> 8月8日・9日に富士スピードウェイでスーパーGT第2戦が行なわれた。予選・決勝ともに圧倒する速さを見せたのはホンダ勢で、塚越広大/ベルトラン・バケット組のKEIHIN NSX-GT(ナンバー17)が今季初優勝をマーク。開幕戦で上位を独占…

 8月8日・9日に富士スピードウェイでスーパーGT第2戦が行なわれた。予選・決勝ともに圧倒する速さを見せたのはホンダ勢で、塚越広大/ベルトラン・バケット組のKEIHIN NSX-GT(ナンバー17)が今季初優勝をマーク。開幕戦で上位を独占したトヨタ勢にリベンジを果たす快走劇となった。



スーパーGTで苦戦を強いられている日産GT-R

 トヨタとホンダが実力を発揮している一方で、後れを取ってしまっているのが日産勢だ。

 今季からGT500クラスは『クラス1』という新しい車両規定のもとにマシンが製作されており、日産は昨季と同様にGT-Rをベースにした車両で臨んでいる。見た目はほぼ変わらないが、新規定ではサスペンションなど指定された"共通パーツ"を使わなければならない。つまり、中身はこれまでとまったくの別物だ。

 シーズンオフのテストで、日産は順調な走りを見せていた。だが、コロナ禍によるインターバルを経て開幕前に富士スピードウェイで行なわれた公式テストでは、思わぬ事態に見舞われてしまう。駆動系の共通パーツが破損するトラブルが、日産勢の各車両で続出したのだ。

 トラブルの原因はすでに判明し、開幕戦にはしっかりと対策を施して臨んだ。しかし、開幕前の貴重なテスト機会で十分な走り込みができなかったことが響いた。予選・決勝とも上位に食い込むことができず、最上位は平手晃平/千代勝正組のCRAFTSPORTS MOTUL GT-R(ナンバー3)の7位だった。

 かつてはライバルを寄せつけないほど、圧倒的な強さを誇っていた名門・日産。このまま黙って後塵を拝するわけにはいかない。開幕戦と同じ富士スピードウェイで行なわれた第2戦では、トヨタ・ホンダに負けないタイムを叩き出す。

 公式予選では佐々木大樹/平峰一貴組のカルソニックIMPUL GT-R(ナンバー12)が4番手、松田次生/ロニー・クインタレッリ組のMOTUL AUTECH GT-R(ナンバー23)が5番手をマーク。トップのホンダ勢には及ばなかったものの、確実にライバルとの差は縮まっており、23号車の松田も「開幕戦の時より確実に進歩できている」と手応えを口にしていた。

 そしてこの第2戦、日産勢でもうひとつ大きな収穫だったのは、今季GT500クラスにステップアップしてきた平峰一貴のパフォーマンスだろう。

 12号車のスタートスティントを任された平峰はスタート直後から果敢に攻めていき、1周目にDENSO KOBELCO SARD GR Supra(ナンバー39)を追い抜いて3番手に浮上。後ろから迫り来るライバルに攻め入る隙を与えないドライビングを披露し、レース関係者の注目を集めた。

 しかしラスト2周となった時、12号車はGT300クラスのマシンと接触。これが危険行為と見なされて、40秒の加算ペナルティで11位に沈んだ。最終的に日産勢の最上位は3号車の8位。またしてもGT-Rは勝つことができなかった。

 開幕前テストでのトラブル続出を皮切りに、今季の日産はなかなか歯車が噛み合っていない。日産勢最上位の3号車も予選でミスを犯し、12位からのスタートを余儀なくされた。

 今季のGT500クラスは新しい車両規定となった影響もあり、前方のグリッドからスタートするマシンのほうが有利にレースを進められている傾向にある。日産勢が巻き返すためには、まずは予選一発の速さを改善したいところだろう。

 さらに、今年は新型コロナウイルスの影響でスケジュールが大幅に変更され、日産勢が得意としていた"長距離レース"がなくなった。レース展開全体がスプリント化している部分もあり、それも日産勢にとって誤算となっているかもしれない。

 ただ、開幕2戦は直線スピードが求められる富士スピードウェイだったが、第3戦は比較的コーナーでの速さが求められる鈴鹿サーキットが舞台である。サーキットの特性がガラリと違うため、次の鈴鹿で大きく流れが変わるのではないかという意見も多数出ている。

 前回GT-RがスーパーGTを制したのは、2019年9月に開催された第7戦SUGO。今年はコロナによるスケジュール変更で、スポーツランドSUGOでのレースはない。

 果たして、日産勢がトップを走る日はいつか。第2戦で見せた復活の兆しをきっかけに、鈴鹿では後れを取り戻す走りに期待したい。