11月10日、首都トビリシのはずれの住宅街にあるリロアリーナという観客席つきのグラウンドで、日本代表が最終調整をしていた。12日、ミヘイルメスキスタジアムで、ホームのジョージア代表とぶつかる。「いつでもいい形!」 実戦練習中、長谷川慎スポ…

 11月10日、首都トビリシのはずれの住宅街にあるリロアリーナという観客席つきのグラウンドで、日本代表が最終調整をしていた。12日、ミヘイルメスキスタジアムで、ホームのジョージア代表とぶつかる。

「いつでもいい形!」

 実戦練習中、長谷川慎スポットコーチが声を上げる。担当するスクラムについてだ。

 国内のトップリーグでは開幕9連勝中のヤマハを指導する通称「スクラム番長」は、攻守の連携を確認するセッション中の形式的なスクラム時も、各選手に正しい姿勢を取るよう徹底させる。
 
 5日のアルゼンチン代表戦(東京・秩父宮ラグビー場/●20-54)を通し、こう感じたことも大きいのかもしれない。

「上手く組めた時は、上手く組めている。(課題は)練習で上手く行っているようなことを、80分間を通して何回も、何回も、できるようになること。これは、できるようになります」

 長谷川コーチと同じヤマハから代表入りの左PR、仲谷聖史も、似たような反省点を挙げている。

「ファーストスクラムはいい形でしたが、試合時間が過ぎてゆくとバックファイブの押しが…。(後列の選手は)どうしても次のプレーを考えてしまう。そこで、スクラムに意識を向けさせるのが僕の仕事でもあった。ヤマハでも、毎回、言っていることなんです。やはり毎回、毎回、言わないと、意識が散漫になってしまうので」

 用意したスクラムを、全員で最後まで貫けるか否か。35歳にして初めて経験したテストマッチ(国際間の真剣勝負)を通じ、フロントローにとっての普遍的な命題を再確認した。

 力自慢のジョージア代表を制するうえでは、このスクラムの成否は勝負の争点となり得る。最前列中央に入るHOの堀江翔太主将も、相手の特徴を踏まえてこう宣言する。

「アルゼンチン代表戦では後ろが押せてない部分があった。そこは慎さんが各ポジションについて『こうしてくれ』という話はしてくれている。ジョージア代表は、前3人が胸でつぶしながら上に上がってくるイメージ。それに付き合って高い姿勢になるとプレッシャーがかかる。それに付き合わず、低く組みたい。前3人がコネクトする。あとは後ろ5人がいかに押すか…」

 ジョージア代表戦は、日本時間で20時、キックオフ。仲谷と堀江主将は2試合連続での先発となる。
(文:向 風見也)