子テニスでは2017年から「Next Gen ATPファイナルズ」で使用されており、またアメリカの「ワールド・チーム・テニス」の大会でも使われている。このシステムを使えば、線審は一切不要になる。

このシステムには電子音声が組み込まれており、人間の線審と同じように「アウト」や「フォールト」のコールを行う。その結果、選手によるチャレンジも無くなる。

昔、テニス界にはネットコード審判もいたが、彼らはその後、現在のネットコールに使われている技術に取って代わられた。同じことが線審にも起こるのだろうか?ホークアイ・ライブは「全米オープン」で初めて本格的に試されることとなる。

新型コロナウイルスの大流行が大会主催者たちにこの決定を強いたのは事実だ。だが新しいシステムの利用が良い結果に終わり、便利だと評価されれば、今後コロナウイルス関連の規制が緩和されたとしても、線審たちは失職の危機に直面するかもしれない。ATPは、今年中に行われる残りの大会すべてでホークアイ・ライブを使用することを決めた。線審たちの未来はどうなるのだろうか。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「全米オープン」での線審

(Photo by Chaz Niell/Getty Images)