今季初の海外女子メジャー、全英女子オープン(AIG女子オープン/8月20日~23日)がまもなく開幕する。 舞台となるのは、スコットランド南西の海外沿いにあるロイヤル・トゥルーンGC。歴史あるリンクスコースで、男子の全英オープンは過去に9度…

 今季初の海外女子メジャー、全英女子オープン(AIG女子オープン/8月20日~23日)がまもなく開幕する。

 舞台となるのは、スコットランド南西の海外沿いにあるロイヤル・トゥルーンGC。歴史あるリンクスコースで、男子の全英オープンは過去に9度開催され、数々の名勝負が繰り広げられてきた。名物ホールは、8番ショートホール。「ポステージ・スタンプ(郵便切手)」の異名を持つ、極端に小さなグリーンが有名だ。

 同コースで、全英女子オープンが開催されるのは、今回が初めて。屈指の難コースで、どんな戦いが繰り広げられるのか、世界中のゴルフファンが関心を寄せている。

 日本勢は、上田桃子、野村敏京、勝みなみ、河本結、渋野日向子、畑岡奈紗、稲見萌寧の7選手が出場。なかでも、大きな注目を集めているのは、昨年の覇者である渋野だ。



全英女子オープン連覇を狙う渋野日向子

 1年前の快挙によって、一気にスターダムへとのし上がっていった渋野。その後の日本ツアーでも圧倒的な存在感を放ち、賞金女王争いにも最後まで加わって、絶大な人気を誇った。その彼女が、大舞台での連覇に挑むとなれば、注目されるのはもちろん、2度目の快挙達成へ期待が膨らむのは当然のことだろう。

 だが、今回の全英女子オープンの前哨戦となるASIスコットランド女子オープン(8月13日~16日/スコットランド)において、渋野は2日間で通算14オーバー、132位タイで予選落ちを喫した。初のリンクスコースで、かなりの苦戦を強いられた。

 その結果を受けて、渋野の連覇への期待は一気にトーンダウン。全英女子オープンでの活躍に関しても、疑問視する声が増えている。しかしながら、ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏は、渋野の巻き返しは十分に考えられるという。

「今のゴルフにおいては、ボールを高く上げて、上から落として(グリーン上に)止める、という基本があるけれど、リンクスコースにおいては、低い球を打ったり、転がしでいったり、風を読んでどう対処していくかなど、やらなければいけないことがたくさんある。

 グリーン周りからのアプローチひとつ取ってもそう。ボールを上げてカップに寄せる、といったイメージしかなかったら通用しない。要するに、頭の中にバリエーション豊富なアイデアがあるかどうかが大事で、発想を豊かにしていかないと、リンクスコースはなかなか攻略できない。

 そうしたなかで、初めてリンクスコースでプレーした渋野は、たぶん戸惑ってしまったのではないか。目の前にあるいろいろな情報、リンクスコースにおけるさまざまな場面を前にして、どう対処していいのか、イメージが湧かなかったのだと思う。

 リンクスコースというのは、経験しているか、していないかによって、大きな違いがある。全英オープンで5回優勝したトム・ワトソンでさえ、初めてリンクスコースをプレーした際には戸惑いを隠せなかったわけで、スコットランド女子オープンで渋野が苦しんだのは仕方がないこと。大切なことは、本番の全英女子オープンまでにどう立て直せるか。そこが、大きなカギになる」

 とすると、うまく立て直すことができれば、渋野が全英女子オープンで再び活躍する可能性がある、ということだ。そのために必要なことは何なのか。三田村氏はこう分析する。

「どれだけ気持ちを切り替えられるか。スコットランド女子オープンでリンクスコースを経験できたことは、何より大きい。結果、かなり叩いてしまったけれども、そこで『ああ、ダメだ。リンクスコースでは通用しない』と思ってしまうのか、逆に一度経験して『あとは上がるだけ』『リンクスコースって、意外に面白いかも』『こういうゴルフの幅もあるんだ』とリンクスでのプレーを楽しめるかどうか。

 つまり、プラス思考で考えるか、マイナス思考で考えるか。もし、スコットランド女子オープンのあと、渋野がリンクスコースを『面白い』と思って、気持ちをガラッと切り替えられるようだったら、チャンスが巡ってくるかもしれない」

 ということは、もし渋野の気持ちが前向きになっていれば、再び"奇跡"を期待してもいいのだろうか。

「(連覇の)チャンスはゼロではない。あとは、ディフェンディングチャンピオンという、彼女が背負っているプレッシャーは、他の選手に比べてかなり大きい。それをどうやって跳ね除けるのか。そこが、最大のポイントになる。

 ともあれ、その点は宿命として受け入れるしかない。それに、彼女の性格からして、その辺はわりと居直れるタイプのような気がする。自らの立場を重荷に捉えることなく、再びチャレンジャーとして臨むことができれば面白い。

 また、彼女はアップダウンが激しいというか、結果の波が大きいプレーヤーで、それだけ気持ちの切り替えが速い。その切り替えによって、とんでもないゴルフをこれまでも見せてきた。それこそ、渋野のポテンシャルなわけで、それを全英女子オープンでうまく出してもらいたいな、と思っている」(三田村氏)

 まもなく迎える全英女子オープン初日。1番ティーグラウンドに、晴れやかな表情をした渋野が登場することを祈りたい。その姿が見られれば、昨年同様、最後に最高の笑顔を爆発させてくれるかもしれない。

◆美女プロゴルファー臼井麗香の厳選カット集